教えてくれる人
はなとも
日本スイーツ協会認定のスイーツコンシェルジュ。スイーツ専門のライターとしてさまざまなweb媒体で記事を連載中。著書「スイーツ男子はなともの I love パンケーキ」(KADOKAWA)、はなとも監修パンケーキミックス粉、その他、監修商品やコラボメニューなど多数。前職はお花屋さんという異例の経歴を持つ。
東京・巣鴨にあるかき氷の名店「雪菓」。富士山天然氷と自家製シロップで作るかき氷は、他では決して味わえないおいしさです。中でも、いちごシロップたっぷりのかき氷は、そのかわいい見た目とおいしさからスイーツ好きに大人気。今回は2時間待ってでも食べたいと客に言わしめる、絶品かき氷をご紹介します。
東京を代表するかき氷の名店が巣鴨に
「かき氷工房 雪菓」は、JR巣鴨駅から徒歩5分。巣鴨地蔵通り商店街のシンボル、とげぬき地蔵の近くにあります。
店名の「雪菓」とは、雪のお菓子という意味。かき氷はスイーツである、そして、かき氷工房で雪のお菓子(かき氷)を作るという意味合いから「雪菓」と名付けたのだそうです。
店主の本田さんは高校卒業後オーストラリアに語学留学し、その後アメリカの短大に進みます。帰国後は都内の有名ホテルに勤務し、休日は昔から好きだったかき氷を何軒もはしごして食べ歩きました。数年間食べ歩いたのち「自分で作れば、いろんなかき氷を並ばずに食べられる」という考えから、ホテルを退職しかき氷専門店をオープンすることを決意。当時は天然氷を使ったかき氷専門店が少なかったため、売れるかどうか不安だったそうですが、予想に反して連日行列ができ、SNSで話題に。今では天然氷で作るかき氷を求め、遠方からわざわざ足を運ぶ人がいるほどの人気店になりました。
店内はあたたかな空間で居心地バツグン。壁には有名人のサインがずらりと並び、人気の高さがうかがえます。ちなみに、かき氷を食べると寒くなってしまうので冷房の温度は高めに設定しているとのこと! 女性にうれしい配慮ですね。
同店の氷は、本田さんが納得いく氷を自ら探し歩いて見つけた「富士山天然氷」を使用。冬の寒さの中、衛生管理の行き届いた場所で3週間かけてじっくりと凍らせることにより、透明度が高く不純物が少ないきれいな氷が出来上がるのだそう。そうしてできた氷は柔軟性があり溶けにくく、薄く削れるため、従来よりもふわっとした食感になるそうです。
今では珍しい手回し式のかき氷機に氷をセットしたら後は削るのみ。その日の温度や湿度によって回転速度を変えているそうです。また氷を削る「刃」は特注で作ってもらい、季節ごとに刃の角度を変えているため、刃研ぎは自分で行っているそう。夏は鋭角にして回転数を上げ、冬は湿度が低いため、刃の角度を緩くしゆっくり削っています。こちらもまたすごいこだわりです!
こだわりは氷や削り方だけではありません! シロップはすべて自家製のものを使用し、果物(ピューレ)にはほんの少しの砂糖を加えるのみでほぼ自然のまま。素材の旨みがしっかりと感じられるよう一つひとつ丁寧に作っています。休日はいろいろなスイーツ店をまわって味やデザインを勉強し、氷に合うシロップを研究しているそうです。
そんなこだわりの素材で作るかき氷は、通年と季節限定で15種類以上あり、どれを選んだらいいか迷ってしまうほど。「納豆きなこ(黒蜜付き)」や「マンゴーうめレアチーズ」など、珍しい組み合わせもあるので、悩む時間も楽しそうです。
今回はそんなこだわりかき氷の中から、僕がおすすめしたいとっておきの2品をご紹介します。