Myコンポスターで生ゴミを減らし、楽しくSDGs

「農家レストラン いぶき」では、オリジナルのコンポスト容器を活用して、生ゴミを減らす活動も行っている。

「コンポスター環(たまき)」 写真:お店から

「すべて手作りで調理しているので、野菜クズなどが大量に出るんです。しかも生ゴミはほとんどが水分なので、焼却するのが大変。焼却時に排出される二酸化炭素が、地球温暖化や異常気象の原因になっているという話を耳にするうちに、生ゴミをなんとかできないかと考えるようになって。たどりついたのが“土に還すこと”だったんです」
スタッフとともに実験を繰り返し、家庭で使えるオリジナルのコンポスト容器「コンポスター環(たまき)」が完成。

毎日もしくは数日おきにボウル1杯(300g程度)の生ごみを投入。コーヒーかすやお茶ガラも、臭い消しとして一緒に入れてOK

両手で抱えられるサイズの麻製ボックスに、基材(土)などを入れるだけで簡単に作れる「コンポスター環(たまき)」。生ごみを投入して土と混ぜると、微生物の力で生ゴミが分解され、3〜4日で土に還る。その土を家庭菜園などで堆肥として活用すれば、おいしい野菜が育つという、素晴らしい循環が生まれる。
「うちのお店だけでなく、多くのみなさんに活用してもらうことで地球へのインパクトも大きくなるかなと思い、今春から販売を始めました。「環」を一緒に作って、使い方などを伝授するワークショップも月に2回ほど開催しています。お子様の自由研究にもおすすめですよ」

収穫体験イベントで、農業を楽しく学べる

お店から徒歩5分程度の場所にある自社の畑で、なす、ピーマン、オクラ、ブルーベリーなど、さまざまな野菜や果物を育てている

「藤沢は大都会ではないですが、そこまで田舎でもないため、農地を大規模化するのが難しく、効率良く農作物を流通させることに農家さんは大変苦労されています。その点も力になれないかなと考えました」
そこで始めたのが、農作物の収穫体験イベント。

なかでも里芋の収穫は、 “トトロ風”の大きな葉っぱを持ち帰ることができ、子供達に大人気 !

「参加者にとっては、野菜がどんな風に育つかなど、食や農業の学びの場となって、子供連れのファミリーを中心に、とても楽しんでいただいています」
こうした体験イベントは、自社の畑だけでなく、近所の農家で行うこともあり、それが農家の作業負担を減らし、収入アップにもつながっている。

店内では藤沢産の米や加工品も販売

収穫体験の他にも、ブルーベリーの木のオーナーになってもらい、枝の剪定から収穫、収穫した実を使ったジャムやドリンク作りまで体験できる年間プロジェクトもスタート。申し込み数も少しずつ増えているそう。

目指すは一日たっぷり遊べる“農業のテーマパーク”!

楽しく農業に関われるイベントなど、単なるレストランの枠を超えた活動をしている「農家レストラン いぶき」。
「スーパーで買ってくるだけ、ただ出されたものを食べているだけでは知らなかった知識を得たり、体験をすることで、ここでの食事がもっとおいしくなったり、地球にいいことがしたくなってくるんです。それに、やってみると農業って本当に楽しいので、もっと多くの人に知ってもらいたいなと。今後も農業をエンタメ化できるような、楽しいイベントを考えていきますので、ぜひみなさん気軽に遊びに来てください」

※価格はすべて税込

ライター

當間優子

印刷関連会社勤務を経て、フリーランスのライターに。女性誌のビューティ(スキンケア、メイク、エクササイズ、インナーケア)企画のほか、食、ファッション、人物インタビュー、販促媒体まで幅広い企画の記事を執筆。

※本記事は取材日(2021年8月26日)時点の情報をもとに作成しています。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

文:當間優子、食べログマガジン編集部 撮影:田川葉子