【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2024年1月を振り返る

2024年はどのようなカレーが注目を浴びていくのでしょうか。カレーも多様性の時代。何が正しくて何が正しくないかという考え方も否定しませんが、正しくなくとも面白いカレーを否定しないことが多様性のあるべき姿ではないかと思います。個人的には正しかろうが正しくなかろうが、おいしくて面白さもあれば良いと考えています。

というわけで今月は僕がおいしくて面白いと思う新店舗をご紹介しました。

  1. スリランカ人と日本人のご夫婦が営むスリランカ料理酒場
  2. ミャンマー人オーナー、インド人シェフによるビリヤニ専門店
  3. 南インド料理の名店出身シェフによるカジュアルでキャッチーなインドカレー店
  4. 名古屋のカレー界を盛り上げる正統派インド料理店と、自由なスパイスカレー店

以上5店舗のご紹介。どれも個性的なお店ばかり。

今年もますます素敵なお店を探し、見つけ、ご紹介していきたいと考えておりますのでどうぞよろしくお願いします!

【第1週のカレーとスパイス】昼はカレー、夜はスパイス酒場! 気軽に本場の味を楽しめるスリランカ料理店が南阿佐ケ谷にオープン「FukuLan」

2023年は南インド料理のお店が数多くオープンしました。コロナ禍により自宅でスパイスカレーを作る方が増え、レシピなどを見ていくうちに、スパイスカレーに影響を与えた南インド料理などの現地料理に興味を持った人たちが食べに行っているということもあり、まだまだ南インド料理店は増えていきそうです。一方でスリランカ料理店はそれほど増えていない印象。大阪スパイスカレーの歴史をひもとくとスリランカ料理の影響も甚大ですから、2024年にはスリランカ料理のお店が増えると良いなという期待を込めて、今年1回目の「今週のカレーとスパイス」は、昨年末にオープンしたばかりの「FukuLan」をご紹介しましょう。

こちらはスリランカ人と日本人のご夫婦が営むお店。昼はカレーライスやコットゥ(ロティやカレーを炒め合わせたスリランカ料理)、夜はそれに加えて居酒屋料理的なものも味わえる酒場へと変身します。

「スパイスカモ」

まずは「スパイスカモ」600円から。トゥナパハ(スリランカのミックススパイス)やチリなどであえた鴨肉を焼き、細かく刻んだネギをのせた、見るからにお酒のおつまみ。

スペシャルブレンドのトゥナパハの香りと鴨肉の脂のうまみが好相性。適度な弾力があり、噛めば噛むほど口内においしさが広がって染み渡ります。

「ワイフぎょうざ」

「ワイフぎょうざ」420円は文字通り奥様作の餃子。餃子の皮の代わりに油揚げを使用しており、中身はぎっしりと餃子のあんが入っています。

程よい味付けがなされているので醤油をつけずともおいしく食べることができました。

〆のカレーはミニサイズがあるのがとてもうれしいです。「日替わりカレー ミニ」600円の中から、ポークカレーをオーダー。

ポークカレーの「日替わりカレー ミニ」

こちらはミニサイズながら優しい味わいのパリップ(スリランカの豆カレー)とスモーキーなポークカレーで、オーセンティックなスリランカ料理の味。もちろんフルサイズも選べますが、色々とつまんでから〆のミニという流れがおすすめです。

お酒もスリランカビールをメインに定番のお酒が各種、ソフトドリンクにも「ジンジャービア」350円など面白いものがあり、お酒が飲めない方でも楽しめます。

「ジンジャービア」

本格的すぎる現地料理のお店はハードルが高いと感じる方もいるでしょうが、こちらのお店は親しみやすい雰囲気であり日本語も通じるので、マニアにも初心者にも安心のお店と言えるでしょう。

このようなお店がもっと増えていくと、マニア以外の層のカレーへの理解度も深まっていき、日本のカレー文化がより成熟していくのではないかと思うのです。

【第2週のカレーとスパイス】ビリヤニ好きに朗報! インド料理とミャンマー料理の融合を楽しめるビリヤニ専門店が大塚にオープン「MM BIRYANI HOUSE」

昨今すっかり市民権を得たと言えるビリヤニ。説明するまでもないかもしれませんが、スパイスを使って味付けした肉や野菜と一緒にお米を炊いたもので、インド亜大陸の郷土料理です。そんなビリヤニの専門店も増えましたが、今回ご紹介する「MM BIRYANI HOUSE」はかなり面白いお店と言えます。

こちらは高田馬場にある「MMマート」というアジア系食材店のオーナーが手がける飲食店。オーナーはミャンマー人であり、MMマートにはミャンマー系の食材が多くそろっている他、様々なスパイスなども置いてあります。

MM BIRYANI HOUSEの場所は大塚駅北口すぐ近く。以前もインドネパール系のお店が入っていた場所ですが、内装はかなり変わってゴージャスになりました。

メニューを開けば日本語、英語、そしてミャンマー語で表記されています。店内も僕以外は恐らく全員ミャンマーの方だろうと思しきお顔立ち。ミャンマー人コミュニティの中では既に話題のお店なのでしょう。

ミャンマーでビリヤニというとダンパウ(スパイス炊き込みご飯の上にスパイスで煮込んだ肉をのせたミャンマー風のビリヤニ)という料理が思い浮かびます。店員さんに「このチキンビリヤニはダンパウですか?」と聞くと、店員さんは日本語が不得意なようで通じなかったのですが、隣のお客さんが「ダンパウと同じよ!」と教えてくれました。

ならばと頼んだのは「チキンビリヤニ」1,269円。そしてマトンカーレと表記された「マトンカレー」864円も。

「チキンビリヤニ」

まずサーブされたのはチキンビリヤニ。蓋を開けてみればこれはダンパウというよりはインドのチキンビリヤニです。

ビリヤニといえばライタが添えられることが多いのですがこちらはサラダとチキンスープ、そしてバラチャウン(ミャンマーのふりかけ)とマンゴーアチャール(インドのスパイス漬)という不思議な組み合わせ。

食べてみるとパラパラ感としっとり感が融合したビリヤニ。長粒種のご飯の中にスパイスで味つけられた骨付きチキンがゴロゴロと入っています。これはダンパウではなくビリヤニではないかと考えながら、付け合わせのバラチャウンをかけてみると一気にダンパウ感が出てくるのが非常に面白いと感じました。

マトンカレーもセッターヒン(ミャンマーのマトンカレー)というよりはインドの味に近いのですが、マトン自体が持つクセの出し方としてはミャンマー料理の雰囲気も同時に感じます。

「マトンカレー」

これは羊肉が苦手な方にはおすすめできませんが、逆に羊好きならガツンと羊の味わいを感じられるので良いです。僕は羊好きなのでおおいに楽しめました。

ミャンマー人のお店なのにかなりインド味だと感じてシェフはどこの国の方か聞いてみると、やはり他のミャンマー人と思しきお客さんが教えてくれました。「ここは社長さんがミャンマー人。シェフはインド人。ミャンマーとインドは料理が似ているところがあります」と。

インドとミャンマーどちらも感じて面白かったと伝えると、どうやらそれが在日ミャンマー人の間でも受けている様子。だからこその人気だったのですね。

面白いお店ができました。マニア向けのお店ですが「バラチャウンをかけたビリヤニ」というワードにピンと来る方にはとてもおすすめです。