【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】2020年10月を振り返る

今月は意図的に老舗や中堅店を中心にご紹介しました。カレーへの注目度も高まってきていますが、メディアで取り上げられるのはどうしても新しいお店が多くなります。今時流行のスパイスカレーも魅力的ですが、同様に長年続く老舗のカレーも素晴らしいものが多いです。どちらのカレーも食べてこそ、カレーへの理解が深まり、より一層カレーライフが楽しくなると体感しています。

そんなわけで今月は、日本で最初にインドカリーを提供した老舗、タイカレーの魅力を多角的に伝えてくれるお店、秋葉原で古くから愛される定番カレー、早稲田のソウルフード的激辛カレーの復活、そして最後に名古屋で動き出した新しいスパイス文化についての5本立て。おいしいカレーは時代を問わず素晴らしいものです。

【第1週のカレー】新・古参カレーファンどちらにも食べてほしい! 進化し続ける老舗のカリー 「新宿中村屋 Manna」「新宿中村屋 Bonna」

日本で最初にインドカレーを出した店舗として有名な新宿中村屋。「純印度式カリー」と名付けられたそのカレーは、東インド・ベンガル地方の料理を基にしたカレー、いや、カリーなのです。

新宿中村屋は「カリー」という呼び方をポリシーとされているので、今回はカレーではなくカリーという表記で統一することにします。

創業は明治34年。パン専門店としてスタートし、昭和2年から純印度式カリーを提供し始めた老舗。古くからのカリー好きなら一度は食べたであろう新宿中村屋のカリーですが、最近カリー好きになったという若い方たちと話すと意外にも新宿中村屋のカリーを食べたことがないという方が多く、もったいないといつも思うのです。何故なら時代を問わぬおいしさなのですから。

新宿中村屋は自社ビルの8階にコース料理とワインの「新宿中村屋 Granna」、地下2階にカリー、中華、洋食を味わえる「新宿中村屋 Manna」、地下1階にカリーパンや惣菜、レトルトなどのテイクアウトが可能な「新宿中村屋 Bonna」が存在するのですが、今回はMannaのメニューからご紹介しましょう。

「純印度式カリー」

看板メニューの「純印度式カリー」1,600円は、骨付きチキンのおいしさがスパイスで存分に引き出され、稲作も盛んなベンガル地方の料理だからこそ米との相性が良いカリーです。

「コールマンカリー」

インド料理のコルマを基にした「コールマンカリー」1,800円は、トマトとヨーグルトでマイルドさと爽やかな酸味が加わり、辛いものが苦手な方にも比較的食べやすいテイスト。

「ベンゴールカリー」

「ベンゴールカリー」2,000円は、ビーフのうま味がダイレクトに舌の上で踊るような贅沢な味で満足度が高いです。

「カリー伊麺」

様々なカリーがすべておいしいのですが、11月までの期間限定メニュー(予定)の「カリー伊麺」1,400円という、今しか食べられないメニューもあります。

伊麺とは伊府麺とも呼ばれる中国・広州の卵麺で、一度揚げたものを湯通しするということで独特の食感と風味があります。これをカリースープでいただくとなると、香港の隠れ名物である咖喱麺を思い出します。

新宿中村屋は昭和の時代にこちらのメニューを一時期提供していたそうで、今回は内容をブラッシュアップして復刻させたメニューとのこと。僕も大好物のカリー麺。香港のものはジャンクな魅力がありますが、新宿中村屋のカリー麺は上品な仕上がり。

麺を揚げたことによって生まれる風味が麺の味を深く感じさせ、スパイスバランスの良いカリースープは、カリーのみならず中華まんや麻婆豆腐などの中華料理にも精通している新宿中村屋だからこそのハイクオリティなスープです。

