【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#177】「よすが舎」

2024年7月8日、池尻大橋から三田に移転オープンした「よすが舎」

池尻大橋駅近くで間借りカレー店として人気だった「よすが舎」が、2024年7月8日、場所を三田に変えて独立店舗としてオープンしました。

店内はカウンター8席

都営地下鉄・三田駅からすぐ、JR田町駅からも徒歩10分しないくらいの距離感。カウンターのみ8席の店内は細かい部分まで徹底した素敵な雰囲気。路面には小窓もあり、テイクアウトにも力を入れていることがわかります。

「バターチキンカレー」と「ゴア風エビカレーミニ」

メニューは月替わりのカレーと週替わりのカレーの2種。あいがけはありませんがミニカレーも注文可能です。今回は月替わりの「バターチキンカレー」1,100円に週替わりの「ゴア風エビカレーミニ」200円をつけて注文しました。

上品な味わいのバターチキンカレー

バターチキンカレーは程よい甘さと辛さが調和した上品な逸品。重くなく、甘ったるさもないので一口食べればそのおいしさにスプーンが止まりません。

プリップリのエビが入ったゴア風エビカレー

エビカレーはカトゥーリ(インドの小皿)で提供。小さな器ですがエビはプリッと大ぶりなものが一尾。スモーキーで酸味のあるグレイビーで、バターチキンとはまた違うベクトルのおいしさ。

ご飯や副菜の大根のアチャールと紫キャベツのマリネも含め、すべてに手抜きなく、真面目で丁寧な仕事がうかがえるワンプレート。

これだけでも十分満足なのですが、その満足感をさらに高めてくれるデザートもあります。「カルダモンのアイスクリーム」300円は間借り時代から人気だったメニュー。カルダモンの甘やかな香りとナッツの食感が良く、暑い季節には特に必須のデザートとなっています。

食後の〆に最高の「カルダモンのアイスクリーム」

昨今流行のスパイスカレーのようにも見えますがそうではなく、古くから存在するインド風カレーの方向性なところに、シェフの経歴も感じさせます。

シェフは学生時代にアルバイトで1年ほど「エリックサウス」の1号店で働きながら、当時一緒に働いていた方々(初期のエリックサウスには今や全国的な人気店となった有名店のシェフが多く働いていました)の仕事を間近で見た後に一旦就職し、会社員をしながらこちらも数多くの有名シェフが学んだキッチンスタジオぺイズリーでインド料理の基礎を習い、インド旅行を経て脱サラの後、今はなき名店「桃の実」で1年3カ月勤務したという経歴の持ち主。コロナ禍を機に間借りカレー店をスタートし、そちらも人気となって今回の独立店舗オープンとなったわけです。

カレーシェフとして輝かしい経歴ですが、中でも特に感じるのは桃の実イズム。徹底的に真面目で丁寧で上品な仕事は、桃の実出身シェフに共通するところ。惜しまれつつ閉店してしまったお店ですが、その意思を受け継ぐ新店がまた生まれたのは桃の実ファンとしても非常にうれしく思います。

三田、田町エリアもカレーの新店が続々と生まれていますが、その中でも要注目のおすすめ店です。

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部