明けましておめでとうございます!
「2025年」で検索するといわゆる「2025年問題」の話題ばかりですが、飲食業界にもその波はやってきています。特に労働者不足は深刻で、ワンオペのお店やタイミーをはじめとするスポットワークや外国人労働者の活用がますます増えていきそうです。
また、物価の高騰は2024年から引き続き影響を及ぼしそう。1,000円超えのラーメンは当たり前になりましたし、最近訪れたパティスリーでは小さなケーキが1個で1,000円超えでした(!)。
課題も山積みの飲食業界ではありますが、皆さんの知恵と工夫で乗り切って、今年もおいしい出会いがたくさんあることを願います。
それでは、今年1発目の記事のお届けです。2025年に流行りそうなグルメを編集部で予想しました!
2025年に流行るグルメは?
揚げたて「チュロス」&新食感「カヌチュロ」
チュロスといえばディズニーランドのおやつ、というのはもう古い? 揚げたての本格チュロスのお店がじわじわ増えています。昨年4月には本駒込の揚げたてチュロスや焼きたてクレープを提供するカフェ「One Dhole」を紹介しました。7月には大阪・北堀江に「Xocolatl Churros(ショコワトル チュロス)」がオープン。
もともとは韓国で流行っていて2023年くらいから日本でも専門店が増えてきてはいましたが、最近では居酒屋やレストランなどのデザートでもチュロスをよく見かけるようになりました。
6月にオープンした有楽町の「Papillon」はカヌチュロ専門店。カヌチュロとはカヌレ+チュロスのハイブリッドスイーツです。2025年にはさらに進化したチュロスが登場するかも?
ガチめな「タコス」
2024年に流行ったタコスですが、2025年はさらに勢いが加速するかもしれません。特に私が注目しているのは本場さながらのガチタコス。火付け役になりそうなのが原宿の「TACOS 3hermanos Harajuku」。SNSでもバズったこのお店。東京のタコスといえば高級路線のグルメタコスが何かと話題だったので、メキシコスタイルの素朴なビジュアルが逆に新鮮でした。
もうひとつ、沖縄スタイルのタコスも気になります。昨年10月にオープンした中目黒「ブルー エントランス キッチン」は沖縄・恩納村の人気店が東京に進出したと話題に。ナンのようなモチモチの皮が特長です。渋谷の「maison tacos」、駒沢の「Tacos Guild KOMAZAWA」でも沖縄系タコスが食べられます。
イケてるお店が集まる「鎌倉グルメ」
ここ数年イケているお店の新規オープンが続き、グルメエリアとしての層が一気に厚くなった感のある鎌倉。
2023年に七里ヶ浜から鎌倉の小町通り近くに移転してグッと行きやすくなった「DRAQUIRE」。湘南の野菜や魚介類、ジビエ等にこだわったイタリアンで鎌倉散策のランチやディナーに最適です!
昨年2月オープンの「EENY」はアメリカンスタイルの朝食で鎌倉の朝を変えました。同じく2月開店の古民家カフェ「ユキノシタ」はオープン1年とは思えない味のある雰囲気です。
4月に長谷にオープンした「鎌倉おうどん 玉うさぎ」は無添加だしとモチモチ麺が評判のうどん専門店。同じく長谷に6月オープンの「鎌倉 北橋」は文化財指定の古い邸宅を再生した趣のある空間でそば懐石を楽しめます。
8月にはあのサローネグループのイタリアン「GRAPEREPUBLICINC. VINERIA SALONE」がオープン。アラカルトで色々と頼め、お値段もやさしめで鎌倉の人が羨ましくなるようなお店です。ランチがお得すぎると話題なのが鎌倉駅近くの「花と鳥」。9月にオープンし、隠れ家的な立地ながら週末限定の1,600円ランチが口コミで人気に。
今年も鎌倉グルメから目が離せません!