具は野菜に鶏肉、そしてシークケバブが入っているのが楽しく、個性を感じます。カリーと麺の組み合わせが好きな方にはたまらないメニューです。

「新宿中村屋 Bonna」店内ショーケース

帰りはすぐ上の階にあるボンナで「新宿カリーパン」300円をテイクアウト。

「新宿カリーパン」

純印度式カリーをベースに、パンに合うようアレンジしたカリーがおいしいのはもちろんなのですが、パン自体もおいしいのは元々がパン屋さんだったからこそ。お店で揚げているのでタイミング次第では揚げたてもいただけます。

カリーを中心に中華やパン、そのほか様々な料理が全ておいしいという素晴らしさ。老舗ながらその歴史にあぐらをかかず、時代とお客さんのニーズに合わせてメニューを増やし、常に研鑽を積んできたからこそのクオリティです。

新しいカリーマニアでまだ新宿中村屋の味を知らないという方は近いうちに一度味わっておくべきだと思いますし、古くからのファンの方にも限定メニューを味わっていただきたいです。

個人的にはこちらに通って約25年。昔も今も大好きなお店なのです。

※価格はすべて税抜

※本記事は取材日(2020年9月28日)時点の情報をもとに作成しています。

【第2週のカレー】タイカレーの概念が変わるかも。オンリーワンの味に出合える中目黒のタイ料理店「SOI 7」

カレーにも色々ありますが、タイカレーは昨今のトレンドとは少し離れた場所にいるような気がします。そもそもタイカレーは現地で「ゲーン」と呼ばれる料理を指すのですが、これは元々カレーというわけではなく、外国人がタイのゲーンを見て、カレーに似ていると感じたことからゲーンが「タイカレー」と呼ばれるようになったのです。

ゲーンにもスパイスは使われますが、どちらかというとスパイス以上にハーブの使い方が重要な料理であり、だからこそ昨今のスパイスを使うカレーというトレンドとは違うものとして認識されているのかもしれません。

とはいえ、タイカレーにも色々あるのです。昨今流行のカレーが好きな方にも気に入ってもらえそうなものもあります。ということで、今回は様々なタイカレーが最高においしいお店をご紹介しましょう。

中目黒にある「SOI 7」というお店。「ソイナナ」と読むのですが、ソイナナなら他の街のお店に行ったことあるよと思う方もいるかもしれません。しかしこちらのSOI 7はここにしかない独立店舗。そして、各地に点在するソイナナよりも古く、今年で開店16年目という中堅店なのです。

路地裏に佇む雰囲気のある外観。店内に入ればおしゃれな紙製のアジアンランタンが飾られ、異国情緒が漂います。まずはタイカレーの王道、「ゲーンキャオワン」900円からいきましょう。

「ゲーンキャオワン」

ゲーンキャオワンとは、いわゆるグリーンカレー。青唐辛子とココナッツミルクのタイカレーで、タイ料理店に行けばほぼ確実にメニューにあり、カフェなどでも時折見かけるポピュラーなメニューなのですが、こちらのゲーンキャオワンは食べてみるとひと味どころかふた味くらい違うのです。

ホーラパーというタイのバジルを使用し、香り高いということもあります。それに加えてスパイス感が違います。通常はゲーンキャオワンでは使用しない、ターメリックやコリアンダーシードが隠し味に使われているのです。インド的スパイス使いを隠し味にしたタイのグリーンカレー。これは珍しい。そしてそれが合う! 文字通りオンリーワンのおいしさです。

「ゲーンパー」

続いて「ゲーンパー」1,000円。こちらは田舎風スープカレーとか、森の激辛カレーという名前が付けられていることが多い料理で、ココナッツミルクを使わないゲーンなので辛さがストレートに感じられる料理です。一口食べてみるとクラチャイ(タイの生姜の仲間)の風味が味の中心にあり、辛さは激辛とまではいかない一歩手前の辛さですが、だからこそクラチャイの風味が立ち、ほかの素材の味が活きています。僕が今まで食べたゲーンパーで、ここのが一番おいしいかもしれないと感じる程のクオリティでした。

「クワクリン」

まだあるんです。裏メニューですが、「クワクリン」1,000円もあると聞けば頼まずにはいられません! クワクリンとはタイ南部の郷土料理で、日本のタイ料理店でも出しているお店はかなり少ないレアなメニューです。例えるなら激辛ドライカレー。ポピュラーなメニューで言うならガパオの激辛カレーアレンジ的なものです。

