〈これが推し麺!〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回訪れたのは、食べロググルメ著名人・柏原光太郎さんがおすすめするイタリアン「イルブリオ」。あの名店出身のシェフが手掛ける「ボロネーゼ」を紹介します。

教えてくれる人

柏原光太郎

日本ガストロノミー協会会長。大学卒業後、出版社に勤務し、グルメ本を手がけたことで食の奥深さに目覚める。料理は作ることも食べることも大好きで、一人娘の弁当を毎日作っていたことも。料理好きのための食の発信基地としての役割を担うべく2017年12月社団法人「日本ガストロノミー協会」を設立。

8年以上、六本木ヒルズ内に店を構える人気店

厳選された美食店がひしめく六本木ヒルズ ウェストウォーク5階。その奥に静かに鎮座する「イルブリオ」は、食通に愛されるレストランだ。白を基調にしたさりげなくモダンなインテリアとゆったり間隔をとったテーブルレイアウトは、寛ぎをもたらしてくれる。また大きな窓から東京タワーを一望する展望の良さも印象的だ。

テラコッタタイルに赤い文字で描かれた看板。カジュアルだが温かい雰囲気を醸し出している
六本木ヒルズの中でも唯一、目の前に東京タワーを眺める絶景。夜ともなればきらめく夜景もごちそうに

熟練のシェフだからこそ、大人のワガママを叶えてくれる

シェフの廣本高晴さんは、日本のイタリアンの草分け「キャンティ」出身。お客様の望むとおりに料理を作るという、伝説的な「キャンティ」のコンセプトそのままに、こちらでも“As you like it(お気に召すまま)”が基本となっている。定番メニューはあるが、基本はワゴンで運ばれる全国からよりすぐりの季節の食材だ。ゲストはワゴンを眺めながら、好きな食材を好みの調理法でリクエストできる。その際には、食材を知り尽くしたサービススタッフが相談に乗り、食材をより生かす調理法、シェフへのオーダーを手助けしてくれる。

廣本高晴シェフ。イタリア料理店「キャンティ」から料理人のキャリアをスタートさせ、いったんは独立。しかしその才能を惜しまれて再びキャンティのシェフとして活躍。2014年からは「イルブリオ」料理長に

「イタリアンだけでなく、和食から中華まで、お客様にリクエストされればできる限りお応えしたいと思っています。そのための準備もぬかりはありません」と廣本さんは話す。

 

柏原さん

広尾「アッピア」、ひいては飯倉「キャンティ」と同じスタイルと聞いていて、以前から気になっていた店だったが、ご招待を受けて以来、訪れています。

素材はすべて一流。シンプルだからこそこだわりを追求した

ボロネーゼは、イタリア・ボローニャ発祥の料理が元だが、こちらの「ボローニャ風ミートソース」は日本人が大好きなミートソースに少し寄せている。

和牛と豚肉は7対3の割合。香味野菜もフレッシュで良質な国産食材のみ

食材はどれも国内有数の良質なものを厳選し、肉は和牛と国産豚肉を使う。たっぷりの玉ねぎと香味野菜をじっくり炒めて旨みを出し、トマトソースやデミグラスソースを加えてコクや甘みを補う。キノコや季節の野菜を投入するというリクエストにも気軽に応じてくれるので、シーズンごとに、自分だけのボロネーゼをオーダーするのも夢ではないのだ。

 

柏原さん

メインの食材に使われる飛騨牛などの黒毛和牛のうち、メインディッシュになりにくい部位を使っているとのことで、粗めにひいた牛肉の旨みがしっかりと立っています。