【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2023年12月を振り返る

2023年を振り返ると、コロナ禍による飲食店の営業時間等の制限が緩和され、形としてはコロナ以前に戻った状態となった年でしたが、まだまだ飲食店の活気は完全に元どおりとは言えない状況です。外出自粛によって家で食べることに慣れた方が増えたり、デリバリーの需要が高まったりと、さまざまな要因がありますが、個人的にはやはり飲食店で食べるのが一番おいしいと感じますし、飲食店に食べに行くということ自体の楽しさがあると考えています。来年はその辺りの雰囲気も戻ってほしいという以上に、新しい形の外食需要が増えていくことを期待しつつ、12月もわざわざ食べに行く価値のある以下5店舗をご紹介しました。

  1. 間借りカレー店として人気となったお店が装いも新たに移転独立
  2. 移転を機に興味深いメニューを増やしたタイモダンカフェ
  3. 話題の麻布台ヒルズに登場したインド料理の老舗
  4. ネパール料理の聖地大久保の隠れた名店
  5. 南インド料理の名店で働いた方による期待の新店舗

年末年始、営業するお店が少ない中で比較的カレー関係のお店は開いていることがあります。今回ご紹介しているお店が開いているというわけではありませんが、毎年僕のSNSなどで都内のカレー店の営業情報をまとめていますので、気になる方はそちらもご覧ください。年末年始こそカレーがおすすめですよ!

【第1週のカレーとスパイス】さらに極まっただしが利いている! 桜木町の人気間借りカレーが日ノ出町に移転&独立「ムムムカリー」

桜木町駅近くの日本酒バーで間借り営業していた「ムムムカリー」が、2023年10月に、日ノ出町駅近くに移転、独立オープンしました。昼はカレーの「ムムムカリー」ですがこちらは正式な店名ではなく、夜の「muy bien(ムイ ビエン)」が正しい店名。つまりはいわゆる二毛作営業と呼べる形へと進化したわけです。

ちなみに夜はカルチャーセンター酒場というスタイルで「ナチュラルワインに合う気の利いたアテ」をコンセプトに営業。夜にも〆のカレーやビリヤニが食べられることもあるようですが、無い場合もあるということで、今回は確実にカレーを食べたかったので昼の「ムムムカリー」営業に行ってきました。

カレーは日替わりの2種盛りをメインにトッピングを追加していく形。

「2種盛り」と「エビのマスタードマサラ」

本日の「2種盛り」1,200円はムムムチキンとベジタブルコロンブ(コロンブとは南インドの汁物料理という意味合い)のあいがけ。こちらに「MIXきのこアチャール」200円と「ボー・ラロット」250円をのせ、別皿提供の「エビのマスタードマサラ」400円も注文しました。

元々シェフは“indigo spice”というオリジナルのカレーパウダーを作り、販売するスパイスショップからスタートし、コロナ禍で新しいベクトルに向かうべく桜木町で間借りカレー店をスタートさせた方で、カレーに関しては独学とのことですが、センスの良さが随所に光るカレーとおかずでバランス良く総合力の高いおいしさです。

ムムムチキンはスパイシーさとうまみのバランスが良く、ベジタブルコロンブは滋味深く穏やか。間借り時代と比べても確実にワンランクおいしくなっていると感じて聞いてみると「間借りの時に比べて鶏肉や野菜などは品質を上げています。独立店舗になり、ゆっくりだしをとれるようになったことで、以前よりカレーに奥行きができてきたと思います」とのことで納得。

きのこアチャールもしっかり辛さがあるのが良く、ボー・ラロットというベトナムの牛肉ハーブ包み焼きがトッピングとして存在するのも個性的で楽しいです。

エビのマスタードマサラも海老ならではのうまみがしっかりと出ており、マスタード感はそれほど強くないからこそ海老感が際立つような仕上がり。

「ムムムマサラチャイ」

食後に「ムムムマサラチャイ」350円もいただいて余韻に浸っていると、寒い日だったのですが顔にじんわりと汗を感じました。これはスパイスの使い方が適切な証拠。食べてととのうような、気持ちの良いカレーとチャイでした。

夜はカレーのみの注文はNG、昼は現金のみでカード等がNGということですが時間によって楽しみ方が変わり、一度で二度と言いますか一軒で二軒分の楽しさとおいしさが味わえるのが二毛作営業の良いところ。店内にはDJブースもあって夜営業も何かと気になりました。昔ながらの飲み屋街に近いエリアですが、こちらはおしゃれな雰囲気で夜も楽しめそう。

さまざまなニーズに応えてくれる期待の新店舗です。

【第2週のカレーとスパイス】タイカレーと焼きうどんが融合!? 水天宮前に移転したタイモダンカフェの新メニューに注目「スパーブ タイモダンカフェ」

八丁堀にあった「スパーブ タイモダンカフェ」が、水天宮前駅から徒歩5分ほどの場所に移転しました。八丁堀時代は小さなお店で、食事メニューもあったものの種類が少なかったのですが、新しいお店は倍以上の広さとなりメニューも増えました。

タイモダンカフェのモダンという言葉は料理界において新しい料理を意味し、味付けや盛り付けなどに工夫のあるスタイルのこと。イノベーティブフュージョン的に他のジャンルと融合させた料理もあるのですが、こちらのお店のモダンはもっと気軽な雰囲気。カフェとしてのちょっとしたモダン感、創作料理感があるというイメージで行くとちょうど良いかと思います。

