〈食べログ3.5以下のうまい店〉

グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、トルティーヤ研究家の吉川さんが教えてくれた、メキシコにもロサンゼルスにもない“東京タコス”が評判の広尾の店を紹介。

元イタリアンシェフが手掛ける独創的なタコスの店

自由な発想の具材やソース、華やかなルックスも魅力の“東京タコス”

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

広尾散歩通りの商店街から脇道に入ったところにあり、鮮やかなイエローのオーニングと看板が印象的な建物

東京メトロ広尾駅から徒歩2分、商店街から1本入った場所にあるのが、自家製コーントルティーヤでバラエティ豊かな具材を包む“東京タコス”が評判のメキシコ料理店「Tokyo Tacos ChaChaCha」。2025年7月に元麻布から移転オープンしたばかりとあって食べログの点数は2025年12月時点で3.16だが、タコス好きの外国人をはじめ、広尾でもその味に魅了されるファンが増えている。

 

吉川さん

知り合いのトウモロコシ販売店「Molino Campo Noble」の紹介で知りました。フムスが入ったタコスにびっくり。それまでタコスというものは食感や歯ごたえのあるものが必ず入っていてタコスの味に不可欠だと思っていましたが、それを覆されました。

1階はテラス席2卓と立ち飲みカウンター、2階、3階にテーブル席の全40席

小さなビル全体が店舗となっており、1階はレジカウンターとテラス席、カウンター、外階段から上る2階、3階はテーブル席。店内はブルーとイエローを随所に配した明るい雰囲気で、ランチ、ちょい飲み、パーティーなど幅広いシーンで利用できる。

 

吉川さん

客席は3階まであり3階はパーティーなどでも利用できるスペースになっています。テラス席もあり、外でタコスを食べることもできます。また世界のホットソースがたくさん用意されていて、スタッフに聞けばいろいろと説明してくれてタコスにかけて食べられます。店名に「Tokyo Tacos~」と入っているのは実はあるストーリーが……。ぜひ店員さんに聞いてみてください。

伝統技法で作るメキシコ産コーン100%トルティーヤを使用

店長の池田克巳さん

「うちは初めからタコス店だったわけではなく、手探りで始めたんです」と話すのは、店長の池田克巳さん。
28歳の時にサラリーマンからの転職でイタリアンや創作フレンチのシェフとして働いていたが、休みの日に知り合いが働くカフェ(Cha Cha Chaの前身の店)に手伝いに行くうちにカフェの仕事が面白いと感じるようになり、再転職。その後、コロナ禍の影響でデリバリー用メニューとして選んだのがタコスだったという。
「当時はタコスやメキシコについてほとんど知識がなかったので、縁があったメキシコ人に家庭料理から教わり、勉強しました」(池田さん)

提供開始当初はトルティーヤも、手軽に作れる「マサ粉」という石灰処理済みのとうもろこし粉を使用していた。しかし池田さんが店を任され、タコス専門店としてリニューアルすることになったのを機に「やるならすべて手作りしたい」と「ニシュタマリゼーション」という本場メキシコの伝統技法を導入。

トルティーヤの生地には基本的にブルー、レッド、イエロー(入荷状況により変更する場合もあり)3種のメキシコ産トウモロコシを使用している

現在では、メキシコ産トウモロコシを石灰水で煮た後、一晩寝かせてから生地を焼き上げる手間のかかる工程を日々繰り返して、トウモロコシ100%の自家製コーントルティーヤでタコスを提供している。

使用するトウモロコシの違いでトルティーヤの色も3色に
柔らかな食感に仕上げるため、あえて膨らませずに軽く焼き上げている

伝統製法を取り入れている一方で、オリジナルのアレンジも。製粉したトウモロコシ粉にぬるま湯のみを加えて練るのがメキシコのトルティーヤの王道だが、しっとり柔らかな口当たりにするため、同店ではさらにオリーブオイルとイタリアの天然海塩「サーレ」を混ぜて生地に仕上げている。ピザ生地やフォカッチャを作る際、保湿のためにオリーブオイルと塩を使用するイタリアンの調理法を応用したアレンジだという。

 

吉川さん

店名の通りまさに「東京タコス」! トルティーヤはメキシカンの要素からきていますが、具材は多種多様で、この東京のど真ん中で味わうに値するオリジナルなタコスばかりです。シェフの池田さんはイタリアン出身ですが、イタリアンの要素の他にもさまざまな料理の要素を感じます。トルティーヤはメキシコ産のトウモロコシから完全自家製で、タコスのおいしさの土台となっています。

左から、フルーティーでピリッとした辛さの「HEARTBEAT CAMP SAUCE」(カナダ)、アップルサイダービネガーの酸味が特徴的な「HOT ONES The Classic」(アメリカ)、日本のブランド「Mellow Habanero」の、スモーキーフレーバーの「Smoky」、柚子の風味に刺激的な辛さの「YUZU Heaven」、ライムベースの「QUEEN MAJESTY ハラペーニョテキーラ&ライム」(アメリカ)。ホットソースは現在この5種のラインアップ。店頭で販売もしている

バラエティ豊かなタコスの具材を取り揃えるだけでなく、各国のホットソースで味変を楽しめるのも同店の注目ポイント。
「もともとホットソースは自分の個人的な趣味で集めていたんです。世界各国でいろいろな種類があって面白いので。それに、うちのタコスは基本的に子供でも食べられる辛さにしています。人によってはパンチが足りないと感じることもあるので、ホットソースでご自身の好みに合わせて調整してもらえれば」(池田さん)
それぞれ辛さや風味が異なるので、スタッフに相談しながらあれこれ試してみるのも楽しい。

コレが一押し! ヘルシーなのにボリューム満点な「フムスとアボカド タコス」

「フムスとアボカド タコス」720円

健康志向の人に注目されているひよこ豆を使った中東料理「フムス」とフレッシュアボカドを合わせたタコス。フムスは、苦みのあるタヒニの代わりに日本の練りごまゴマを使って優しい味わいに仕上げ、濃厚な黒ニンニクのソースを合わせてパンチをプラスしている。

フムスのタコス自体珍しいが、日本発祥の食材である黒ニンニクのソースを合わせているのも特徴的
 

吉川さん

ひよこ豆のフムスとフレッシュアボカド、自家製コーントルティーヤの相性が抜群にいい。野菜と豆だけでこんなにもおいしいタコスがあるとは! ヘルシーでありながらボリュームもあり満足度も高いです。