TOKYO HIP BAR Vol.25
ふらりと通いたくなる「ネイバーフッドバー」を銀座で見つける
ハードルが高すぎない
自分に合ったバーを銀座で
海外で耳にする“ネイバーフッドバー”という言葉。これは“ネイバーフッド=近所”のバーの意味ですが、それ以上にバーテンダーとお客様の距離感を意味する言葉のようです。ネイバーフッドバーの条件としては、照明が暗すぎず入りやすい雰囲気であること、金額が高すぎないこと、バーテンダーが名前を覚えてくれること(または覚えようとしてくれること)などが挙げられます。エリアによってはそうしたバーも見つけやすいものですが、バーの聖地・銀座では、なかなかネイバーフッドバーと呼べるようなお店は少ないもの。
そんななか、オープンしたのが香港でジャパニーズスタイルのカクテルバーを展開する「BUTLER」の銀座店「BUTLER GINZA BRANCH」です。道路に面した1階に位置し、BUTLERと書かれた黒いひさしが飾られた入り口は、さながら花屋かカフェのよう。中に入ると、モスグリーンの壁紙に囲まれたカウンター席のみの、親密さのある空間が広がります。バーのオープンとしては早い16時からオープンしていることや、19時まではカバーチャージもかからないなど気軽に立ち寄れることも、ネイバーフッドバーにできるポイントです。
お店に立つ水岸直也バーテンダーは30代と若いものの老舗ホテルのバーでの経験もあり、カクテルコンペティションでも優秀な成績を残している実力派。英語も堪能で外国人の接客もこなします。
海外の流れを汲んだクラフトカクテルが並ぶ中、おすすめは「BETTER TOGETHER(ベタートゥギャザー)」。シングルモルトをベースにタイムで香りづけした自家製リキュール、リンゴジュース、レモンジュースに薬草酒やキャラメルシロップを加えたクリエイティブな1杯です。ウイスキーカクテルといっても、初めに感じるのはハーブや柑橘の爽やかさ。その後、ウイスキーの余韻が心地よく口の中に広がります。カクテル名「BETTER TOGETHER」はハワイ出身のミュージシャン、ジャック・ジョンソンの曲名からとったものだそう。“ともに良くなる”の意味をもつ言葉は、さながら水岸さんのお客様との接し方を表しているようです。
同世代のバーテンダーとの繋がりも深い水岸さんがこのカクテルを生み出したのは、バーテンダーが集まってキャンプをした夜のこと。様々なウイスキーと素材を持ち寄って、バーテンダー同士語り合いながら創造したカクテルたちは「SCOTCH EGG CLUB」というイベントで都内での発表もされており、バーテンダー仲間とのバーを超えた活動にも注目が集まっています。
銀座8丁目から新たな文化発信を行なうネイバーフッドバーの活躍に、これからの期待が高まります。