そんなわけでメニューにはタイ料理定番のグリーンカレーやパッタイなどもあるのですが、その中で一際異彩を放っていたのが今回いただいた「ゲーンソム焼うどんスリラチャソース炒め」1,280円です。

「ゲーンソム焼うどんスリラチャソース炒め」

ゲーンソムとはタイサワーカレーとも呼ばれる酸っぱ辛いテイストが印象的なタイカレー。また、スリラチャソースとはシラチャーソースとも呼ばれるソースで、ゲーンソムと同様に酸味と辛みが特徴。それの焼きうどんというのは全く想像がつきません。

出てきたものを見るとゲーンソム的にオレンジがかった色味の焼きうどんにシラチャーソースがかけられています。ゲーンソムは魚を使うことが多いのですが、こちらの具は豚肉。そして海苔が2枚添えられているのもどういうことなのだろうと食べてみると、真っ先に浮かんだのは豚キムチ。ゲーンソムという以上に豚キムチに近いテイストなのです。だからこそ海苔も合うわけです。

豚キムチと違うのは、ほのかな甘みを感じること。この辺りが酸味、辛み、甘みが特徴のタイ料理らしさと言えましょう。わかりやすく言い換えるなら、タイサワーカレー風豚キムチ焼きうどんでしょうか。これは他には無い面白さです。

「タイ式牛すじ煮込み」

サイドメニューから「タイ式牛すじ煮込み」680円(小鉢サイズ)も頼んだのですが、こちらはタイ料理のヌアトゥンに一工夫加えたものでした。オーセンティックなヌアトゥンに辛味ペーストを加え、好みで混ぜながら食べるというもの。ヌアトゥン自体が八角などのスパイスによる甘やかな香りがある煮込み料理なので、酸っぱ辛い焼きうどんと合わせると全く違うベクトルとなり食べ飽きることなく完食。

「ピンクミルク」

食後にはタイのドラマに登場し話題となった「ピンクミルク」600円をホットで。サラというタイの果物をシロップにした「サラシロップ」を使用した優しい甘さはいちごミルクにも似ていますが、それともまた少し違うテイストなのが面白く、見栄えも良いです。

店内も明るく、既にかなりの人気の様子。このエリアは意外と飲食店が少ない中で、こちらのように個性的なタイモダンカフェができたのは喜ばしいこと。個性的なタイ料理を求めている方や、近場でゆっくりできるカフェを探している方にぴったりのお店です。

【第3週のカレーとスパイス】話題の美食タワー「麻布台ヒルズ」にインド料理の名店が登場「AHILYA INDIAN RESTAURANT 麻布台ヒルズ店」

2023年末、最も話題を集めたスポットと言えば「麻布台ヒルズ」ではないでしょうか。飲食店も数多く入っており、カレーを出すお店もちらほらありますが、麻布台ヒルズ価格だなと感じるお店も多い中、代々木の老舗アヒリヤの系列である「AHILYA INDIAN RESTAURANT 麻布台ヒルズ店」は、この場所においてはお得だと思える内容のものが多くありました。

店内は高級感漂う内装。メニューはバターチキンカレーなど一般的な認知度の高いものをはじめ、ドーサなど南北インド料理を取りそろえているのですが、その中に「ムルグパティアラ」1,650円を発見しました。北インド・パンジャーブ地方にあるパティヤーラーの郷土料理です。これをレギュラーメニューとして置いてあるお店はなかなかありません。こちらに「チャパティ」400円を合わせていただきました。

「ムルグパティアラ」と「チャパティ」

カシューナッツや生クリームを使用した濃厚でリッチなテイストのムルグパティアラはセミドライなテクスチャでシンプルなチャパティと良く合います。重厚でありながらしつこくないのは、青唐辛子の爽やかな辛さが程よく利いているから。これぞ北インド料理の醍醐味と思えるおいしさで、インド料理マニアのみならずバターチキンや普通のチキンカレーしか食べたことがないという方には是非トライしてほしい逸品です。

ムルグとはチキンを意味する言葉なので、鶏肉好きで辛いものがある程度いける方なら間違いなく満足できるでしょう。

「マトンビリヤーニ」

さらに「マトンビリヤーニ」1850円も。米全体にグレイビーが行き渡り、均一な仕上がりのビリヤニに羊の肉。ライタ(ビリヤニに合わせることが多いヨーグルトサラダ)のみならずサラダも一緒に盛り付けられているのでバランスが良いです。そのまま食べて良し、ライタをかけて食べて良し。

ビリヤニもかなり市民権を得てきた昨今ですが、それでもまだご飯にヨーグルトをかけるというのは多くの日本人にとって多少なりとも抵抗があることかもしれません。しかしライタはビリヤニに必須の相性良好なアイテムなので味変の際に是非かけてほしいです。

今回はこの2品でお腹いっぱいになってしまったのですが、他の料理も気になるものが色々とあります。アヒリヤと言えば「チキン65」が僕の好物なのですがそれはこちらの店舗にはなく、店舗によってという以上にお店のシェフの得意料理を出しているという印象です。

年末年始はどのレストランも混雑する中、インド料理店は意外と空いていることも経験上多いです。麻布台ヒルズの中でも予約の取りやすい穴場かと思いますので(夜のみ予約可)、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。