教えてくれる人

大木淳夫

「東京最高のレストラン」編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。 
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2024」は12月8日発売。

出色のスペイン料理店が人形町にオープン! 牛込柳町には魚介専門スパニッシュも

人柄も魅力的なスペイン料理店

「コングスト」前菜 写真:溝口智彦

今月訪れて一番印象深かったのは、人形町のスペイン料理店「コングスト」です。オープンは10月7日でしたが先月は締め切りまでに予約が取れず。

シェフの坂田慎吾さんは熊本出身で、「エルプルポ」「スリオラ」「エルブエイ」を経て、鎌倉の「アンチョア」と、スペインの名店で活躍後に独立。開店するやこれらのお店のオーナーやシェフも駆けつけ、SNSで絶賛。そう、人柄も魅力的なんです。

「コングスト」イカ墨のフィデウア 写真:溝口智彦

料理は8,800円のコースのみで、高レベル。特にスペシャリテになるであろう、弾ける食感の「イカ墨のフィデウア」などは絶品でした。ワインはボトル4,000円台からで、想像以上に安い会計に。まさに人よし、酒よし、料理よしの店と言えるでしょう。

魚介専門でスペインの郷土料理を

「ロシクレール」 写真:大木淳夫

スペイン料理はもう1店、牛込柳町に10月28日、「ロシクレール」がオープンしています。こちらは東中野のスペイン・バル「アスタルエゴ」の姉妹店で、魚介専門で郷土料理を提供するのが特徴です。魚介にしたのはシェフが能登出身ということと、能登がガリシア地方と気候・風土が似ていることからのようですが、アラカルトで気軽に楽しめます。「本日の鮮魚」が魅力的で、ウスバハギはカルパチョで、スズキはサルスエラ(ブイヤベース)で堪能しました。スペイン風雑炊、カルドソもありますよ。

名店出身の美味なる寿司とハンバーガー

名店出身の個性的な注目店も2店登場です。

高レベルの握りをカジュアルな値段で!

三角木葉蛙
「鮨 三か田」小肌   出典:三角木葉蛙さん

まずは11月10日、三田にオープンした「鮨 三か田」です。麻布十番「秦野よしき」で修業し、系列の「立喰 鮨となり」で親方だった安藤聖さん39歳の独立店で、こちらも立ち食いでオーダーはタブレット端末。スタッフは奥様とふたりだけなので、コストを抑えた分、カジュアルな値段で高レベルの握りを楽しめます。他の出資者は無し、取引先からすし飯まで、ほぼ全てを新しくしていて、その決意がうかがえますが、親方はそんな気配はみじんも見せず、楽しい時間を過ごせます。何より、コースもありますがアラカルトOKというのがうれしいところ。ふんわりとした穴子や、町寿司のようなフォルムの鉄火巻、奥様の作る卵焼きなどなど……思い出すとまた食べたくなってきました。

「BROZERS'」の元店長が学芸大に新店オープン

CAP10KZ
「OVERWHELM HAMBURGER & BAR STAND」ベーコンチーズバーガー   出典:CAP10KZさん

学芸大学には11月7日、 ハンバーガー「OVERWHELM HAMBURGER & BAR STAND」がオープンしました。店主は「BROZERS'」で店長としてハンバーガーを究めた後、「THE GOOD VIVES」でサイドメニューも習熟。その経歴を裏切らない、素晴らしい味を披露しています。久しぶりに肉感がありながら、一体化したハンバーガーを食べた気が。あんまりおいしかったので、チキンオーバーライスもテイクアウトしたところ、これがまた美味。

CAP10KZ
「OVERWHELM HAMBURGER & BAR STAND」内観   出典:CAP10KZさん

さらに運転資金をほぼつぎ込んだという、とてもハンバーガー店とは思えないゴージャスな内装も見ものです。

あの名焼肉店のタレ、牛丼聖地の初支店、クラフトビール飲み放題の焼肉

「焼肉ジャンボ」の初プロデュース店

「やきにく屋はやし」
「やきにく屋はやし」   写真:お店から

焼肉の注目は11月3日、  目黒にオープンした「やきにく屋はやし」でしょう。篠崎と本郷の人気店「焼肉ジャンボ」の初プロデュース店です。同じく目黒の「そうめん酒場はやし」などを経営する(株)ラパンブランの運営で、肉はオーナーの地元、鳥取和牛など。ジャンボ名物の野原焼きもありますが、何よりタレが同じなのがうれしい。やはり旨いですね。アラカルトもOKで、テーブル4卓に個室が2つ。通が大好きな虎マッコリもありました。

本店は厳格なルールも話題の牛丼店

「牛丼専門サンボ 神保町店」 写真:大木淳夫

同じく有名店関連では10月23日、神保町にオープンした「牛丼専門サンボ 神保町店」が大きな話題になりました。本店は秋葉原の聖地として、厳格なルールで数々の伝説を持ち、最近ではドラマ「エルピス」に登場してネットをざわつかせました。こちらは多店舗展開化の1店目になるようで、気軽に入れます。メニューは牛丼、お皿、牛皿の3種。お皿とはすき焼きのように、白滝と豆腐も入ったものなので、生卵をトッピングするのもいいでしょう。牛も、つゆも、たっぷりの濃い味を楽しめます。

クラフトビール飲み放題!

「ヤキニクラフト神田店」
「ヤキニクラフト神田店」   写真:お店から

そして10月26日 、一大飲み屋街神田に「ヤキニクラフト神田店」がオープンしました。こちらは日本各地で展開する「クラフトビアマーケット」の新業態で、なんとクラフトビールがセルフで90分プラン1,900円、2時間2,500円の飲み放題です。私が訪れた時は3種あり、さらに大手の生ビールとサワー、ハイボールも。

「ヤキニクラフト神田店」
「ヤキニクラフト神田店」   写真:お店から

焼肉は卓上ロースターで、調味料も豊富にそろっていますが、特にアウトドアのスパイスとして有名な「ほりにし」をかけるのがおすすめです。