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食通が見いだした今月の新店
新型コロナウイルスの流行により苦戦を強いられていた飲食店は、少しずつ元の活気を取り戻し始めています。私たちも我慢の連続から少し解放され、おいしいものを食べて明日への活力に、そして、飲食店をより盛り上げて行きたいですね。
そこで、グルメ情報に精通している方々に、最近訪れた新店に関するアンケートを実施。特に注目している「今月の新店」について教えていただきました。
今回は、グルメライターの小寺慶子さんにお答えいただきます。
教えてくれる人
小寺慶子
肉を糧に生きる肉食系ライターとして、さまざまなレストラン誌やカルチャー誌などに執筆。強靭な胃袋と持ち前の食いしん坊根性を武器に国内外の食べ歩きに励む。趣味はひとり焼肉と肉旅(ミートリップ)、酒場で食べ物回文を考えること。「イカも好き、鱚もかい?」
今月のベストワン
Q. 直近で行った新店の中で、特におすすめしたいお店を教えてください
A. 「PRIMO PASSO」です
シェフの藤岡智之さんは30歳という若さながら「ひらまつ」、文京区「シチリア屋」のほか、南イタリアの星付きレストランで働いた経験も。純粋に料理を楽しむ姿は実に清々しく、料理そのものにもフレッシュな才能を感じます。
切りたての生ハムに始まり、パスタを中心に構成されるコースは彩り豊かでとても軽やか。イタリア料理へのリスペクトと愛情、日本の料理人としてのアイデンティティを持ち合わせ、ときには和だしを活用するなど、センスとバランス感覚が良いです。「パスタの引き出しはたくさんあります」という頼もしい言葉にも、新しいイタリアンのリーダーになる素養があふれています。
カウンターキッチンの醍醐味を楽しむなら、食好きの知人を誘って少人数で行くのがおすすめ。オープンしてまもないですが、絶対にスベらない安心感と、レストランで食を楽しむときめきがきちんと備わっているのも素晴らしいです。
Q. 「PRIMO PASSO」でおすすめしたいメニューを教えてください
A. 「パスタ」(16,500円コース内)です
イタリアで働いた一つ星のレストランではパスタ場を任されていたとあって、シンプルな食材使いでハッとするほどの“イケ麺”に仕立てる名手です。
トマトの酸味と甘み、バジルの爽やかさがぐっと際立つスパゲッティやウニのピュアな風味をダイレクトに感じられる冷製カッペリーニ(これを出されるお店はめずらしくないですが、ケタ違いに味の締まりが良かった)、カプチーノの泡の下にひそむパスタをカラスミで味変しながら食べるひと皿も楽しいです。
最後にいただいた揚げたてのボンボローネも忘れがたく、さりげないけれど記憶に残る料理がコースに多数盛り込まれているのも魅力的な点です。