絶妙な焼き加減で出される焼きとりも、パリテイスト。だからワインがぐいぐい進む

「焼きとりアンサンブル」より

ワインが進む理由のひとつは、この店ならではのアレンジ力。たとえば「焼きとりアンサンブル」の一種「つくね」は、たっぷりのオレガノと刻んだ蓮根が混ぜ込まれています。口に入れるとシャクッとして、ふんわりとオレガノが香る。思わず、ワイングラスに手が伸びます。

キリッとした辛さが特徴の山わさび

「ささみ」は、焼き上げたあとに山わさびをすりおろしてトッピング。繊細な食感と、キリッとした辛みがクセになります。

「炭焼きは、火加減が何より大事」という大島さん

「注文が入ってから最短で焼き上げたい」と、炭の状態をいつも最良の状態に保つ大島さん。仕上げる順番を考えながら「お待たせせずに出していく」よう心掛けているそう。

炭を置き換えながら高温、低温を使い分け、火入れ加減を調整する

昼の時間帯に本格的な炭焼き料理を楽しめるなんて……。誰もが想像する、その上の料理を味わえるから、朝からでもつい足が向いてしまうのです。

器やカトラリーはパリで仕入れたもの。一つひとつがアート作品のよう

5種セットの最初は、ムネのたたき。その後、もも肉塩焼き、ささみの山わさび添え、タレとペッパーで焼いたハート、つくねと炭焼きが順に出されます。一品ごとに盛り付ける小皿を変え、パリテイストを感じさせてくれるのも、心憎い演出。料理や器、ワインとのペアリングなど細部に至るまで心をくだくもてなしが、この店を開業からわずかの間に人気店にした理由でしょう。

パリで出合った絵画や照明がすっとなじむ、京町家との融合も見所です

ロゴマークにも使われる子豚さんの絵画

看板やショップカードに使われる子豚のロゴは、パリで出合った絵画がきっかけ。あまりの可愛さに一目ぼれして、購入してしまったと池口さん。アンティークのランプなど調度、家具もフランスにこだわって揃えたそうです。築100年の町家に、パリの調度がすっとなじむのは、同じように長い月日を重ねているからでしょうか?

アンティーク感がかわいらしい外観

中庭の緑を眺め、明るい時間に楽しむ料理やワインは特別! 春や秋など気候の良い時季には、中庭でバイオリンやアコーディオンのミニコンサートを開く予定もあるのだそう。問い合わせて出かけ、パリを満喫してください。

※価格は税込です。

撮影:高嶋克郎
文:中井シノブ