【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】2021年2月を振り返る

再び緊急事態宣言。そしてその延長という、飲食業界にとって逆風の中、果敢に開店したお店もあります。今月はそんなお店の中からおすすめをピックアップしました。

スパイス料理と日本酒のペアリングが素晴らしすぎる、待ちに待ったお店の開店。大阪から移転し、間借りから独立した、朝営業もある西インドカレーのお店。スリランカ人シェフによる、まぜ麺とジャパニーズカレーのお店。大阪の名店の出汁カレーと埼玉の名店のスリランカ家庭料理が見事に融合したお店。

以上4店舗。すべてこの緊急事態宣言中に開店したお店です。それぞれがおいしいのみならず、確かな個性を持ったお店であり、外食だからこその楽しさや幸せを感じられる空間となっています。気になってもなかなかすぐに食べに行きにくいご時世ですが、是非ブックマークしておいてください。そして何かの用事で近くに寄った際には是非とも食べに行っていただきたいお店ばかりです。それではどうぞ!

【第1週のカレー】圧倒的人気の間借りカレー店がスパイス料理×日本酒専門店を新オープン!「スパイスドランカー やぶや」

僕がここ数年、心待ちにしていたお店がついに1月30日、開店しました。その名も「スパイスドランカー やぶや」。名前に聞き覚えがある方もいらっしゃるかと思いますが、以前浅草で間借りカレー店を営んでいたお店です。

間借りでありながらコース制で、そのクオリティの高さが口コミで広がり人気が高まっていき、いつしか予約がなかなか取れない店となり、開店1年に満たない状況で「食べログ カレー 百名店」にも選ばれたのですが、百名店に選ばれてすぐにお店を閉め、独立するのかと思いきや日本酒バーの雇われ店主に転身。

「何故?」と思ったのですが、カレーやスパイス料理と日本酒のペアリングを提供するお店をやりたいという、確固たる意志のもとの修業だったわけです。

そして日本酒修業を経てこの度、JR・横浜市営地下鉄関内駅近くにお店を開店。待ってました!

しばらくは完全予約制で、スパイス料理と日本酒のペアリングコース、あるいはスパイス料理とソフトドリンクのペアリングコース、日本酒とソフトドリンクを自由に行き来してもよく、いずれにしてもお値段は8,000円(税抜)ということです。

カレーで8,000円と考えると安くはないですが、カレーというよりはスパイスを使った創作料理であり、イノベーティブフュージョン、モダンインディアンとも言えるような充実のコースなのでむしろお得だと感じました。

コースの内容は日替わり。僕が行った日のコースも非常に充実していたのですが、シェフの「料理は来てからのお楽しみにしたい」という意図を汲んで多くは語りません。特に気に入ったものだけご紹介しましょう。

「焼き豚」

僕が気に入ったのは「焼き豚」です。焼き豚って……と思うかもしれませんが、これ、普通の焼き豚ではありません。

リッチなスパイス使いで知られる南インド・チェティナード地方のスパイスでマリネした豚肉をグリルし、インドゴア地方スタイルのビンダルーソースとパキスタンスタイルのサグを添え、自分の好みでそれらをつけながら食べるというものだったのですが、豚肉とビンダルーソースを合わせて食べればポークビンダルーのようになり、サグと合わせればサグポークになるという仕様。

そのまま食べておいしく、ポークビンダルーにしておいしく、サグポークにしておいしいという、一度で三度おいしい一石三鳥的一皿。この一皿にやぶやの真骨頂を感じました。

というのもこちらのシェフ、南インド料理を一般層にまで広めるのに大きな役割を果たし、出身シェフが独立して出したお店はどこも人気店となっている東京駅「エリックサウス」の伝説の初期メンバーの一人であり、その後埼玉・八潮のパキスタン料理の名店「カラチの空」でも修業していたという経歴の持ち主。

だからこそのこの焼き豚なのです。もっと気取った名前を付ければ良いのにと言ったのですが、あえての焼き豚と言いきるところにもシェフのこだわりと遊び心を感じて楽しくなります。

「ミールス」

ひとしきりスパイス料理を楽しんだ最後の〆に出てきたのは、南インドの定食「ミールス」です。こちらは野菜のみのベジミールスだったのですが、スティックセニョール(ブロッコリーに似た緑黄色野菜)のピクルスや金柑のウールガイ(南インドのスパイス漬物)を合わせるあたりが個性的で、すべて混ぜて完成するおいしさになっていながら、ひとつひとつ食べても物足りなくないという絶妙のバランス感でした。浅草時代も〆はミールスだったのですが、当時のミールスよりもレベルが二段階くらい上がったように感じます。

出てきた料理すべてがおいしくて楽しかったのですが、それぞれに日本酒をペアリングしてくれるので、おいしさも楽しさも倍増するのです。

僕自身の体質的に日本酒は悪酔いすると思っていたのですが、シェフによると「日本酒は冷たくせず、冷たいものと一緒に取らなければ悪酔いも二日酔いもしにくいんです」とのこと。

確かにすべてが燗酒で出てきましたし、チェイサーの水も常温、冷たいデザートもありませんでした。そして実際に、僕としては結構な量を飲んだのですが、悪酔いも二日酔いもしなかったのです。

日本酒の可能性を感じることができる素晴らしいコースでした。一緒に行った友人はノンアルコールでのペアリングだったのですが、その友人も「普段食事するときはあまり味がついた飲み物を飲まないんですが、これは料理を邪魔しない以上によりおいしく感じさせますね!」と驚いていました。

つまりは飲める人も飲めない人も楽しめるペアリングコースなのです。どのようなペアリングがなされたのか、その内容については行ってからのお楽しみです。

料理は完全におまかせですが、予約時にアレルギーなどがあれば教えてくださいとのこと。また、予約はお店のFacebookから受け付けているそうです。

とにかくめでたい開店です。数年間待ち続け、思いっきり期待していたその期待を上回るクオリティで帰ってきました。2021年の首都圏カレー界に大きな影響を与えるであろう名店の誕生です!

※本記事は取材日(2021年2月1日)時点の情報をもとに作成しています。