〈「食」で社会貢献〉
2030年までの国際目標「SDGs」(=Sustainable Development Goals〈持続可能な開発目標〉の略)など、より良い世界を目指す取り組みに関心が高まっている昨今。何をすればいいのかわからない……という人は、まずお店選びから意識してみては? この連載では「食」を通じての社会貢献など、みんなが笑顔になれる取り組みをしているお店をご紹介。
自然豊かな国のレストランとしていち早く取り組みをスタート
エコバッグの活用など、人々の間に少しずつ定着してきているSDGsの意識。取り組みを始める企業や店舗も増えているが、飲食店の中でもいち早く実施していたのが、スクランブルエッグやリコッタパンケーキで有名な、シドニー発のオールデイダイニング「bills」。
豊かな自然を誇るオーストラリアのライフスタイルブランドとして、環境保護を中心に持続可能な社会に向けたさまざまな取り組みを行なっている。
最初に実施したのが、プラスチックごみ削減のための取り組み。2019年5月から、いち早くプラスチックストローの使用を中止し、国内全8店舗で紙ストローの導入をスタートした。
また、テイクアウェイフードメニューの包装容器には、食物繊維で作られた100%土に還る生分解性の容器を使用し、カトラリーは木製のものを使用している。
こうした環境への配慮は、billsを創立したレストランターのビル・グレンジャー氏が、常に意識してきたことだとか。
多彩なヘルシーメニューにも環境保護への思いが
元来外国人のゲストが多かったこともあり、ヴィーガンやベジタリアンなどの多様なライフスタイルへの対応も日本では先駆けだった同店。それに加え、温室効果ガスや水質汚染など、畜産業による地球環境への負荷軽減のためにヴィーガンやベジタリアンの選択をする人も楽しんで食事をしてほしいという思いも込められている。
彩り豊かな野菜を存分に楽しめる「チョップドサラダ」や、自家製の「ヴィーガングラノーラ」、スーパーフードのチアシードをアーモンドミルクに浸したチアプディングにザクロ&ベリーを添えた「アーモンドチアポット」など、健康にも環境にも優しく、さらに味わい豊かなベジタリアン&ヴィーガンメニューをラインアップしている。
ヴィーガンやベジタリアン以外にも、メニューは季節ごとに変え、料理には旬の食材やローカルな食材を積極的に使用。地産地消を心がけることで、食料の輸送に伴う温室効果ガスや防腐剤の削減、流通時間の削減につなげている。また旬産旬消は、自然のサイクルに合わせて旬のものを消費することで、収穫時期をずらすためのエネルギー消費の削減や、過剰な仕入れによるフードロスの削減などに貢献。さらに、ローカルフードを使用することは、農家などの地元コミュニティに寄与できるようにという考えもあっての選択だ。