伝統を超えるパスタ料理に感動!

「しらすとレモンのタリオリーニ」(1,540円)

イタリアンといえばパスタ! もちろん二木さんの得意料理でもあります。「これは郷土料理ではないのですが」とはじめに提供してくれたのが「しらすとレモンのタリオリーニ」。

手打ちパスタ「タリオリーニ」

ソースに細切りにしたレモンの皮を入れ、仕上げに果汁をたっぷり搾っています。レモンの爽やかさが印象的です。

「フレッシュトマトとルッコラ リコッタサラータのオレキエッテ」(1,540円)

次はサラダ感覚で食べるパスタです。「クルダイオーラ」という火を通さずに生の食材と合わせる調理法はプーリアの夏の郷土料理だそう。

「オレキエッテ」も手作り!

ミニトマトにバジルとオレガノで香りをつけた生のソースに茹でて熱々になった「オレキエッテ」を和えるので冷製でも温製でもない温度に仕上がります。新感覚のパスタ、やみつきになりそう!

自家製の「ンドゥイヤ」にはカラブリア産のペペロンチーニを使います。仕上げに削りかけるひょうたんに似た形のチーズは「カチョカバロ シラーノ」

最後はカラブリア州の名産「ンドゥイヤ(南イタリア・カラブリアが発祥とされる香辛料が効いた豚肉のソーセージ)」を使ったソースのパスタです。イタリアで食べて感動した二木さんがカラブリア州まで行ってンドゥイヤ作りを学び、手作りしているそう。辛いもの好きという二木さんのスペシャリテです。

「ンドゥイヤの辛いトマトソース フィレイヤ」(1,540円)

手打ちパスタ「フィレイヤ」はトゥルン、プリッとした食感。気温や湿度によって加水や打ち方も変えているそう。仕上げに「カチョカバロ シラーノ」をパスタが見えなくなるほどたっぷりと削りかけます。ソースの辛さはかなりガッツリきますがスッキリとしているのでおいしさがあとを引き、気づけば完食。これはワインが欠かせません。

自家製のパンやパスタに二木さんの人柄が表れています

必要なものしか皿の上にはなく、“そうである理由”をきちんと説明できる二木さんの料理。今はメニューがあるけれどゆくゆくはイタリアの食堂のように「何かおいしいもの作ってよ」「こんなのできるよ」という自由なスタイルで、「伝承」という意味の店名のように“二木マンマの味”をもっともっと伝えていきたいと話します。心に響く味わいというものはこうやって受け継がれていくのだと感じました。

ワインはすべてイタリアもので揃えていてグラス880円〜、ボトル4,950円〜とこちらもお手頃価格。予約が取れなくなるのも時間の問題。早めに訪れることをお勧めします。

※価格はすべて税込

文:高橋綾子、食べログマガジン編集部
撮影:溝口智彦