【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#9】「スパイスドランカー やぶや」

昨今、大きな盛り上がりを見せているカレー界ですが、中でも夜営業のバーなどで空いている昼間の時間帯だけ間借りしてカレーを提供する「間借りカレー」は、大阪で大流行。東京でも話題となり、昨年まではマニアが数人通っているくらいだったお店も、今年に入って一般人も多く集まる行列店となることも増えてきました。

 

間借りカレーのお店も、正直にいえばピンキリ。素人が趣味でやっているお店も少なからずあり、見た目は良くても味はイマイチだったり、味は悪くなくても接客ができていなかったり、問題のあるお店も同時に増え、混沌としてきています。

 

そんな中、個人的にも待ちに待った、東京の間借りカレー界の台風の目となる存在のお店がオープンしました。場所は浅草。革細工のお店の2階のキッチンスペースを間借りして営業する、その名も「スパイスドランカー やぶや」。まずこの名前が最高です。何しろマスターの藪さん、元プロボクサーの料理人なんです。

 

やぶやの看板

 

ボクサー時代から南インド料理の名門「エリックサウス」で修行、その後パキスタン料理の名店「カラチの空」でも初の日本人シェフとして研鑽を積み、日本料理店での調理経験もある本物の料理人。そんな藪さんのお店が遂にオープンしたのですから、こんなに嬉しいことはありません。

 

前菜3種盛り

豚肩ロースのコンフィ

 

オープンしたてということもあり、メニューは変動する予定のようですが、オープニングメニューはおまかせコースでした。前菜盛りはバングラデシュ料理のアルボッタとビーツを合わせて彩りも華やかに。豚肩ロースのコンフィは、ネパール山椒を利かせ、付け合わせのアチャールには通常入らない“酒盗”を合わせて深みを出しています。

 

まぐろほほ肉のナムキンカラヒ

 

そして、メインの前に突然出てきた単品カレーは、「まぐろほほ肉のナムキンカラヒ」。これが旨み全開で、ノックアウト必至のおいしさ!

 

チキンのシュラスコ

 

しかし、まだ終わりません。「チキンのシュラスコ」は、藪さんがボクサー時代に通ったブラジル料理店「コロンボ」で教わった味にオリジナルアレンジを加えたシュラスコ。

 

ミールス

 

そして最後に締めのミールス。南インド料理の基本に忠実に、ラッサムとサンバルとライスという構成ですが、追加料金でカレーを加えることもできます。玉子カレーを加えるとまろやかなカレーだったのが、別皿のマサラビネガーを垂らすと、味の輪郭がしっかりして刺激的な美味しさに変化しました。

 

最初から最後まで完全においしく、オーセンティックな味に加えて独自の工夫もあり、シェフである藪さんの人生が随所にうかがえる素敵なフルコース。既に完成されていますが、今後にも期待大の超名店誕生です\(^o^)/

取材・文:カレーおじさん\(^o^)/