【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#172】名古屋特別編

東京と大阪の中間地点である名古屋。東名阪という言葉もあるものの、カレーに関しては東京や大阪と比べると店舗数も話題店も少なく、札幌や福岡と比べても出遅れている印象があったのですが、ここのところ名古屋エリアでもレベルの高いお店、注目すべき新店舗が増えてきているというのは今年1月にもお知らせしました。

その後さらに話題のお店が生まれているのですが、今回は2024年4月にオープンした、名古屋の新店を2店舗ご紹介いたしましょう。

「デリー プラナーリ 名古屋」

最初にご紹介するのは、4月23日に栄の中日ビル地下飲食店街「栄めし小路」内にオープンした「デリープラナーリ名古屋」。

こちらは店名の通り「デリー」の姉妹店。デリーと言えば1956年創業の東京・湯島に本店を構える、日本のカレーの歴史において外すことのできない老舗の名店です。直営店は東京にしか無く、のれん分けのお店は北海道や富山にもあるものの、名古屋での店舗は期間限定の催事営業を除けば初で、こちらはフランチャイズ店となるそうです。

「八丁味噌コルマカレーのタンドーリチキンセット」

デリーの看板メニューと言えば激辛のカシミールカレーですが、僕の一押しは玉ねぎのうまみが存分に味わえるコルマカレー。そしてこちらデリープラナーリには、名古屋限定メニューとして八丁味噌コルマカレーもあるとなればこれを頼まないわけにはいかないでしょう。「八丁味噌コルマカレーのタンドーリチキンセット」1,580円を注文。サラダとドリンクもついてこの価格はお得です。

ジューシーなタンドーリチキン

タンドーリチキンはご飯の上にのる形。ヨーグルトとスパイスで味つけされたジューシーなチキンは食べごたえあるトッピング。

八丁味噌を使用したコルマカレーには長ネギをトッピング

メインの八丁味噌コルマは大きくカットされた豚肉がゴロゴロと入り、デリーのコルマらしい玉ねぎのうまみと八丁味噌の奥深いコクと甘みがスパイスによって見事に調和した逸品。長ネギがあしらわれているのですが、見た目的にも味的にも意味を感じる薬味となっています。

カレーをご飯にかければ、一気に食欲の湧き立つビジュアルに

ちなみにこの八丁味噌コルマはデリーの取締役が名古屋店のためにレシピ開発したそうで、当初はもっと辛い仕上がりだったのが、多くの方に食べてもらうために辛さを抑えた現在の形に着地したとのこと。名古屋ならではの味に大満足でした。そして今後各地にデリーが広がり、その土地らしさのある限定メニューが増えていったら楽しいだろうなという夢も広がります。卓上には定番の玉ねぎアチャールときゅうりのピクルス。すべてのせて一気にかきこめば、それは至福の時間。ドリンクにもサラダにも手抜きがなく、流石のクオリティでした。

サラダ

場所が栄めし小路の中の少々奥まった場所にあり、わかりにくいこともあってか、時間によっては並ばずに食べられる穴場デリーです。

「カレーと民藝と酒 TeTe」

続いてご紹介するのは千種区高見にて4月3日にオープンした「カレーと民藝と酒 TeTe」。こちらはビルの屋上で間借りカレー店として営業していたお店が好評となり、同じビルの3階に独立店舗としてオープンした形。4階の「カサブランカ」と姉妹店のため、店舗の一部はギャラリーやイベントスペースとして3階と4階と合わせて展開しているそうです。

民藝とは手仕事によって生み出された日常づかいの雑器。インドの食器をはじめ、世界各国の雑貨が購入できるのも楽しいです。

「ラムチャイ」
「茄子のアチャール」

店名に酒も入るのでまずは「ラムチャイ」600円を注文し「茄子のアチャール」300円をアテに。ラムチャイはラムと紅茶とスパイスの香りの三位一体。心落ち着くような甘みで身体の芯から温まります。茄子のアチャールも程よい酸味とスパイス感。

「2種プレート」

メインは「2種プレート」1,300円。この日のカレーはレモンチキンとチャナマサラ。レモンチキンは爽やかで軽やかなテイストが印象的。チャナマサラは基本的に北インド料理で濃厚なテイストなのですが、こちらのチャナマサラは実にさっぱりとしていて南インドを感じました。聞いてみるとシェフは南インド料理の名店「エリックサウス」の名古屋店に長年勤めていたそうで納得。ご自身も全国的にカレーの食べ歩きをしているそうで、だからこそのオリジナリティも感じるおいしさに仕上がっていました。

チャナマサラ(写真左)とレモンチキン(写真右)

店内の雰囲気がとても良く、女性客が多かったのも印象的。シェフは「人から人へ伝えていく手仕事の温もりを感じていただけるような空間を目指していきたい」と語ってくれましたが、まさにそんな空間。

天気の良い日は屋上でゆったりとカレータイムを

天気の良い日は今も屋上で食べることもできるそうで、他に無いカレータイムを楽しめるお店です。

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集