二拠点生活をする人や移住する人が増えるなど、今や、東京24区の呼び声も高いほどに人気のある軽井沢。当然のことながら、レストランはもちろんカフェやスイーツのクオリティも年々上がってきている。なかでも別格のおいしさを誇るタルト専門店が、昨年9月、軽井沢本通りにオープンした。その名も「tarte K(タルトケイ)」。Kは軽井沢のKだそう。
フルーツを使ったタルトがずらり
アンティークな小屋のような愛らしい店内を入ると、ワイングラスを逆さにした中に、本日のタルトが一つずつ並んでいる。なんとも雰囲気のあるディスプレイだ。この日のタルトは、チーズタルト、タルトヴァンキュイ、アマゾンカカオとキャラメルのチョコレートタルト、桃のタルト、ティラミスタルト、プラムとプルーンのタルト、花豆のタルト、ルバーブのタルトの全8種。フルーツ王国長野らしく、季節ごとにふんだんにフルーツを使ったタルトが揃い、どれにしようかと目移りする。
その奥のガラス張りの厨房で、女性が一生懸命に生地をこねたり、成型したり、まさに、一から手作りしている様子が見てとれる。それがオーナーマダムの浜田晃子さん。実は、星のや軽井沢の「ユカワタン」の料理長としてその名を馳せ、その後、星のや東京の総料理長として活躍する、浜田統之さんの奥様である。
感動したタルトの味を再現
タルト屋さんを始めるきっかけになったのが、パリに住むスイス人のご婦人の作る、タルトヴァンキュイの濃厚で奥深い味わいに感動したことが忘れられず、なんとか再現したいと思ったことからだそう。ヴァンキュイとは煮詰めたワインという意味だが、スイスのレシピでは、果実のジュースを発酵させて作る。その手法を改良して試行錯誤を重ね、今ではタルトKのスペシャリテとなっている。
「店を始めるにあたっては、安心安全で自然なおいしさを目指しました。まずは素材選びからと、小麦粉は長野県産のユメセイキ、砂糖は精製していない粗糖、バターは発酵バターを厳選。だから、クレームパティシエール(カスタードクリーム)もうちのは茶色いんです。果物にしても、育てているところを見て、本当に信頼できる近隣の生産者さんのものだけを使うようにしています。最近は、バターをオリーブオイルに置き換えるレシピの研究もしていて、より、ヘルシーなタルトができればいいなと思っています」と晃子さんは言う。