「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第17回は、本場中国・重慶のガチな火鍋が食べられると話題の「玖玖老火鍋」のおいしいポイントを教えてもらいます。
【東京メシうま酒場 vol.17】「玖玖老火鍋」(ジョジョロウヒナベ)
昨年は流行語大賞の候補にまでなった「ガチ中華」。今回はガチ中華マニアの間でも話題の、ガチ中華の最前線と言えるお店に行ってきました。
湯島にある「玖玖老火鍋」がそのお店。ガチ中華店以外でもよく見かける中国の火鍋は、真っ赤なスープでいかにも四川料理という感じですが、実は四川ではなく重慶が発祥の地。重慶の人は「重慶の本場スタイルの火鍋しか認めない!」というくらい火鍋愛がすごいとか。そんな重慶スタイルの火鍋を食べられる専門店がこちらの玖玖老火鍋。つまりは、ガチ中華の最前線なのです。
お店に入ると、中央に大きく「重慶」のネオンが! 重慶スタイルへのプライドを感じます。なお、ガチ中華のお決まりですが、席のお客さんは僕ら以外全員中国の若い人たち。しかも最近は連日予約でほぼ満席で2時間制にしているというから、いかに本場の人に人気のお店なのか分かります。
そしてこちらもお決まりですが、メニューは中国語のみで、正直一言も分かりません……。覚悟はしていたけど、こうも一言も読めないと、さすがに頼みようがない……と困っていたら、なんと店員さんが日本語を入れたメニューをくれました!
店員さん超優しい! 考えてみれば、日本で日本語のメニューをもらえるって普通っちゃ普通なのですが、あくまで本場のお店にこちらがお邪魔しているのですから、これには感謝です。
システムは、まずスープを選び、あとは好きな具を選ぶというシンプルなもの。中国料理屋さんで、よく赤と白の2つのスープに分かれている鍋を見かけますが、本場重慶では赤色のみのストロングスタイルだそうなので、今回は赤のみを選択(実際は2色も頼めて、お客さんはほとんど2色を頼んでいましたが……)。
こちらが鍋のもと! 牛の脂を固めたものに各種スパイスや味付けがされています。辛さを聞かれたので、そこは重慶スタイルで一番辛い「特辣」を選んだら、優しい店員さんに「ゼッタイニ、ヤメタホウガイイデス!」とやんわりアドバイスをもらい、あまり辛くない「微辣」にすることに。辛くしたければ途中からでも辛くできるということなんで、まずは微辣から始めましょう。
先ほどの鍋のもとに、だしを注いで温めていきます。
タレは1人200円で、好みのものを選ぶセルフ式。ごま油、中国醤油、オイスターソース、唐辛子、パクチー、青ネギ、刻みニンニクなど、調味料と薬味がそろってます。
重慶ではごま油に、にんにく・塩・パクチー・ネギなどを入れるのが基本のスタイルということで、その通りに。少しすると鍋がグツグツと煮えてきました!
微辣といっても、表面は真っ赤で、結構な唐辛子が入っています。店員さんがまずは微辛からと言うのも分かります。具材も重慶っぽいものを選択。
具材があれこれ出てくると、それだけでテンション上がります! というわけで、重慶スタイルの火鍋スタート!
鴨の血を固めたもの。臭みもまったくなくプルプルの食感で、大好物なんです。
重慶式の火鍋では必須のセンマイは火を通すとキュッと締まって、歯応えが絶妙。ヒダヒダの部分に汁が絡まって味も最高。
麺のように細く切られたじゃがいもが、汁を吸って、めちゃくちゃおいしい! 周りの中国のお客さんもみんなこれを頼んでいた理由が分かります。
鍋の材料以外に、そのまま食べられるおつまみもあります。牛のアキレス腱も麻辣味で美味。そのままでもいいし、鍋に入れて温めてもおいしいです。
変わったもので自家製のチヂミは、芋の粉を使っていて、モチモチの食感が面白い。火鍋の箸休めにもぴったりです。
お酒は重慶の白酒「江小白」。POPなデザインで若者にも人気のお酒。アルコール度数は40度と高めですが、フルーティーですっきり飲みやすく、辛い火鍋にもよく合います。
すっかり辛さに慣れたところで、唐辛子を追加してもらい、微辣→中辣にレベルアップ! ここからが本気の火鍋です。
日本ではまず見かけない、鴨の腸。これも重慶ではポピュラーな火鍋の具材なんだそう。
鴨の腸は鍋に入れると、キュルルッと縮まって、コリコリの食感に。基本の味はとにかく麻辣ですから、食材による食感の違いを楽しみます。
ラム肉も辛さを吸って、めちゃくちゃおいしい! 鍋の汁が煮詰まるほどにどんどん辛さと旨さが増していくから、後半からむしろ箸が止まらなくなる! これぞ重慶式の火鍋マジック。辛くて熱い、本場の火鍋を東京で楽しめるガチな名店でした!