ライスにクワクリンをのせて食べるとこれまた美味

ターメリックも使用しているのでタイ料理の中でもインド的なスパイス感なのですが、カフィアライムリーフというタイを代表するハーブがあしらわれているので、タイとインドの間くらいの着地点な味わいであり、僕の大好物のひとつです。

おいしかったことと、これがあるのがうれしくてお店の方に「クワクリンは日本人のマニア受けする料理であり、もっと広まるべきだし、実際流行ると思うんですよ」と語ったら、メニューに加えることを検討すると話してくれました。これは楽しみ! それぞれ「ジャスミンライス」300円は別オーダーなのですが、すべてがご飯に合うカレーで、お腹一杯になりました。

「ガイヤーン」

ほかの料理も良いですよ。「ガイヤーン」1,100円は、やけに肉質が良いと思ったら大山地どりを使用しているそう。こちらにもホーラパーがたっぷりと盛り付けられ、香りを楽しむというタイ料理の醍醐味が味わえます。

シェフはタイ出身の方で、某有名店からお誘いがかかる程の実力者なんだそうです。しかし自分のペースで自分の味を作りたいということで、こちらのお店に居続けているとのこと。素晴らしい! タイ料理にも色々ありますが、こちらのお店はここにしかないおいしさの料理が味わえます。ひと味もふた味も違うタイ料理店。おすすめです!

※価格はすべて税抜

※本記事は取材日(2020年10月3日)時点の情報をもとに作成しています。

【第3週のカレー】角切り肉の存在感がたまらない。秋葉原の老舗カレー店でオーダーすべきはビーフ2倍の贅沢カレー!「ベンガル」

今や世界中のオタク憧れの聖地と呼ばれる秋葉原。世界中からアニメやゲームやアイドルのファン、マニアが集まる街です。今でこそ様々な飲食店も増えた秋葉原ですが、20世紀の秋葉原と言えば20時過ぎれば営業しているお店もほとんど無く、良い飲食店を探すのも苦労をしたものです。

子供の頃から秋葉原に通っている僕ですが、そんな僕にとって秋葉原で昔からお気に入りであり続けるお店があります。秋葉原界隈では一番古くから存在するカレー専門店「ベンガル」をご紹介しましょう。

1973年創業のお店ですが2018年に元々店舗のあったビルが取り壊しとなり、末広町側の現在の店舗に移転しました。移転前から大好きなメニューが「ビーフ角切りカレー」1,100円です。

「ビーフダブルカレー」

このビーフが実においしいので、もっぱら角切りの量が2倍になった「ビーフダブルカレー」1,600円をいただいています。若い頃にはなかなか手が出せなかった価格のメニューですが、大人になった今、シングルではなくダブルのビーフを何の迷いも無く頼めるようになったという喜びも個人的にはあったりして、昔から通っているからこそのうれしさを感じます。

シャバっとしたグレイビーは程良くスパイシーで、ビーフの旨味が溶け込んでいます。角切りのビーフをかじればジュワっと口の中に広がる牛肉のおいしさがスパイスでさらに引き立てられ、ご飯が止まらなくなる逸品です。洋食的カレーとインドカレーのちょうど間くらいの立ち位置にある味で、ほかにありそうでない個性を持っています。いつも一人で行くとこればかり頼んでしまうのですが、今回は3人で行ったので小皿に取り分けつつ、ほかのカレーも味わうことができました。

「バターチキンカレー&パラタ」

「バターチキンカレー&パラタ」1,000円は、インド料理で有名なバターチキンにパラタという南インドのパンが付くセット。まずこのバターチキンが本格的なインドテイスト。チキンはスモーキーな香りをまとった奥深い味わいであり、程良くバターでまろやかになったカレーとパラタの相性が絶妙です。パラタはパイのような食感もあり、女性受けするメニューだと思います。事実、同行した2人は女性だったのですが、2人ともこれを頼み、2人とも満足しておりました。