グルメ系「フレンチクルーラー」
編集部で「そろそろ来そう」と噂しているのが本気の「フレンチクルーラー」。
幡ヶ谷のチーズケーキで有名なパティスリー「Equal」が今注力しているのがまさに「フレンチクルーラー」なのです。小さなサイズ感なのに1個400円という価格で、買うまではちょっと躊躇しますが「一口食べたらそのおいしさに感激した!」という口コミ多数です。
「FRECKLE donuts(フレクルドーナツ)」は日本初のフレンチクルーラー専門店。小麦や卵など使用する材料にこだわり、パティシエが作ったフレンチクルーラーを楽しめます。
ミスドでもフレンチクルーラー一択の私としては、今後、パン屋さんやパティスリーでもこだわりのフレンチクルーラーが増えたらうれしい限りです。
流行ってほしい「トゥルギルムマッククス」
これは個人的な願望なのですが、韓国のえごま油のおそば「トゥルギルムマッククス」を東京でも食べられるようになってほしいです。ネットで探したのですが、まだ食べられるお店を見つけられていません。なので日本でも流行ってほしいとの思いで入れさせていただきました。
日本人のインフルエンサーが紹介したことで人気に火がついた「チョンリュビョク」というお店が韓国では有名です。
ごくシンプルなお料理なので、日本でも作るハードルは高くないと思います。これを見た韓国料理店の方がいらしたら、ぜひメニューに取り入れてみてください!
新しいマリアージュは「アイス&アルコール」
アイスやジェラートをアルコールと楽しむ提案をするお店が増えています。幡ヶ谷「kasiki」は季節の食材を使った日替わりアイスクリームとナチュラルワインを21時まで提供。
横浜「e piu」は人気ビストロ「goffo」が手掛けるアイスのお店で夜遅くまでワインとアイスが楽しめます。元「レフェルヴェソンス」のパティシエが昨年8月、三軒茶屋にオープンした「MAISON FARMER」でもワインを提供。
同じく三軒茶屋の「YAYOI TOKYO」でもジェラートとアルコールのペアリングを推奨。ジントニックやモスコミュール、ビールなどと一緒に楽しむことができます。昔からあるお店だと四谷の「ティグラート」はバーテンダーが作るジェラート&カクテルのお店。季節の果物を使ったジェラートにオリジナルのカクテルを合わせるのがベストマッチ。
今年はアイス×アルコールの楽しみが広がりそう!
プチ贅沢を楽しむ「フカヒレ定食」
昨年10月にオープンした等々力の「ふかひれ専門店 鰭華」はフカヒレ料理の名店「筑紫樓」で経験を積んだシェフのお店。こちらはコースでフカヒレを楽しむお店ですが、もう少し気軽な定食スタイルのお店も登場しました。それが同じく10月に銀座にオープンした「フカヒレ専門店 銀座七芳(なのか)」。
中国広東省にある深圳(シンセン)が発祥と言われる濃厚フカヒレスープとご飯、おかずがセットになった「フカヒレ定食」が中国南部や香港でブームになっており、「フカヒレスープ定食」を看板メニューに掲げるお店として登場しました。5,000円程度で「フカヒレスープでお腹いっぱいになる」夢のような定食をいただけます。
ちなみに前述の「筑紫樓」でもランチタイムにはフカヒレ煮込みのセットがあります。新年のプチ贅沢ランチにおすすめです。
おいしさ再発見!「紅茶」
タピオカブーム、英国式スコーンやアフタヌーンティーの流行、スタバの紅茶メニュー人気(ジョイフルメドレーなど)やスタバ紅茶専門店「TEAVANA」の登場……。紅茶を飲む機会がグッと増えた方も多いのでは。
地域ごとの味わいを楽しむ「クラフト紅茶」なる言葉も生まれ、国産茶葉を使用した「和紅茶」を食後のドリンクに提供するレストランも多くなった印象です。
2024年は「和紅茶」の専門店「SANKODO」、渋谷スクスク「スミス・ティーメーカー 渋谷店」など紅茶にフォーカスしたお店のオープンが目立ちました。
私が好きなのは千駄ヶ谷の「モンマスティー」や、超老舗の渋谷「ケニヤン」のアイスミルクティー。今後さらにティースタンドが増えるはず!
イタリアの風が吹く「本格パニーニ」
2000年頃にカフェなどで流行したパニーニはプレスして焼き色をつけるタイプでしたが、チャパタやフォカッチャを使用したボリューミーなサンドタイプが流行りそうな気配です。
まず個人的に大注目なのが京都の「GOICHI PANINO」。店内には大きなショーケースがあり、パニーニの具材がずらりと並びます。その場で作られるパニーニは具がたっぷりでボリュームは本場さながら。朝7時からの営業なので京都の朝ごはんにぜひ!
東京ではあのリ・カーリカグループがフォカッチャサンドショップとワインスタンドバーの二毛作店「TUTU」を10月にオープンしました。ここはイタリアですか?と錯覚するくらいボリュームしっかり、具材たっぷりなフォカッチャサンドをいただけます。
イタリアと時差の無いパニーニ、要チェックです!
