教えてくれる人

笹岡 隆甫
1974年京都生まれ。京都大学工学部建築学科卒業。舞台芸術としてのいけばなの可能性を追求し、日本-スイス 国交樹立150周年記念式典をはじめ、海外での公式行事でも、いけばなパフォーマンスを披露。2016年には、G7伊勢志摩サミットの会場装花を担当した。主著に『いけばな―知性で愛でる日本の美―』(新潮新書)。

思いがこもった店づくりと独創的な料理でもてなすジャンルレスレストラン!

エントランスの突き当たりに輝く「真白」の文字

生け花の発祥地として知られる六角堂の前、昨年新築したビルの2階に「真白」はあります。ミシュランガイドでも星を獲得する人気店「祇園 呂色」が、2023年8月に新たに立ち上げたジャンルレスレストランです。六角堂の正面ということもあり「六角堂にあやかり、尖った角をなくし真っ白な状態でスタートしたい」と、「真白」という店名にしたそうです。

シェフの小霜浩之さん。あたたかな人柄も魅力です

シェフの小霜浩之さんは、大阪の「リーガロイヤルホテル」で修業、33歳という若さで福岡県のグランメゾン「レストラン シャンボール」のシェフに就任したフレンチエリート。その後、京都市のフレンチレストラン「DOUZE GOUT 12+」でシェフを務め、「ボキューズ・ドール国際料理コンテスト2015」日本代表ファイナリスト選出などの実績を残しています。

2012年5月、兵庫県芦屋市に「コシモ・プリュス」をオープン。「ミシュランガイド京都・大阪2014」に一つ星店として掲載。2017年11月には2店舗目となる「祇園 呂色」をオープン。こちらもミシュランの星を獲得しました。

樹齢200年のアフリカ産アサメラを2カ月かけて削ったカウンター

そして、2023年8月、烏丸で「真白」をスタート。経験豊富な実力派なのに、気さくで優しい小霜シェフに会いたくて、この店を訪れるという常連も多数。初めて来た人も、一度でシェフのファンになる魅力があります。数々の店を人気店にしてきたことでも、その実力がうかがえます。

「この店を開いた理由の一つは、カウンター席から調理が見えるオープンキッチンで、腕を振るいたかったこと」と小霜シェフ。どっしりとした一枚板のカウンターも理想だったと言います。「この場にいる時間や料理でくつろいでいただきたい」という思いが詰まったシェフズテーブル。目の前で繰り広げられるコシモワールドを存分に堪能できます。

 

笹岡さん

シェフやソムリエとの会話を楽しめるゆったりとしたカウンター席は、座るだけで和みます。

空間づくりにはただならぬこだわりを

店舗デザインはもちろんのこと、天井や壁の素材、照明やインテリアなど、すみずみまで、小霜シェフの「より心地よい空間に」という思いは込められています。瓦職人に特注して焼いてもらった六角形の瓦を組み合わせた壁もその一つ。熟練の職人が、一枚一枚丁寧に手作業で貼った印象的な壁は、ひときわ存在感を放ちます。

ワインを保存するセラーも見られるデザインに

入口から客席へと続くエントランス。青白い光に癒やされます。ふと見ると、そこはワインセラー。フランスワインを中心に、およそ800本の上質で料理に合うワインが保存されているそうです。