【第3週のカレーとスパイス】安い・うまい・個性的! 大阪のスリランカ料理の名店がスパイス居酒屋をオープン「スパイス処 らんか1/2」

大阪スリランカ料理を代表する名店「セイロンカリー」の姉妹店として、2025年3月20日、西九条駅近くに「スパイス処 らんか1/2」がオープンしました。

昼はサンドイッチ店、夜はスリランカ料理を楽しめる居酒屋に

夜のみの営業で昼はオーナーの弟さんが営むサンドイッチ店となり、夜がオーナーであるお姉さんが営むスリランカ料理をベースとした居酒屋になります。

ラフな雰囲気の店内

カウンター中心でテーブル席もあり、一人でもグループでも使えそう。

お得な「ハッピードリンクセット」

まず目を引いたのは「ハッピードリンクセット」1,000円。こちらは好きなドリンク2杯にスパイス肴セットがつくというサービスメニュー。

アラックのコーラ割

ドリンクはスリランカのココナッツ焼酎とも言われるアラックのコーラ割(単品600円)を。これを2杯飲んだだけでも1,000円を超えてしまうわけですが、スパイス肴セットとしてアスパラのテルダーラ、うずらのテルダーラ(テルダーラとはスリランカ料理で油炒めというような意味ですが、スパイスも使用しているものが多いです)、カダラ(ひよこ豆のスパイスあえ)の3種が出てきて驚いていると、さらにロティフライも。何と4種です。原価が心配になってしまうほどのサービスぶり。

スパイス肴セットのアスパラのテルダーラ、うずらのテルダーラ、カダラ
スパイス肴セットのロティフライ

これだけで満足してしまいそうですが他の料理もおいしいのでここで終わってしまってはもったいないですよ。

「和牛のクミン炒め」

「和牛のクミン炒め」900円は、鉄板で野菜と共に熱々の状態で提供。写真右下の赤いものはルヌミリス(スリランカのスパイスペースト)。少しずつ混ぜながら食べるとさらにお酒が進みます。

「スパイスカツオ」

続いて「スパイスカツオ」800円はカツオのたたきのスパイスアレンジ料理。スパイスを使用したさっぱりとしたタレにガーリックチップやパクチーを合わせており、こちらもお酒が進みます。

カツオにもルヌミリスが合います!

「ルヌミリスが合いますよ」と小皿を出してくれたのでつけてみると爽やかな辛味がおいしさをさらに引き上げました。

どちらもオーセンティックなスリランカ料理というよりは、日本の居酒屋料理をスリランカの感覚でアレンジしたもの。厨房で腕を振るうのもスリランカ人の名シェフ。他にありそうでないテイストです。

「マグロのランプライス」

〆に「マグロのランプライス」980円を。カレーやおかずをパナナリーフで包んで蒸し上げたスリランカ料理。こちらはオーセンティックなおいしさで、セイロンカリーにもあるメニューですが、少し小さいサイズなのが居酒屋の〆としてちょうど良く、うれしいです。

〆のご飯ものとしてぴったりなサイズ感がうれしい

今後もセイロンカリーとはまた違うスリランカアレンジの居酒屋料理を追加していきたいとのこと。大阪でもスパイス料理でお酒を飲めるお店が増えてきましたが、その中でも個性あるスタイルのお店だと言えます。

安くておいしくて個性のある新感覚スリランカ居酒屋。今後の展開も楽しみな新店舗です。

【第4週のカレーとスパイス】全国のカレー&激辛好きに朗報! あの“タリカロ”が奈良で電撃復活「タリカロ3.5」

奈良でカレーと言えばその名が真っ先に出るほどの人気店となり、世界的なレストランガイドブックにも掲載され、その後、東京・西荻窪に移転しても唯一無二の激辛カレーで、東京のカレー好き・激辛好きの心をつかみ、カレー激戦区西荻窪においても人気店となった「タリカロ」。体調の問題などで惜しまれつつ2025年1月に閉店したのですが、そのタリカロが奈良で復活しました。

2025年6月20日、グランドオープンを迎えた「タリカロ3.5」

その名も「タリカロ3.5」。3.5というのは奈良でスタートした場所が1、奈良で移転した場所が2、東京が3、そして今回が本来なら4になるわけですが、前タリカロのシェフから「料理人としてさらに進化していってほしい」との期待値の意味も込められて3.5としたそうです。

店舗は「cafe WAKAKUSA」と共同で営業

少々わかりにくいのですが、店舗は「cafe WAKAKUSA」のある場所で、cafe WAKAKUSAと共同営業。曜日や時間によってワカクサだったりタリカロだったりするという形式で、2025年6月20日にグランドオープンとなりました。

前店舗でも飾られていた「ウルトラストレッチ俳人」は新店舗でも健在!

新生タリカロのシェフは奈良在住のヴァイオリニスト。1軒目のタリカロ時代からの常連で東京へも通った方。カレーマニアというわけではなく、唯一無二のカレーであるタリカロのカレーを愛していたのが、タリカロ閉店を知り「この味を無くすわけにはいかない」ということで連絡を取ったそうです。受け継ぎたいとの声が他にもあったそうですが、東京へ通って最終的に元タリカロの店長とシェフに選ばれたとのこと。

タリカロ極意!

「奈良でタリカロの復活を待っている人が多く、その期待に応えるべくタリカロさんより伝授された調理法を手間のかかる工程も一切省略せずに、使命感を持って再現しています」と語ってくれました。

「タリカロ昼のカリープレート」

「タリカロ昼のカリープレート」1,800円は見た目からして再現度が高いです。ご飯を中心に、右から反時計回りにダル、海老カレー、チキンキーマ、チキンカレーのグレイビー、無糖ヨーグルト、副菜、チキンレッグのカレー煮込みが囲みます。

新生タリカロのチキンカレーも安定の激辛

このチキンカレーが激辛で、辛いのにおいしいではなく、辛いからこそおいしいと思える味がタリカロの特徴。辛さだけではなく、唐辛子自体の味と香りとおいしさを感じるカレーであり、味もかなりの再現度の高さです。

他のカレーや副菜もタリカロの味を正式に受け継いでいると言えるでしょう。これはきっとヴァイオリニストだからこそ。クラシックの世界は他のジャンルの音楽と比べると完全にコピーをすることがより厳しく求められる場合が少なからずあるので、そんな世界にいたからこその細かい部分までの意識があるのでしょう。

チキンレッグは、ほぐして副菜や他のカレーと合わせて食べるとおいしさ倍増

完コピ具合も素晴らしかったのですが、それだけではありません。オリジナル料理として「カリーブルスト」1,000円がありました。こちらはシェフが音楽でドイツに留学していた際に出合い、大好物となったカリーブルストを広めたいという気持ちから、タリカロのカレーに使っているスパイスでカリーブルストを作ったそうです。

「カリーブルスト」

カリーブルストは僕自身も好きでよく食べるのですが、カレーパウダーがタリカロだからこその一味違うスパイシーさでとても良いです。お酒も進む一品と感じたのですが、シェフはバーで働いていた経験もあり、お酒も一緒に楽しんでもらいたいとのこと。

「タリカロって食事という以上に体験だと思うんです。自分も客として通っていた時にそう考えていました。これからはそれを伝える側になったので、その味のみならず体験していただく機会を守っていきたいです」と、気合いの入った言葉。

僕自身、奈良にあった時からのタリカロファンの一人ですが、良い人が受け継いでくれたと感じています。奈良のタリカロファンはもちろん、全国のタリカロファンは是非、新生タリカロを体験しに行ってみてください。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格はすべて税込

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部

撮影:カレーおじさん