懐かしいけど味わいは進化した「クッキー」
スイーツ好きの編集メンバーが注目するのは丸いクッキー。昨年上陸して話題になった「ル・ビスキュイ・アラン・デュカス 東京」。数ある商品の中でも一番気に入ったのがパリ本店シェフが“子供の頃の味”を再現したしっとりタイプのお菓子、その名も「クッキー」だったそうです。
焼きたてのソフトクッキー専門店「Ben’s Cookies」や「GUILTY’S」も店舗数を増やしています。
昨年7月には横浜にアメリカンクッキーの専門店「Chunk&MOG」がオープン。8月には韓国クッキー「グレインバウンダリー」が自由が丘に上陸。11月には新宿にクッキー&クロッキー専門店「kulua」がオープンしました。今年もクッキー専門店が増えそうな予感です。
シンプルに奥深い「ベーグル」
1980年台の後半から1990年台にかけて流行した「ベーグル」が令和にもブームになるかもしれません。
2022年12月に自由が丘にオープンした「BAGLE BASE」は中目黒にあった「ベーグル スタンダード」のオーナーと奥様が新たに開いたベーグル専門店。同じく自由が丘に2024年3月「Yohei Miyaguchi」がオープン。こちらは京都発の人気ベーグル店の移転です。
そして4月、またまた自由が丘に、代々木公園の大人気ベーグル専門店「テコナ ベーグルワークス(tecona bagel works)」の新店舗「Tecona bagel(テコナベーグル)自由が丘」がグランドオープンしました。自由が丘、ベーグルだらけですね。
5月に白金高輪で連日行列を作っていた大人気ベーグル店「MARUICHI BAGEL」が御成門駅から徒歩約4分の日比谷通り沿いに移転オープン。10月には下町の東向島に人気カフェ「from afar」の系列店「麦円」がベーグル専門店としてオープンしました。11月にオープンした参宮橋「Gris bagel」は平日でも行列ができるほどの人気です。
韓国のベーグル店「eun bakery」も12月に初上陸しました。2025年もベーグルの動向から目が離せません!
令和の「ニラソバ」
昔からあるメニューですが、SNS時代にヒットしそうなのが「ニラソバ」。SNSでバズっているのが「百年本舗 秋葉原総本店」。仕上げに熱々の牛脂をかけるのが動画映えします。
食べログマガジンで紹介したのは2024年9月オープン、お茶の水の「レバニラ中華 満腹」。昨年オープンとは思えないほど昭和感のあるビジュアルです。「麺屋 我論」の「ニラメン」はニラを丸ごと1束使用!
このニラソバブームで昔から提供しているお店も改めてスポットを浴びそうです。銀座「上海料理 四季陸氏厨房」の「香りニラそば」、根津「BIKA」の「韮菜湯麺」、練馬「中華料理 多来福」の「ニラそば」、神保町「中華料理 餃子の店 三幸園」の「にらそば」など、名作はたくさんあります。
行列の先には「炊き立てご飯定食」
土鍋や釜で炊き立て定食のご飯を提供するお店が増えています。昨年6月オープンの高田馬場「炊き立てあり〼」は炊きたての羽釜ご飯を1人1釜提供! 季節ごとに厳選したお米は店内で精米するこだわりよう。
6月に築地から銀座に移転した行列カレー店「一体感」は土鍋ご飯と欧風カレーの組み合わせが大人気。7月オープンの渋谷「出汁林」も定食のご飯を土鍋で提供。SNSでバズり、行列店になりました。
博多で大人気の居酒屋「田中田」の新店舗が11月、外苑前に定食屋「米田中」をオープン。マグロは「やま幸」のものを使い金額は全て2,000円超えと、ワンランク上の定食ですが、週末には行列もできるそう。
日本人の大好きな「ご飯」を炊き立てでおいしく食べさせてくれるお店が増えるのはうれしいですね。
映えて癒やされる、都心の「庭園レストラン」
風景も飲食店の楽しみのひとつですが、SNSの普及でその意味合いがより一層強まっていく予感がします。
シズル感のあるお料理の動画が溢れている中、次なる差別化としてインフルエンサーが目をつけているのが内観や外観などを含めたお店の雰囲気。特に都会なのに緑あふれる「庭園レストラン」はこれからますます人気になりそう。
昨年4月にオープンした虎ノ門の「カフェダイニング 茶楓 by温故知新」は 「菊池寛実記念 智美術館」に併設されたカフェ。店内は、3面ガラス張りで全ての席から日本庭園が見られます。
白金台のシェラトン都ホテル東京1階にある「ラウンジ バンブー」はホテルのお庭が全面に広がるドラマティックな空間が素敵です。
溜池山王の「TWELVE GARDENS BAR&GRILL」はまるで軽井沢にいるような、緑に囲まれた一軒家のオールデイダイニング。
都会にいながら癒やされる「庭園レストラン」、行きたくなりませんか?
