そのおいしさに誰もが驚く
こうした自然志向の話を聞くと、素朴なお菓子を想像するかもしれないが、とんでもない。どれもガストロノミックなおいしさに満ちている。スペシャリテでもあるタルトヴァンキュイは地元小諸の農園の古木の紅玉をすりおろしてから漉してジュースにし、10分の1まで煮詰めて使うという、とても手のかかったレシピである。
アマゾンカカオとキャラメルのチョコレートタルトにしても、ほろ苦さと甘みのバランスが絶妙だ。花豆のタルトは、地元の花豆を料理するかのごとく扱っている。タルト生地の完成度の高さ、それぞれのフィリングの複雑でいながらキレのいい甘み、そこにはやはり、浜田統之さんの洗練された料理の感性が介在しているのだろう。
マダムとスタッフ一人での手作りなので、できる数には限りあり。そして、小さな店ゆえ1組ずつの入店。週末などは、行列のうえ、売り切れてしまうこともある。だから開店と同時の昼頃を目指していくことを勧める。