卓上にはガラムマサラにカイエンペッパーのみならず、カルダモンシードや福神漬けまであるのが面白いです。インド的カレーもおいしければ、洋食的カレーもおいしいベンガルだからこそ。

「コーンスープ」

洋食と言えばここ、「コーンスープ」550円もおいしいんですよ。洋食のコーンポタージュのエスニックアレンジといった趣で、やはり他に無い個性を持ったおいしさなのが素晴らしいと感じます。

1人で行っても満足できればデートにも使えますし、グループで行って食べ比べるのも楽しいお店です。辛くないカレーもありますから家族でも行けますし、テイクアウトも対応しています。つまりはどんなシチュエーションでも使えるお店ということ。秋葉原のメインストリートからは少し離れているのですが、だからこそなのかいつもフラっと入れる気軽さがあるのもまたうれしい所。

21世紀に入り、秋葉原にもおいしいカレーのお店は非常に増えたのですが、そんな中でも個性を持ち続け、進化する老舗ベンガル。だからこそ生き残っているのでしょう。現在はキッチンカーなども展開しているそうですから、ほかの街でもベンガルのキッチンカーを見かけたら是非立ち寄って欲しいです。いつまでも秋葉原の老舗としてその存在感を放ち続けて欲しい、僕の大好きなお店です。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2020年10月12日)時点の情報をもとに作成しています。

【第4週のカレー】あの激辛カレーの味を再び! 早稲田のソウルフード的カレーがファンの愛によって復活「早稲田メーヤウ」

大学のすぐ近くにある飲食店は、その大学の学生はもちろん卒業生にとっても思い出の味であり、ソウルフードとして愛され、卒業してからもその味を求めてついつい食べに行くというのもよくあることですね。かく言う僕も大学在学時にカレーにハマった人間です。大学が神保町にあったのでソウルフード的なカレー店が沢山あり、今でも思い出すと色々なお店に食べに行くのですが、早稲田大学の卒業生にとって思い出の激辛カレーといえばそれはメーヤウということで異論は無いでしょう。

1997年に開店し、早大生のみならず激辛フード好きやカレー好きにも愛され、2017年まで人気店として営業を続けたものの後継者がいなかったという、いたしかたない理由で閉店してしまいました。メーヤウ自体はほかにも店舗があるのですが、早稲田のメーヤウはほかとはまた違う立ち位置の存在で、独自の愛され方をしていたということもあり、閉店後も復活を望む声が上がり続けていました。それに応えるようにしてキッチンカーでの営業や間借りカレー店として一日限定で復活をした時は、それぞれ長蛇の列ができたほどです。

そんな早稲田メーヤウが場所を西早稲田駅のすぐ近くに移して復活したのが2020年の春。元々早稲田メーヤウの常連だった方達が協力しあい、元店長さんの監修のもとにその味を復活させたのです。つまり、元ファンが後継者となって復活したという形。これはほかのカレー店でもしばしばあることですが、最も幸せな復活の形ではないかと個人的には考えています。何故ならそのカレーに愛と思い入れがある方が作っているから。愛も思い入れもあるからこそ正しく味を継承し、スタイルを継承できるのです。

商売だけが先行してはうまくいきません。気持ちが重要なのです。めでたく復活したのは良かったのですがその時期がコロナ禍とぶつかってしまい、現在はテイクアウトとデリバリーのみ、キャッシュレスでの営業となっています。開店当初は支払いの方法も限られていたのですが、最近になって支払い方法も増えてきたということで行ってきました。久々の早稲田メーヤウ。

メニューは「チキンカリー」1,000円と「ポークカリー」1,200円のみ。最近では時折限定メニューとしてほかのカレーが出る日もあるようですが、レギュラーメニューとしてはこの2本立てとなります。看板メニューはチキンなのですが、僕はここのポークが昔から大好きなんです。久しぶりの早稲田メーヤウでしたから、思い入れのあるポークカリーを注文。ちなみに支払いはSuicaで精算しました。

