二つ星を獲得した「MAZ」の料理 撮影:松村宇洋(UP SPICE)

先日発表された「ミシュランガイド東京2024」では183もの星が輝いた。世界に誇る美食都市、東京がある日本に生まれたことを、一食いしん坊として誇りに思う。

「ミシュランガイド」の歴史は古く、1900年に「ミシュランガイドフランス」版が誕生。1926年から「おいしい料理」を示す星が登場し、1931年から有名な「匿名調査員制度」がスタート。

画像:日本ミシュランタイヤ

意外にもヨーロッパを飛び出し、大西洋を越えたのは2005年「ミシュランガイドニューヨーク」創刊時で、その2年後の2007年にアジア初となる「ミシュランガイド東京2008」が創刊された。

ミシュランガイドの評価は厳しいトレーニングを受けた匿名の調査員が独自の評価基準で評価を行う。

「素材の質」「料理技術の高さ」「味付けの完成度」「独創性」「常に安定した料理全体の一貫性」の5つが評価基準となり、調査員や編集長らの合議制で最終評価がされるため、評価のブレが少なく、入れ替わりは激しくない。

「ミシュランガイド東京2024」の総掲載軒数は504軒。そのうち三つ星12軒、二つ星33軒、一つ星138軒、ビブグルマン127軒、今回から初登場したセレクテッドレストランは194軒が掲載された。セレクテッドレストランは「ビブグルマンには入らないが、ミシュランがおすすめするレストラン」とのこと。

新たに星を獲得した店は三つ星が1軒、二つ星が1軒、一つ星は7つの料理カテゴリーから16軒、ビブグルマンは7つの料理カテゴリーから9軒が掲載。新規ビブグルマンのうち、3軒はラーメン。特に久しぶりの三つ星新規店として寿司の「青空」が二つ星から昇格したのはビッグニュースとなった。

全ての店舗ラインアップは公式サイトや書籍の「ミシュランガイド東京2024」でご確認いただくとして、この記事では新規店舗の中から過去「食べログマガジン」で紹介したお店をいくつかピックアップしよう。

二つ星:MAZ(マス)

撮影:松村宇洋(UP SPICE)

2022年7月に東京・大手町にオープンした「MAZ(マス)」。2015年「世界のベストレストラン50」で南米のレストランとしては初めて第4位を獲得したペルーの「Central(セントラル)」のヴィルヒリオ・マルティネスシェフが、日本に初出店したとあってFoodieの間では大いに話題になった。

「食べログマガジン」ではオープン時から注目し「噂の新店」で紹介。

以下記事より抜粋──
この店に一歩入ったら、ゲストは南米を旅するツーリスト。ガイドは、ヴィルヒリオ氏の下で経験を積んだMAZのサンティアゴ・フェルナンデスシェフだ。
旅人は提供される料理を五感で堪能しながら、好奇心とイメージを少しだけ膨らませてみる。すると、アマゾンの熱帯雨林やアンデスの山並みなど、ペルーの絶景が目の前に現れる。

一つ星:TROIS VISAGES(トワヴィサージュ)

撮影:佐藤潮

2022年4月21日に東銀座駅と築地市場駅のほど近くにオープンした「TROIS VISAGES(トワヴィサージュ)」は名店「ル・マンジュ・トゥー」で9年経験を積んだシェフによる新進気鋭のフレンチだ。

「東京最高のレストラン」編集長でグルメ著名人の大木淳夫氏も「食べログマガジン」の記事内で「素材と真摯に向かいながら、柔軟な発想で料理を突き詰める姿勢に感銘を受けました」と認めるお店。

以下記事より抜粋──
「極エノキのソーセージ」は、歯ごたえのある食感を最大限に引き出しつつも、えのきのエグ味を出さない火入れの妙に感嘆する。口の中で凝縮されたえのきのうま味が弾け、芳しい香りが漂う。少量混ぜ合わせた豚ひき肉がソーセージとしての完成度を高めつつ、しっかりと主役のえのきを讃えていることに、シェフのとてつもない食材への敬意を感じた。

一つ星:港式料理 鴻禧

虎ノ門で本格的な香港料理が食べられる店として2022年7月にオープンした「港式料理 鴻禧」。トミーシェフの作る香港テイストあふれる味わいのとりこになる食通が多数。

特にスペシャリテの「クリスピーチキン」はおかわりOKという太っ腹メニュー! パリパリの皮が最高においしい!
食べログ 中国料理 TOKYO 百名店」選出店。

以下記事より抜粋──
「港式料理 鴻禧」の魅力を簡潔に表すなら、そのエンターテインメント性だろう。中華の大胆な調理法自体をパフォーマンスのように楽しむことができる配置。食材の効果的な見せ方。ウニなどの日本食に用いられる食材を使った新しい試み。食べる前から楽しみがあり、食べてみてそのおいしさにうれしくなる。

