あくまでラーメンは豚骨一本。1,000円でも決して高くはない

二つ星のフグ割烹店で楽しめるラーメン。と言うと、魚介系の醤油や塩ラーメンなどを連想する方も多いと思いますが、あくまで出しているのは王道の濃厚豚骨ラーメン一本。ここもポイントであります。

「拉麺處 丸八」のラーメンは1杯1,000円。チャーシューメンは1,200円。福岡の豚骨ラーメンの中では高めの設定ではありますが、ロケーションだけでなく、味わいもスペシャル! 油山まで足を運び、この値段で食べる価値は“絶対に”あります。

改めて「丸八」の豚骨ラーメンを啜る筆者。「はぁ〜、染みる。うまいなぁ」(しみじみと)

「とにかくいい素材を使っている」と胸を張る渡邉さん。下処理を丁寧に施した豚の頭骨を約16時間炊き込み、アク抜きも徹底。しっかりと乳化させる「丸八」時代の古の製法を守りながら、確かな目利きで選んだ上質な食材を取り入れています。例えば、チャーシューには生肉で仕入れる最高級の国産豚バラ肉を使用。ラーメンの具として存在感を放つだけでなく、豚バラを炊いた醤油ダレがラーメンダレになり、スープにも肉の旨味が凝縮しています。舌ざわりがなめらかクリーミーで、臭みがなく飲みやすい。そして、幾重にも広がる旨味とコク。しっかりと豚感が表現されている中で上品さも感じるスープが「丸八」の真骨頂です。福岡の老舗製麺所「真鍋製麺」に特注する中細ストレート麺のコシ、歯切れの良さも好印象。

卓上の辛子高菜もうますぎる!

そして、卓上に置いてある無料の辛子高菜がこれまた美味。僕好みの大きめの刻みで、シャキシャキ感を残してある高菜。豚骨ラーメンに合いまくり! こちらも渡邉さんが店で仕込み、仕入れた国産高菜に味と辛さを入れています。

大将の心意気、ホスピタリティにも癒される

店主の渡邉さん(右)と、「名島亭」創業者で現在「丸八」を手伝っている城戸さん(左)は、40年来の付き合い。共に70歳を超えていますが、とにかく元気で、ラーメンへの探究心は衰えることはありません。福岡市内にありながら喧騒を離れた“自然の癒し”。伝説的店を復活させ、より極上の素材で作る“豚骨ラーメンの癒し”。そして、齢70歳を越える熟練の職人の“ホスピタリティ、心意気の癒し”。福岡市民、来福した観光客ともに、訪れれば心に刻まれる至福のラーメン体験となることでしょう。


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文:上村敏行、食べログマガジン編集部 撮影:北嶋 幸作