Best New Entry受賞店をご紹介
2025年1月29日に発表された「The Tabelog Award 2025」。初めてノミネートされた店舗の中でも特に「食べログユーザーから注目されている店」に贈られる「Best New Entry」を受賞したお店を紹介していく本連載。今回は、「Best New Entry」と「Silver」を受賞した、名古屋で今、大注目のイタリアンが登場。2024年1月に移転し、さらにパワーアップした「イル アオヤマ」をご紹介。
2024年、移転リニューアル。挑むは10年、20年先を見据えた店づくり
名古屋・東区。食の感度が高いゲストを唸らせてきた「イル アオヤマ」が、市内で移転したのは2024年1月のこと。大通りに面した、濃いグレーを基調にした建物が、シャープで落ち着いた空気を醸し出している。エントランスを進み、オープンキッチンのフロアへ。シックな色調で洗練された空間に、心が浮き立つだろう。

オーナーシェフ・青山直之さん曰く「お客様の目の前で調理をするオープンキッチンの形式は、前の店と変わりません。ですが、新しい店は、内装や家具、厨房の細部に至るまでブラッシュアップさせました」。

クルミ科の広葉樹・ウォールナットを用いた一枚板カウンターには、ゆったりと配した席が9席。木目と白壁、黒壁のシンプルな色調のなか、手入れの行き届いた美しいオープンキッチンが広がる。「新しい店づくりをする上で、建築の勉強もしました」。驚くことに、青山シェフは自らが1/100サイズの図面を描き、ハウスメーカーを渡り歩き、現店舗の施工が実現したという。真鍮をあしらった炭台に至るまで自らが設計した。「お客様に寛いでいただける空間づくりはもちろんのこと、10年、20年先を考えた店づくりを視野に入れました」と青山シェフ。ストイックな青山シェフらしい美意識が随所に光る。
「賞をいただき感じたことは“初心忘るべからず”」
2014年に独立をして11年。「イル アオヤマ」は「The Tabelog Award」において初ノミネート。時を同じくして見事「Silver」を手にした。
受賞の思いを青山シェフはこう話す。「全国のシェフたちが集う授賞式に参加させていただき、うれしい反面、気が引き締まる思いでした。独立して10年以上経てば、慣れてしまう部分もあります。今回の受賞がきっかけとなり、当時の貪欲さなどを思い出しましたね。気持ちをリセットできる良い機会をいただけたと感じています」

青山シェフといえば、和のエッセンスを落とし込んだ精妙なイタリアンで名を馳せる。しかし独立後、数年は「こんな料理はイタリアンじゃない」と言われたこともあったという。しかし信念を持ち、ブレずに突き進んできたからこそ、今がある。「今回の授賞式では“初心忘るべからず”という言葉を改めて実感させていただきました」と言って微笑む。