「ポークカリー」

鼻腔をくすぐるスパイシーな香りをかげば、早稲田駅前の2階にあった当時のお店の雰囲気も一緒に脳裏に蘇ってきます。カレーの中には大きくカットされ、よく煮込まれた角切りの豚肉が2つ、ごろごろと入っています。じゃがいもとゆで卵もついており、シンプルながらも満足度が高い具材感。

一口食べてみればしっかりした辛さ。最近は辛いカレーのお店もかなり増えたので、現代においては激辛とまではいかないかもしれませんが、20年前は確かに激辛でした。舌に痺れを感じるくらいの辛さ。だからこそ引き立つ豚肉の甘味とうま味。ご飯との相性が抜群に良いです。おいしい! 辛い! おいしい! 夢中になってかきこみ、一瞬で平らげてしまいました。食べるのは一瞬でも、食べ終わった後も余韻の残る辛さであり、印象に残る味なので幸せな気持ちに浸れる時間は長いです。

僕は早大生だったわけではないので足繁く通ったというほどではないのですが、早稲田の隣駅である高田馬場に縁があるので、ここの味を思い出すと時折足を延ばして食べに行ったお店です。そんな僕でも郷愁にかられる味なのですから、大学時代にこちらに通った方にはたまらないと思います。当時の味を知る人には懐かしく、知らない人にとっても個性ある味で時代を問わないおいしさのカレーだと言えるでしょう。

名店の復活。喜ばしいことです。新たな地でまた多くの方に愛されていくことを願ってやみません。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2020年10月17日)時点の情報をもとに作成しています。

【第5週のカレー】スパイスどて煮ってどんな味? 名古屋の人気スパイス料理店が繁華街に復活オープン!「スタンドオオシマ×スパイスカグラ」

名古屋に僕が大好きなお店があります。出合ったのは、かつて名古屋市営地下鉄東山線一社駅から徒歩20分以上の場所にあった「カリーカグラ」。そこで食べたカレーと麻婆豆腐が衝撃のおいしさでした。その後、店主のナマステ田中さんが「カレーだけではないスパイスの魅力を伝えたい」と名古屋一の繁華街である錦に移転してオープンさせたのが「スパイス料理&Bar Kagura」でした。以前こちらの連載91回目でもその凄さをお伝えしましたね。

そのカグラですが、コロナ禍の影響もあって一時閉店してしまったのですが、2020年10月、場所を国際センター近くに移し、「スタンドオオシマ×スパイスカグラ」として見事復活したのです! 良かった\(^o^)/

以前のお店は繁華街の雑居ビルの地下で扉を開けないと中が見えないということもあってか、マニアが集まるお店となっていましたが、今回のお店は大通り沿いの一階で店内も明るく見えやすいということもあって、多種多様な客層で店内は賑わっておりました。

アラカルトもあるのですが、相変わらずアラカルトにカレーはありません。コースの〆にはカレーが出ます。そんなわけで今回もおまかせコースでお願いしました。コースは基本3,000円か5,000円。ドリンクが別料金。スパイスおつまみからスタートし、タンドリー系の焼き物、〆にカレーという構成です。品数が変わるというよりは、使う食材が変わるので値段が変わります。(今回は5,000円のコースにスペシャルメニュー追加という形だったので少しだけお値段が上がりました)

写真左から、「スパイス枝豆」「マサラナッツ」「スパイスビーフジャーキー」

まずはお通し。「スパイス枝豆」「マサラナッツ」「スパイスビーフジャーキー」です。これがクセになるんですよ。ドリンクは「レモンサワー」500円に、プラス100円で自家製スパイスをトッピング。

自家製スパイスをトッピングした「レモンサワー」

メニューに印がついているドリンクはすべてこの自家製スパイスが混ぜられ、飲み物からしてスパイスを楽しめるという仕組みなのが良いですね。スパイスおつまみにスパイス酒。テンションも食欲も上がってきます。

