一通りつまみを堪能したら、いざ握りをたしなんで
ずらりと並ぶネタを物色しつつ、新ネタや旬の魚について語らう大将との会話も、楽しいひととき。「寿司幸」のシャリは、国産の新米と古米をブレンドし、その日に合わせて水や、砂糖、酢、塩を利かせて調整。あまり主張しすぎないように心掛けて作り、新鮮な素材を活かすよう考えられている。
鮮度のいい素材の仕入れは、創業者の代からの付き合いがある業者から。間違いのないものを入手し、客の回転がよいからこそできる、“いいものを安く”を実現。
提供する直前にパン!と叩いて、ふんわりと広がる赤貝は、見るからにおいしそうで美しい。
「小肌」はすだちやレモンなど柑橘系の酢で締めた、ほんのりフルーティな味わいが特徴。
脂がのったぶりは、福井県産。飾り包丁に、技術の高さがうかがえる。
カマスは皮目を炙った香ばしさがまた、お酒を誘う。
塩と柚子でいただく、ふっくらとした穴子に舌鼓。
握りは、9種盛りのお得感満載のセットをオーダーするという選択肢も。この日は、中トロ、かんぱち、赤身、あじ、海老、青柳、いくら、鉄火巻き、たまご。
〆にはオリジナリティあふれる、“断面萌え”な巻物を
美しい断面を描くシャリなしの巻きものは、お酒との相性が抜群。こちらもメニューにはない、常連さんのみぞ知る隠れ人気の一品だ。この日は、小肌、芽ネギ、ガリ、とびこでアレンジされたもの。作り手によって、多少中身が変わり個性が出る。
「いくらの巻物はスタンダードだけれど、筋子はめずらしくて、この絶妙な塩加減が緑茶ハイに合う! 家で食べないし、好きだなぁ」と、小宮山さんの胃袋を鷲掴みする絶品巻き。
「おいしいお店が並び、観光客で賑わう上野界隈にあるけれど、落ち着ける大人なお店です。年配のご夫婦が、昼からお寿司を仲良く食べている姿や雰囲気が好きですね。お酒を飲む人には、シャリの分量を見極めて少なめに調整しているとの店長さんのお話に、流石だなって。お寿司ってお箸を使わずにハンドで気楽に食べられるから、左手で食べて右手で飲む!っていうのができる。最高です。串や細巻きもお酒のアテにちょうどいい。握りを食べないのも失礼かなと思ったりしますが、そんなのも気負いせずに自由にフラットに楽しめるこちらは、酒飲みにぴったりですね」(小宮山さん)