【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2024年6月を振り返る

関東も梅雨入りし、なかなか外に出るのも億劫な季節となりましたが、おいしいカレーのためならいくらでも外に出てしまう僕。今月も、わざわざ食べに行く価値のあるお店をご紹介しました。

【第1週】カレー激戦区神保町に誕生したとんかつ専門店の個性派カツカレー

【第2週】間借りカレー激戦区高円寺に戻ってきた注目の若手シェフによるアジア飯

【第3週】ここのところ盛り上がりを見せている名古屋で注目の新店舗2つ

【第4週】名前を変えて移転オープンしたセンスを感じるカレーとスパイス料理

以上5店舗。

第1週に紹介したお店は既に行列ができ、早めの時間で売り切れることもある人気店となっています。他のお店も要注目。並びも減る梅雨の時期が逆にチャンスとも言えます。今のうちに是非行ってみてください。

【第1週のカレーとスパイス】激戦区に要注目店が! カツカレーのおいしいとんかつ屋さん、神保町に現る「とんかつ 九六喜」

日本一のカレー激戦区、神保町エリアに要注目のカツカレーを出すお店が誕生しました。「とんかつ 九六喜」、2024年5月20日の開店です。

2024年5月20日、カレー激戦の地・神保町エリアに誕生した「とんかつ 九六喜」

店舗オーナーの生まれ故郷である栃木県産のヤシオポークと霧降高原豚に徹底したとんかつ専門店。

店内はカウンターとテーブル席がある

ヤシオポークはまだ知名度はそれほど高くないものの、他の人気ブランド豚にも引けを取らない柔らかさと程よい甘み。霧降高原豚も栃木産できめ細かな肉質の豚。どちらもとんかつの名店でも使用されている、知る人ぞ知る上質な豚肉です。

それぞれを使用したとんかつはもちろんなのですが、カツカレーにも要注目。神保町エリアにカツカレーは数多くありますが、こちらの「謹製スパイスカツカレー」1,500円は神保町においては珍しくグルテンフリーのスパイスカレーを使用しています。当然カツ自体はグルテンフリーではありませんが、カレーはシャバッとしたテクスチャでカルダモンが華やかに香り、程よい辛さが食欲を増進させる他にないタイプ。

「謹製スパイスカツカレー」

副菜も日替わりで、それぞれスパイスカレーに合うもの。これはとんかつのみならずスパイスカレーの造詣が深い方が作るカレーだと、マニアなら気づくことでしょう。

それもそのはず。こちらのお店は高田馬場にある「フィクションスパイス」の姉妹店であり、カレーもフィクションスパイスとの共同開発。九六喜のとんかつに合うようにと考えられたオリジナルカレーで、フィクションスパイスにも無いカレーです。

カツには半分だけカレーがかかっている

カツの半分にカレーをかけ、半分にはあえてカレーをかけない盛り付けにもこだわりを感じます。

ソースに醤油、レモン塩やインカ塩でも味変を楽しめる

卓上のごまをすり鉢ですり、ユニオンの栃木工場から取り寄せたという生ソースと混ぜてみたり、グラインダーで削るレモン塩にごま油を合わせたものにとんかつをつけてみたりするのも変化が出て楽しいです。

自家製ドレッシングが食欲をそそるキャベツ

付け合わせも秀逸。キャベツの千切りにかけるドレッシングも自家製で、玉ねぎベースでワインビネガーとマスタードの風味が良く、野菜をモリモリと食べられるもの。

優しい甘みを感じる豚汁

豚汁は甘みのある味噌を使用しているからこそ、辛さのあるカレーとの相性が絶妙です。

最後までおいしく食べられる、バランスの取れたカツカレー

「カツカレー、昔は大好きだったけど最近はどうも重くて食べきれない」という中高年の方も少なくないのではないでしょうか。僕自身もまさにそうなのですが、ここのカツカレーは重くなく、それでいて満足度は高く、味変も可能で付け合わせもすべておいしいということもあり、食べきった時にちょうどお腹いっぱいになるような絶妙な仕上がり。