「前菜盛り合わせ」

続いて「前菜盛り合わせ」。以前よりもさらにパワーアップしてるじゃないですか! 僕の大好きなスパイスきんぴらごぼうはもちろん、ハタハタのマスタードシード焼きや、スパイスパイナップルなどなど、どれを食べても最高においしいです。

「スパイスどて煮」

続いて出てきたのが名古屋名物どて煮。しかしこれが普通じゃないんですよ。どて煮といえば通常は味噌で牛すじを煮込んだものですが、このどて煮は「スパイスどて煮」ということで、味噌を一切使用していないんだとか。それなのに不思議と深い味噌感があるんです。

「スパイスでどて煮の雰囲気を出すのに試行錯誤したんですが、完全にインド料理の手法で作ることがやっとできたんですよ。これはね、自信作です!」と笑顔で語ってくれました。ナマステ田中によるスパイスマジック炸裂。とんでもない!

ポーク、チキン、鴨、海老、カリフラワー、エリンギが盛り合わせた焼き物

続いて焼き物。ポーク、チキン、鴨。そして海老、カリフラワー、エリンギの2皿(写真は2人前です)。豪華! 「まだ食べられるようならタンドリーエイヒレもあるんですが、どうします?」と。なんだそれ!? 頼まない手はないでしょう。というわけでそれも。

「タンドリーエイヒレ」

コリっとしたエイヒレと、その周りはフワっと焼かれた白身。食感の変化がたまりません。何とおいしいのでしょう。いつのまにか両隣のお客さんとも仲良くなって「ここ、凄いですね!」「そうなんですよ。凄いんですよ」なんて会話も弾むこと弾むこと。僕のおすすめを伝えたらそれを頼んだり、一緒になって「おいしい!」と感動したり。お酒も進んで楽しすぎる時間です。

「鯖カレー」

そして〆のカレー。この日のカレーは「鯖カレー」でした。これがまた最高! ナマステさん、僕が鯖カレー好きなのを知って「初めて作ってみたんですけどね、これ、おいしくできました」と。インド現地の様々な家庭でインド料理を教わったというナマステさん。インド料理はカレーが有名ですが、カレーだけではない素晴らしい料理が沢山あります。それを基に日本の食材と合わせて日本でしか食べられないスパイス料理を作り、その魅力を広めて行きたいということは以前からお話をされていました。それがこの新店に移転してから、見事に結実したと言えるでしょう。両隣のお客さんはスパイス料理初心者だそうですが、すっかりその魅力にハマり、「次回は私達もコースで予約しなくちゃ!」と、早速予約をしていましたから。

これで終わりじゃないんです。さらにあるんですよ。「もうひとつね、スペシャルがあるんですけどね、行きます?」と。そりゃ行きますとも! 既にかなりの量を食べていますがこれだけおいしければもっと食べることができます。出てきたのは「キーマカレーまぜそば」。

「キーマカレーまぜそば」

しかもこの麺、名古屋の人気ラーメン店「ラーメン 達磨食堂」の自家製海老麺なのです。達磨食堂とスパイスカグラ、そして名古屋の人気スリランカ料理店「カフェパハナ」はどこも人気店でそれぞれ仲も良く、3店舗でコラボしたカレーを冷凍カレーとして販売しています。(食べログモールでも販売中)

お互いにリスペクトし合い、このようにお店でもコラボ的メニューが食べられるとは素晴らしい! 「今後食べログモールでも新メニューを出せたら良いなぁ」と言ってましたのでそれにも期待ですが、まずは現在販売中のカレーを是非食べてみてください。

とにかくすべてがおいしくて、最高に楽しいお店です。名古屋近辺の方は是非お店に行ってその雰囲気も含めて楽しんでほしいです。そうでない方は、まずは冷凍カレーをお取り寄せし、名古屋の尖りまくった3店舗のカレーを食べ比べることにより、その凄まじさと楽しさの片鱗を味わっていただければと思います。

※価格はすべて税抜

※本記事は取材日(2020年10月26日)時点の情報をもとに作成しています。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/