救援活動への寄付や医療従事者のサポートも

山盛りのコリアンダーとライムの果汁で爽やかな味わいの「アボカドトースト」1,650円。billsのシグネチャーメニューであり、オーストラリアの定番朝食でもある

billsのサステナブルな取り組みは、日常での継続だけでなく、緊急時にスピーディーに行動を起こすのも特徴的だ。2019年9月から2020年2月にかけて発生し、過去に例のない規模と激しさで“史上最悪”と言われたオーストラリアの森林火災。これを受け、救援活動のための寄付を実施。日本国内の8店舗では、オーストラリアに縁のあるメニュー「アボカドトースト」と「パブロバ」の注文につきA$3(AUD)を、オーストラリア赤十字社に寄付し、約1か月間で寄付の総額はA$11,367(約820,262円)に達した。

福岡JMATチームへお届けの様子 ©bills Japan

また、現在も世界で混乱が続くコロナ禍では、最前線で戦う医療従事者のサポートのため、感染症指定医療機関としていち早く多くの感染症患者を受け入れた東京と福岡の3つの医療機関へ、計270食の食事を無償提供した。

「bills 福岡」での調理の様子 ©bills Japan

「毎日数百枚焼いているパンケーキですが、短時間で百何十食という数を準備しなければならなかったので、その日のキッチンは戦場のようでした(笑)」と、笑顔で振り返るのは、「bills 銀座」マネージャーの三浦さん。早朝からスタッフ総動員で、パンケーキやベーコンなどの即席ランチセットを、オープン前の僅かな時間で準備したそう。

「bills 銀座」マネージャーの三浦英樹さん

飲食店も深刻なダメージを受けていた状況の中、何かできることを、という思いによる行動は、世間的にも大きな反響があった。
「医療従事者の皆さんから感謝の声を続々といただけましたし、そのニュースを見て来店してくださった方もたくさんいて。大変ではありましたが、人や社会に貢献できるのはとてもうれしく価値あることで、私どもも元気になれました。地域や環境のために“できることはやりたい”というのが、ビル・グレンジャーをはじめとするbillsチームの思いです」

できることを少しずつ。それを広げていくために

本が並ぶ個室スペースは、ビル・グレンジャー氏の書斎をイメージ。親しい友人宅に招かれたようにリラックスした雰囲気で食事を楽しめる ©Mikkel Vang 

フレンドリーなおもてなしと、新鮮な旬素材を使ったシンプルで個性的なコンフォートフードが世界中で愛されているbills。そんな誰もが知る人気店だからこその使命も感じているという。
「活動はできることから少しずつですが、注目されている分、影響力も大きいと思うので。最近はリピーターのお客様に、私たちが行なっている取り組みについてもお話ししています。たとえ一人でも、段々と広がっていけば」
優雅な朝食やヘルシーなランチとしておなじみのメニューが、地球環境や誰かの力になっていると思うと、おいしさもまた格別に感じられるかもしれない。

※価格はすべて税込

ライター

當間優子

印刷関連会社勤務を経て、フリーランスのライターに。女性誌のビューティ(スキンケア、メイク、エクササイズ、インナーケア)企画のほか、食、ファッション、人物インタビュー、販促媒体まで幅広い企画の記事を執筆。

※本記事は取材日(2021年12月6日)時点の情報をもとに作成しています。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文:當間優子、食べログマガジン編集部 撮影:田川葉子