フランスの伝統菓子「フラン」
昨年の映えスイーツのひとつがフラン専門店「PAQUET MONTÉ (パケ モンテ)」の「フラン」。フランスの伝統菓子「フラン・パティシエ」とは、カスタードに似たフラン液をタルト生地に流し込んで焼いた、フランスの国民的おやつ。
2024年11月に中野にオープンした「MORI YOSHIDA 東京店」のシグネチャーメニューも「フラン ヴァニーユ」。パリに本店があり、「パリの最高のフラン10選」に常連で選ばれるほどの傑作です。
そしてなんとファミリーマートでも11月に「カスタードパイ(フラン風)」が発売されました! さらに小伝馬町のプリンの名店「カストール」の藤野貴子さんが11月にフランのレシピ本を出版。今後、家庭料理でも流行るかもしれません。
今年要注目、間違いなしです!
ローカル系or進化系。どっちも好きな「タイ料理」
2024年に行ったお店でインパクトがあったのが錦糸町の「タイ居酒屋 イサーン サコンナコン」。近所で働くタイ人向けのスナックなのですが、びっくりするくらいおいしいイサーン料理がいただけます。使用するハーブも現地さながらの味わいで、辛さも容赦なく、日本にいることを忘れてしまいます。人気連載〈食べログ3.5以下のうまい店〉で紹介した「ソムタムダー 虎ノ門店」もイサーン地方の郷土料理を提供。今年は日本人に忖度しない、ガチのローカルタイ料理が流行るのでは。
一方で洗練された進化系タイ料理も要注目です。昨年2月にオープンした「Modern Thai CIEL 北参道」はバンコク5つ星ホテル出身のシェフによる、本格的なタイ料理と日本の季節の食材を融合させたモダンスタイルのタイ料理。
6月オープンですでに食べログ3.71をマークする(2024年12月時点)のは神保町の「KHAO」。名古屋からミシュランの星を取るために東京に進出したそう。コース 16,500円(サービス料別)とタイ料理ではかなり高額な設定ながら、洗練された味わいの虜になる人が続出です。
10月に六本木にオープンした「BIANCHI(ビアんち)」は食べログマガジンの「2024 食通が惚れた店」でも複数の食通が「今年一番おいしかった!」と挙げたお店。世界中を食べ歩いてきたフーディー、ビアさんが手掛けるタイ料理です。一押しメニューは、厳選した生産者から仕入れる黒さつま鶏を使った「ガイヤーン」です。
ハイレベルな料理で魅了する「オーベルジュ」
地方の食材を使った「デスティネーションレストラン」がここ数年注目されています。せっかく遠くまで行くのであれば、お腹いっぱいになった後、そのままベッドにダイブしたらもっと幸せですよね。
私も最近は宿泊も併設したオーベルジュスタイルのレストランに興味津々です。昨年訪れて感動した富山の「レヴォ」にはぜひ宿泊で再訪したいですし、石川県小松の廃校をリノベーションした「Auberge eaufeu (オーベルジュ オーフ)」も糸井章太シェフのお料理が素晴らしかったです。
昨年、フーディーがこぞって訪れた群馬県の「VENTINOVE」は薪火の竈を使う肉料理が評判です。佐賀にある「御宿 富久千代」は日本酒「鍋島」の蔵元・富久千代酒造が営む宿で、併設のレストラン「草庵 鍋島」は食べログ4.23超えをマークしています(2024年12月時点)。
夏に訪れた徳島の「ペルトナーレ」は古民家をリノベーションした1組限定のオーベルジュで地産地消のイタリアンを堪能できました。
今年ぜひ行きたいと思っているのは、年末、立て続けに信頼する食通におすすめされた「nôtori」。「オープン時点での完成度が非常に高い!」と大絶賛だったので気になります。山梨県富士吉田にあるので東京から行きやすいのも魅力ですよね。
2025年も楽しみなグルメネタが満載!
今年もトピック満載でお届けしました。皆さんは気になるグルメ、ありましたか?
この中からいくつが2025年のトレンドグルメの記事にランクインするでしょうか。引き続き「食べログマガジン」でウォッチしていただければと思います。
今年もよろしくお願いいたします!
文:山本麻里絵(食べログマガジン編集長)