【噂の新店】

食のスポット、シブニ(渋谷2丁目)にオープンした「arca」は、「malca」や「焼肉もちお」など超人気店をいくつも輩出した株式会社Svoltaの新店。これはもはや名店の予感しかない!

名店ひしめく“シブニ”に出現した「arca」にワクワクが止まらない!

入ってみたい衝動にかられる外観

おいしいもの好きが集まる渋谷2丁目、通称「シブニ」に行きつけにしたい店が出現しました。ラテン語で方舟の意味を持つ「arca」は、ノアの方舟に乗った者たちが作った新世界のように、若手料理人が挑戦する新たな場所でありたいという思いが込められています。

センスあふれる空間

「arca」は「malca」「焼肉もちお」「and Svolta」「とんかつ ここまでやるか。」「tens.」と、出す店はすべて超がつく人気店となった株式会社Svoltaが手掛けただけにこちらも期待度はMAX! その期待に応えるかの如く、シックで居心地の良い空間に食べる前からテンションは上がりっぱなしです。

「and Svolta」「焼肉もちお」でも活躍した福盛さん

シェフは福盛 健さん。神戸のホテルでイタリア料理を4年経験し、上京後は「Burger POLICE」へ。「Svolta」創業メンバーの一人で、「malca」「tens.」の立ち上げに携わり、北野 司シェフの下で研鑽を積みました。北野イズムをしっかり継承し、若手ながらの発想で新しい料理を考えられる福盛さんは「arca」のコンセプトにぴったり!と、この度、料理長に抜擢されました。

目指すは「malca」を超える一皿!

「malca」と「arca」、文字や音からも系譜ということがわかります

「arca」では、“食べたいものを好きなだけ”という「malca」のコンセプトと使う食材はそのままに、“多様性”に対応した料理やワインを提供します。パスタ以外は大皿盛りにするというグループ初のスタイルも街のカジュアルな雰囲気にマッチしています。

「石川県 釣り鰆の炭焼きカルパッチョ」(3,000円)

こちらは前菜の一品。器にハーブオイルを敷き、炭火で焼きカルパッチョ仕立てにした鰆をのせています。それぞれの食感を考えた切り方でスライスしてマリネした根セロリとあやめ雪かぶで鰆を覆い、酢橘の皮と果汁をかけ、仕上げにリコッタサラータを削りかけました。2日間脱水して寝かせた鰆はねっとりしてうまみ十分、そこにシャキシャキした根セロリとあやめ雪かぶが食感を楽しませます。食べ進めると透明感のある鮮やかな緑色のハーブオイルが現れ眼福にあずかります。まさに五感が満足する一皿です。

「やま幸さんより 噴火湾の本マグロのクロスティーニ」(2,400円)

「malca」ファンにはお馴染みの本マグロを使った一皿。日本屈指のマグロの仲卸「やま幸」のマグロをビーツのピクルスやエシャロット、レモン、バジルなどと合わせてタルタル仕立てにし、中に焼き茄子のピューレとクリームチーズを忍ばせています。福盛さんのアイデアで仕上げにかけたビーツのパウダーがより赤の世界を強調し、忘れ難い皿にしています。白眉は具材を支えている「パンチュータ」。クラストの歯切れ良さ、クラムの軽くてしっとりとしたなめらかさは具材と見事に一体となります。「malca」「tens.」のシグネチャーディッシュは「arca」で昇華されました。

得意のパスタ料理で「arca」らしさを表現

「サルデーニャ産カラスミとパクチーと甘長唐辛子のアーリオオーリオ」(2,800円)

「malca」も「tens.」もパスタ料理の種類の多さに驚かされますが、「arca」も15種類ほど用意しています。北野シェフに鍛えられたので得意料理はパスタという福盛さん。

色彩の美しさに食指が動きます

甘長唐辛子の甘みの中に時折引き出される優しい辛みが印象的なパスタ。からすみとパクチーの独特な風味も相乗効果を発揮! 食材の組み合わせの妙とはこういうものだと納得します。ライムの爽やかさが余韻となって手が止まらなくなります。

火加減、塩加減、乳化など、考える要素は無限大!

味の移り変わりが激しくレシピ化できないパスタは“感覚の料理”。作った数と舌のセンスが味を裏付けします。北野シェフが作った「但馬牛のボロネーゼ」も作る度に個体の脂の量や味わいの違いを感じるそう。

「純血但馬牛のボロネーゼ 手打ちパッパルデッレ」(3,600円)

「malca」「tens.」でも人気のこのソース。使う食材と調理法が同じでもシェフの個性が表れています。福盛さんは肉のうまさを強調しており、トマトの味は控えめ。噛めば噛むほど肉の甘みを感じます。口中でほろほろと崩れる食感もたまりません。

出来あがった瞬間がおいしさのピーク!

牛肉、パルミジャーノ、ブラックペッパー、知っている食材を組み合わせた定番料理のはずなのに、口にするとよりおいしくなった知らない料理となる……とどまることなく進化し続けるからこそ通いたくなるのです。

未だかつてない食体験を味わえるワンダーランド

「淡路島 鳶谷さん肥育 純血但馬経産牛 月齢109ヶ月サーロインの炭火焼」(9,500円)

見てください、この艶! 目の前に置かれると「食べてみたい!」と思わせるのが福盛さんの皿です。150〜200gというサイズは2人でシェアするのにちょうど良い。

ナイフがスーッと入る肉質の良さ

こちらもボロネーゼ同様、鳶谷さんが育てた但馬牛ですが、サーロインとなると別の牛のように感じます。なんという肉質、なんという脂の甘さ! その2つが究極のバランスで構成されており、食材の天性を実感します。そのポテンシャルの高さに甘んじることなく、おいしさの頂点を捉えた火入れ!

内側にはあふれんばかりの肉汁が!

あまりの口福につい肉だけで完食しそうですが、肉のために生まれたと言っても過言ではない自家製の黒ニンニクとバルサミコのペーストもお忘れなく。別世界へ連れて行ってくれます。

「Svolta」グループの玄関口という役割を担っています

本当においしいものを知っている人たちが気軽に楽しみたいと訪れるのがシブニ。そんなシブニそのもののように「arca」にはカジュアルさと本物感が共存しています。例えばカウンターは食事するのに最適な高さで、そのカウンターと椅子と足置きの高さのバランスも完璧! あるようでない、でもそれが求めていたものなのだとこの店に居ると気づかされます。空間、料理、サービス、どれもカジュアルに見えて実はハイクラス、それが「arca」なのです。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格は全て税込。

文:高橋綾子 撮影:八木竜馬