一つ星:イル・リストランテ ニコ・ロミート

画像:お店から

2023年4月に開業した「ブルガリ ホテル 東京」のメインダイニングが「イル・リストランテ ニコ・ロミート」。そのラグジュアリーな内装はデートや女子会にピッタリとすぐに人気に。

食べログマガジンでも「New Open News」でいち早く紹介。

以下記事より抜粋──
料理を監修するニコ・ロミート氏は、2014年からミシュラン三つ星を獲得し続けているイタリア・アブルッツォ「レアーレ」のオーナーシェフです。彼が監修を務める、各国のブルガリ ホテルズ & リゾーツ内「イル・リストランテ ニコ・ロミート」もまたミシュランの常連となっています。
伝統的なイタリア料理に現代的なアレンジを加えたクリエイティブなイタリアンを提案。見かけはシンプルながら、奥行きのある味わいが特徴です。

一つ星:飄香

2022年7月に広尾に移転オープンした中国料理「飄香」。チャイニーズラバーなら知らない人はいない飄香グループの総本山的存在で、日々進化した四川料理を提供。「食べログ 中国料理 TOKYO 百名店」選出店。

フードライターの森脇慶子氏も「四川料理を様々な角度からアプローチ、独自の世界観で新たな四川の味を生み出す井桁シェフ」と期待を寄せる。

以下記事より抜粋──
「この店では、四川伝統の調理法を基軸に置きつつ、日本の風土に根付いた食材の持ち味をいかに引き出すかなど、これまで培ってきた経験と技術、薬膳の知識などのすべてを駆使、昇華させた唯一無二の料理を提供していきたいと思っています」と静かに語る井桁シェフ。

一つ星:Mētis(メティス) 六本木

写真:お店から

2023年2月にオープンしたばかりで一つ星に輝いた「Mētis(メティス) 六本木」。「和魂洋才」がコンセプトの薪火フレンチは広い店内にカウンター8席のみという優雅でエクスクルーシブな空間。薪で焼き上げた肉のおいしさをグルメジャーナリストの東龍氏も絶賛。

以下記事より抜粋──
脂が少なく旨味に優れた希少部位、クリミを堪能することができます。佐賀牛は、きめこまかでやわらかい肉質と上質で口溶けのよい脂で、評価の高い黒毛和牛。薪火調理によってジューシーに焼かれ、薫香をまとって、肉の佳味がより引き出されています。ぜひとも味わっておきたい一品です。

一つ星:L’ETERRE (レテール)

撮影:松園多聞

パリの一つ星「ラルケスト」の姉妹店がオープンすると話題を呼んだのが神楽坂のフレンチレストラン「L’ETERRE (レテール)」。「ラルケスト」の伊藤良明シェフも来日のタイミングで厨房に立つこともあり、パリと時差のないフレンチが楽しめる。

以下記事より抜粋──
フランス料理であるからソースの重要性は言うまでもないが、それと同時に、微妙な火入れの技術で、素材が生きも、死にもするというようなことに最大の神経を使った繊細な料理を作る。

一つ星:銀座 きた川

撮影:中込涼(UP SPICE)

人気日本料理店「銀座 しのはら」の系列店が、同店の若手の職人たちが活躍する「銀座 きた川」だ。2022年9月にオープンするとすぐに予約困難店に。「銀座 しのはら」系列らしい派手な盛り付けやたっぷりの品数で、日本料理初心者でも満足すること間違いなし。

以下記事より抜粋──
「銀座 きた川」では「銀座 しのはら」で培ってきた独創的な懐石料理に新たな挑戦が施されている。例えば前菜。魚介類を中心としたいくつかの料理の中には、燻製で香り付けした料理があり、存在感を見せていた。一般的に日本料理の香りと言えばゆずや山椒などを思い浮かべるが、ここでは燻製の独特の香りをポイントに据えているのだ。

セレクテッドレストラン:malca(マルカ)

画像:お店から

人気イタリアン「TACUBO」出身の北野シェフが独立したとあってすぐに予約困難になったのが外苑前に2022年10月にオープンした「malca」。コースのみのお店が増えている中、アラカルトも豊富に用意されており、使い勝手抜群。「食べログ イタリアン TOKYO 百名店」選出店。

特にパスタのおいしさには定評があり、食べログマガジンの記事でも食べログ グルメ著名人の山本憲資氏、グルメジャーナリストの東龍氏など食通が推薦。

以下記事より抜粋──
前菜も全体的にセンスがよくてメインもしっかりおいしいが、締めに少量、おいしいパスタを食べられるというのはとても幸せな体験で、その要件を完全に満たしている。コースではパスタが複数種類出てくるというのもいい。特に今回いただいたアラビアータは絶品でした。今度は遅い時間にパスタとワインだけ、という使い方もしてみたい。

セレクテッドレストラン:caillou(カイユ)

松村宇洋(UP SPICE)