ソースを付けて、とんかつのおいしさをダイレクトに味わうのも良し

グルテンフリーのカレーは野菜を沢山使用した自然なとろみもあり、豚汁、漬物なども含めると自然と野菜もしっかり摂取していることになるのもうれしいポイントです。

お店の公式インスタグラムアカウントフォローで500円引きのキャンペーンは、6月29日まで

神保町エリアのみならず全国的に見ても秀逸なカツカレー。1,500円という価格はむしろ安く感じるほどですが、6月29日まではお店のInstagramアカウントをフォローすることで500円引きになるというお得すぎるサービスも実施中。

大人気店となるポテンシャルを秘めたお店です。気になった方は早めに行くことをおすすめします。

【第2週のカレーとスパイス】休日は高円寺でカレーランチ! 日曜の昼のみ営業の間借りカレー店がオープン「カレースイセイ」

カレー激戦区のひとつ高円寺。近年は特に間借りカレーのお店が多く、間借りカレー店が日によって入れ替わりで営業している場所もあります。そんな高円寺に2024年4月28日にオープンした間借りカレー店「カレースイセイ」。

営業は日曜のランチタイムのみ

シェフは大学生の頃から間借りカレー店を営み、インド料理やスパイスカレーの名店でも勤務経験のある若きカレー料理人。こちらの場所でも以前「カナ マカナン」という店名で営業していたのですが、時を経て帰ってきた形になります。

賑やかな内装の店内

注文方法は、メニューからおかずを選び、それにカレーソースがかかるという方式です。今回は「おかず2種カレー」1,500円を注文。2種はレギュラーメニューから、紅焼肉カレーと、週替わり限定メニューのマレーシア風フライドチキンライスを選択。副菜とクルプック(えびせん)も一緒に盛り付けたワンプレートは、見た目からしてアジアな雰囲気。

「おかず2種カレー」

アジアと言っても広いですが、カレースイセイのプレートはシンガポールの屋台メシ「海南咖喱飯(ハイナンカレーライス)」を元にしています。カレーソースは香港のカフェレストラン「茶餐廳(チャチャンテン)」のカレーのような雰囲気もあり、シンガポールにしろ香港にしろ中華圏の食文化とイギリス植民地時代のインドに由来するスパイス文化のハイブリッドが今に残る形であり、それを日本で食べられるお店は希有。個人的にシンガポールも香港も大好きなので、うれしくなってしまうワンプレートです。

スパイスの利いた紅焼肉

レギュラーおかずの紅焼肉カレーは八角やシナモンの甘やかな香りをまとい、豚肉のおいしさを存分に堪能できます。カレーソースとは違う味なので、これをのせることでカレー自体にも深みと変化が出るのがとても良いです。

マレーシア風フライドチキンもスパイス感たっぷり

限定おかずのマレーシア風フライドチキンは、シェフがマレーシアへ行った時に食べたという世界的フライドチキンチェーンのマレーシア限定メニューが元になっているそうで、チキン自体の程よいスパイス感と鶏肉のうまみが染み込んだご飯がプレートのおいしさを根底から支えつつ持ち上げるような仕上がりとなっていました。

「レモングラスライムソーダ」

食後に「レモングラスライムソーダ」400円も。ライムの爽やかなテイストとレモングラスの香りでリラックス。

今後はカナ マカナン時代の人気メニューだったホロホロビーフカリーなどもおかずに加えていきたいとのことで期待が高まります。あれ、本当においしかったんですよ。

現地料理のオーセンティックなテイストを出しつつも、それを独自の表現で仕上げることが得意なシェフ。店舗は日曜昼の限定営業ですが、イベント出店などもしています。詳しくはお店のSNSをご覧ください。営業日数は少ないですが、タイミングが合えば食べて損なしです。