〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!

銀座で味わうあっさりと品の良い新感覚のとんかつ

ホワイトクラウン豚、上赤身のとんかつ。コース仕立ての一部

とんかつの魅力と言えば、カラリと揚がった衣と背徳的な脂身の甘み。無性に食べたくなるメニューの一つだが、高カロリーに二の足を踏んでしまう時がある。そんな時におすすめしたい、カロリー低めのとんかつがいただける店が銀座にオープン。「銀座 WHITE CROWN(ホワイト クラウン)とんかつ」だ。

コース仕立てで2,000円という銀座ではコスパ抜群の価格で、あっさりしながらも品の良い旨みに満ちた新感覚のとんかつが楽しめる。

店舗の外観。エレベーターを降りると現れるドア。隠れ家のような趣がある

場所は東銀座、歌舞伎座近くのビルの3階にある。エレベーターから降りると目の前には王冠を模したロゴが描かれたドアがあり、まるで高級フレンチかイタリアンのような店構え。ドアを押して中に入ると、さらにユニークな空間が現れる。

ユニークなテーブルの配置。テーブルの幅が広いので、ゆったりと落ち着く

内装はモノトーンをメインとしたスタイリッシュなイメージ。その空間には一方向を向いて、まるで学校の教室のように一人掛けの椅子とテーブルが並んでいる。

このスタイルは一人一人の空間をゆったりと取り、とんかつに集中するためだそう。テーブルに使われているのは、すべて特注の天然木の一枚板。温かみのある色合いが魅力で、高級感がある。凛とした木のテーブルに座って、とんかつの登場を待てば、豊かな気持ちになってくるのが不思議だ。

ブランド豚じゃないのにしっとりとジューシーな肉

ホワイトクラウン豚、上カルビのとんかつ。脂身もサラッとしているのが特徴

店名にもなっているホワイトクラウンとは、特殊な技術で作る「自然熟成還元水」を飲ませ、ホルモン剤や抗生剤を極力使わず健康的に育てる育成法と、この方法で作る精肉、飲食店の総称。

ブランド豚ではなく、普通の豚をこの製法で育てることで、脂質が減り、通常の豚肉よりカロリーが低く、ミネラル分や水をたっぷり含んだ肉質の豚に育つのだそう。この豚肉の魅力を知ってもらいたいという思いから「ホワイト クラウン とんかつ」はオープンした。

実はこのホワイトクラウン豚、とんかつにするにはあまりにも水分量が多い肉だそう。そのため、カラリと揚げるために、試行錯誤しながら肉の水分量を調節。その甲斐あって驚くほどしっとりとしたみずみずしさを保ったとんかつが生まれた。

低糖質パン粉は茶色くならないのだそう。また高温で2度揚げすることで油切れも良い

メニューはホワイトクラウン豚のさまざまな部位を使ったとんかつコースのみ。さっぱりとした上品な味わいの豚肉の魅力を生かすために“白いトンカツ”に仕立てている。

パン粉には揚げても茶色にならない低糖質パン粉を特注。パン粉を付けた豚肉を低温でじっくり火入れした後、高温でカラリと揚げている。この火入れが絶妙で、柔らかい肉質を存分に楽しめる。

しっとり赤身ととろける白身、部位ごとに食べ比べられるコース

「とんかつコース」2,000円。この日のデザートはスイカ。千切りのキャベツもみずみずしい

さっそくコースを紹介していこう。オーダー後にテーブルに現れるのは、特注したという大きなお盆。こちらにご飯やスープ、漬け物、千切りキャベツ、デザートなどがセットされる。

とんかつは赤身、白身、メインディッシュの3つの部位が供される。通常ロースや肩ロースといった部位がよく使われるが、どの部位にもそれぞれのおいしさがあるホワイトクラウンの良さを味わってもらうため、部位の異なるとんかつを食べるスタイルになった。食べ比べできるのもコースの楽しさだ。

上赤身。表面が中から湧き出る水分でしっとりとしている

使われるのは、その日一番おいしい状態にある肉。部位だけでなく、個体によっても肉の状態が異なるため、水分量の調節などの仕込みが済み、食べ頃にある肉が選ばれる。

揚げたてを味わってほしいと、とんかつは一品ずつ供される。最初に登場するのは赤身。本日は上赤身。豚肉のウチモモ部分にある柔らかい肉だ。白く薄い衣がピッタリと肉に張り付き、ほんのりピンク色の身からジュワッと肉汁がにじみ出ている。

「まずはそのままで召し上がり、次に塩を付けてみてください」とスタッフからのアドバイス。塩、しょうゆ、ソースと3種類の調味料が用意されているが、どれが似合うのかは部位ごとにおすすめしてくれる。

塩はヒマラヤの岩塩

ガブリとかぶりつけば、まるで肉の中から湧いてくるような水分に驚く。サックサクの軽快な衣にしっとりとみずみずしい肉のコントラストがたまらない。身質もきめ細かく柔らかだ。

味わいはあっさりと上品。ガツンとくる濃さはないが、じわじわと奥から旨みが湧いてくるような、繊細なおいしさがある。塩を付けると肉の甘さが際立ち、おすすめなのも納得だ。

白身、上カルビ。半分は脂身になっており、口の中であっという間にとろける

続いて登場したのは白身、上カルビ。脂身が多い部位だ。辛子をつけたしょうゆがおすすめだそう。

この部位の魅力はとろけるような脂身。甘みがあり、しつこさがない脂身はサラサラと口の中で溶けていく。コクのある甘みはまろやかなしょうゆの味わいと相性抜群。

ホワイトクラウンの脂身はサラリとして、脂身が苦手な人にもぜひ体験してもらいたいが、どうしても苦手な人は白身をザブトン(ロース)などの違う部位に変更できる。

メインディッシュ、サーロイン。厚みもあるので肉質の良さを堪能できる

メインディッシュはサーロイン。メインに用意されている中では、一番脂身が少なく、万人に好まれる部位だそう。脂身の甘さと肉々しい味わいのバランスが、ほどよくとれて、歯応えのある肉は噛みしめると旨みがあふれてくる。

サーロインはどの調味料もおすすめだそうだが、ソースでいただいてみた。フルーティーな甘さのあるソースが、ホワイトクラウンの上品な味わいを邪魔せず、よく似合っている。