日本では珍しい、食材と調理法を選べるマルシェレストラン「caillou(カイユ)」。2022年11月に西小山にオープンするやいなや、フレンチ好きが集まる人気店に。注目は、スペシャリテの食材。人気精肉師・サカエヤの新保さんが手当てした肉がアラカルトで食べられるとあって、肉好きからも熱視線を集めている。

以下記事より抜粋──
サカエヤの新保さんの手当てした肉は200gからオーダー可能。骨付きの塊を、分量に応じてシェフがカットしてくれる。しかし、その肉はすぐには焼かない。まず、冷蔵ケースから出して常温に戻したあと、グリルの強火でさっと焼く。火からおろして一旦休ませ、仕上げに、再び強火でしっかり焼いて香ばしい肉の煙をまとわせていく。味付けは塩とコショウのみで十分だ。

セレクテッドレストラン:PRIMO PASSO(プリモパッソ)

撮影:大谷次郎

美食の街、新富町に2023年5月にオープンしたイタリアンが「PRIMO PASSO(プリモパッソ)」だ。コースの中にパスタが5皿も含まれるパスタ推しの構成。特にスペシャリティの「スパゲッティ トマト」が素晴らしい。

以下記事より抜粋──
さて、その藤岡流トマトのスパゲッティだが、まず、見た目の色からして少し様相が異なっている。赤みがかった橙色とでも言えばいいだろうか、よくある真っ赤なトマトソースではないのだ。バジルの葉をあしらっているものの、具材は一切なし。パスタとソースのおいしさをストレートに味わってほしいという藤岡シェフの熱いメッセージが伝わってくるようだ。

セレクテッドレストラン:中国菜 漢

撮影:和田咲子

「食べログ3.5以下のうまい店」でフードライターの森脇慶子氏がリコメンドしたのが八丁堀にある「中国菜 漢」。「カントニーズ“燕”ケン タカセ」、マンダリン オリエンタル 東京「センス」と名店で修行を重ねた藤井寛シェフが作る広東料理は香港ラバーからの評判も高い。

以下記事より抜粋──
料理の世界に入り、修業を続けるうちに広東料理の奥深さにさらに魅せられ、そしてたどり着いたのが今のスタイル。一品一品はとてもシンプルかつ完成度が高いものながら「中華料理って、こんなにおいしいんだ」という静かな感動を貰えるような料理が多いのは、シェフがかつて“中華料理”から得た驚きと感動が込められているからでは……そう思えてならないのだ。

ビブグルマン:ラーメン ブレイクビーツ

写真:お店から

2022年1月、祐天寺にオープンした「ラーメン ブレイクビーツ」。瞬く間に行列店になり「食べログ ラーメン TOKYO 百名店」に2年連続で選出されるなど、ラーメン界で話題になったお店。食べログ グルメ著名人の秋山具義氏も絶賛。

以下記事より抜粋──
まず、カナダのトロントで料理人とDJをやっていた、ラーメン店経験のない店主の柳瀬拓郎さんが、2022年1月にオープンしてすぐに行列店になるというストーリーがすごい。そして、麺線や具材の美しい見た目が際立っているだけでなく、とにかくおいしい。醤油らぁ麺やその日によって変わる限定も素晴らしいのですが、こちらの塩らぁ麺のスープのおいしさにはびっくりしました。“自分塩ラーメン”史上最高です。

ビブグルマン:ホッパーズ

palog
出典:palogさん

2021年12月茅場町にオープンしたスリランカ料理「ホッパーズ」。押上の人気カレー店「スパイスカフェ」の姉妹店が作る独創的なスリランカプレートが話題に。食べログマガジンではカレーおじさん \(^o^)/の連載で紹介しました。

以下記事より抜粋──
日本人向けにローカライズして味を変えているのではなく、日本人シェフのフィルターを通して、日本人の好みに合う、本格的で正統派のスリランカ料理を提供している姿勢にグッときました。辛さや食材は日本人向けに。しかし味付けやスパイス感、食べたときの感覚は完全にスリランカ。これを狙って完璧に体現できる素晴らしさ。

ビブグルマン:ポ・ブイユ

撮影:溝口智彦

2023年5月、広尾にオープンした「ポ・ブイユ」。ジャンルを超えた自由で遊び心のある料理が評判のダイニングバーは食べ慣れた大人の集い場。フードパブリシストの高橋綾子さんも「訪れるほどに絆が深まり口福度も増していく……、行きつけにしたい店が広尾に誕生しました」とお気に入り。

以下記事より抜粋──
與那覇さんの料理には見た目で何かわかるけれど、ひと工夫もふた工夫もされたおいしい驚きがあります。こうあるべきと決めつけることがないから、自由で遊び心のある料理ができる。それでいて味のバランス、食感がいい塩梅で、いつまでも食べていられるのは40年のキャリアを持つ與那覇さんならではの“料理センス”によるもの。「メニューにないものも作りますよ」というライブ感も食を楽しむ大人には魅力的です。

文:食べログマガジン編集部