昼から“おいしい”はしご酒! vol.5 上野

酒場にも精通し、音楽界の食通としても知られる“グルメ番長”小宮山雄飛さんが教える、昼からお酒を楽しめる店を紹介。まだ明るい時間から飲みはじめ、ランチやおいしいアテを食するのは至福のひととき。一軒だけにとどまらず、また一軒とついはしご酒をしたくなる名店を、編集部おすすめの店とともに2軒教えます。連載5回目は、活気あふれる上野界隈の寿司屋で昼から酔いしれます。

教えてくれる人

小宮山雄飛

1973年原宿生まれ原宿育ち。ホフディランのVo&Key。音楽界のグルメ番長の異名を持つ。特にカレー好きとして知られ、著書に「カレー粉・スパイスではじめる 旨い! 家カレー」(朝日新聞出版)、「簡単!ヘルシー!まいにちカレー」(主婦と生活社)などがある。2018年に日本初のレモンライス専門店「Lemon Rice TOKYO」を渋谷にオープン(現在はEC、イベント出店限定)。渋谷区初のCEO(chief eat officer)を務める。

【小宮山さんおすすめの店】寿司幸

今回小宮山さんが紹介する店は、ほぼ毎週ぶらぶら歩きに来ているエリアだという“上野・御徒町”の「寿司幸」。上野中通り商店街と平行する細道に位置し、ランドマークでもある「二木の菓子」からも近い。お手頃な価格で本格的な江戸前寿司が食べられるとあり、オープン前から行列覚悟の人気を誇る老舗の繁盛店だ。

2階建てのきれいなお店

1964年、現在の3代目店主の祖父が、当時流行していた「100円寿司」を中心に大衆店として創業。魚が高騰する昨今でも、気軽に楽しめるコスパの高い寿司の提供を貫く。4年前にリニューアルした店舗は2階建てで、お昼は平日1階のみ営業、土日祝日は2階席もオープンする。予約は2階座敷席のみ可能な、当日フリーエントリー制。16:30からなら2階席も利用できるので、この時間帯のオープン頃が狙い目だとか。行列がなかったら「すごくラッキー!」とは小宮山さん談。

御徒町駅付近の小道を歩く

かつては5軒ほど寿司店が連なる、通称「寿司屋通り」と呼ばれた小路に、今回の目的地が存在する。コロナや魚の高騰など時代が移り変わり、今では数軒に……。しかし上野の商店街らしい、賑やかで雑多な楽しい雰囲気は健在だ。

昼飲みなら、土日祝日のみ行ける2階のカウンター席を目指して!

話しながらメニューを選ぶ小宮山さん

以前、ぶらぶらと街歩きしていたときにたまたま入って以来、おいしくて気に入ってしまったという小宮山さん。おまかせのセットなどもあるが、まずは好きなものを自由にちょこちょことオーダーするのが、いつもの小宮山さんのスタイル。

黒板とその横に、酒飲みにぴったりな旬の素材や一品料理のメニューが並ぶので、まずここからチェックして

秋長店長におすすめや本日何ができるかなどを相談しつつオーダーするのが、より旬の魚を堪能する近道だ。12人ほどいる職人たちがランダムで持ち場につくシステムなので、毎回異なるオリジナリティあふれるメニューをお願いできるのも、楽しみ方のひとつ。

さっぱりとした水茄子をつまみながら、1杯目をぐいっと

「水茄子の刺身」550円 ※毎年10月末までの提供

小宮山さんは、かつて大阪から取り寄せるほど水茄子にハマった時期があったそうで、迷わずオーダー。決しておかずになるわけではなくとも、瑞々しさと食感がお酒に合うと語る。生姜醤油か塩を、お好みで。

緑茶ハイ(600円)をぐいっと

ボリュームたっぷりの名物ねぎとろはオーダー必須!

「ねぎとろ(大)」2,299円

だいたいの方がオーダーする人気名物メニュー。どっしりと盛られたねぎとろが、コスパの高さを物語る。小サイズ(1,639円)も。

お好みの量で楽しめる

付属された海苔に、ばちまぐろと本マグロをブレンドしたオリジナル配合のねぎとろ、たくあん、うご(海藻の一種・オゴノリ)を巻けば、豪華な一品に。

お店のスタッフと談笑しながらお酒が進む

小宮山さんが必ずオーダーするお決まりが緑茶ハイ。昼に相応しく、軽やかにスルスルと飲めてしまう緑茶ハイなら、気づけば5杯はいけてしまう。

「ねぎま串」880円は、脂がのった中トロを炙った串。お酒のお供に最適で、メニューにない隠れ人気の一品だ

慣れた様子で「いつもの串を!」と小宮山さんが頼んだのが、メニューには記載されていない、知る人ぞ知る「ねぎま串」。常連さんや通の方が必ずオーダーする、贅沢な炙りトロが串になった一品は、グラス片手にも食べやすいのが魅力。職人さんによるが、ある素材でできるアレンジは、最大限わがままに対応していただけるので、何を食べたいか相談してみるのが吉。「温かい料理ってのもいいですよね。めちゃくちゃおいしいから、これは絶対食べた方がいいです」と、小宮山さん絶賛のお酒のアテだ。