〈New Open News〉

毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。早くもお店に訪問した食べログレビュアーのコメントも掲載!

amorphous(東京・赤坂)

2023年8月15日、赤坂駅から徒歩約2分のところにオープンした「amorphous(アモルファス)」は、札幌からやってきた鬼才シェフ・佐藤幸大氏によるジャンルレスな創作料理のレストランです。

佐藤シェフは北海道のイタリアンレストランに勤務した後、4年間渡伊。現地の星付きレストランをはじめ、トスカーナの肉屋でも経験を積みます。帰国後、札幌のフレンチレストランを経て独立した後も寿司店や中華料理店で研鑽を積み、2020年に自身のレストラン「beija Flor」(※2022年6月閉店)をオープン。同店は、翌年「ゴ・エ・ミヨ」の3トックを獲得。瞬く間に全国各地から食通が足を運ぶ人気店になりました。

独創的な料理の数々と緻密な一皿一皿のストーリーに感銘を受けたオーナーが、佐藤シェフの「日本を超え、アジア大陸を目指していきたい」という言葉に突き動かされスカウト。そして、これまでの日本にないようなレストランを作り上げ「アジア大陸一」を目指すべく、2022年から東京に拠点を移しました。

料理は「おまかせコース」11〜13品30,250円(サービス料込み)一択。内容は四季折々で変更するわけではなく、佐藤氏の嗅覚に任せてその時々の料理を提供しています。その中でも一年を通して提供しているスペシャリテが「鰊/定点観測 」「フォアグラ/治療」という独創的なネーミングの2品。

鰊/定点観測

「鰊/定点観測」は鰊(にしん)を使ったテリーヌで、1日目は塩で〆る、2日目は酢で〆る、そこから少し寝かせて、発酵させている大葉とそのジュース、新生姜のピクルスを重ね合わせています。食べ進めていくにつれて、味わいが徐々に変化していくのが特徴。季節と魚のコンディションに合わせてさまざまな技術で調理しています。
鰊は、春は卵に栄養が行き身が痩せて骨が硬くなる、8月頃は脂がしつこくなるなど、季節によって状態が異なります。佐藤シェフは、骨が硬ければ隠し包丁を丁寧に入れたり、脂がしつこければ酢で〆る時間や寝かせる時間をコントロールするなど、季節ごとに変化する鰊を自分の技術で定点観測しています。

フォアグラ/治療

「フォアグラ/治療」は、世界で一番軽く食べて欲しいという思いから作り上げた一品。使用しているフランスのフォアグラは、日本に入ってくるまでに最低でも2週間ほどかかってしまうため、フランス本土で食べるよりも酸化してしまっています。佐藤シェフは、酸性に傾いたフォアグラの値を戻すべく、コーヒーや洋酒などを混ぜたアルカリ性水溶液で3時間ほどゆっくり火入れを行い、末端にある細胞の水分をすべて入れ替えているそう。中性ぐらいに戻して提供しているため、治療というネーミングになっています。
フォアグラの上には、ビーツのパウダーとピスタチオの飴かけ、ビーポーレンという蜂が集めた花粉、カカオニブ、バルサミコ酢のソースをかけ、目にも鮮やかな一皿に。“フォアグラ料理は重い”という概念を根底から覆す一品に、おいしい驚きが詰まっています。

「非結晶体、一定の形がない」などの意味合いを持つ店名の通り、常に変化し続ける料理に合わせたワインのペアリングも行っています。

内装は、数多くの話題の新店舗を手がける「Fumihiko Sano Studio」によるもの。シェフの背景を考え、動的なものと静的なものを散りばめた世界観を表現しています。料理に集中できるように周りの色味を落とした店内に、まるで美術品に焦点を当てるかのようにカウンターのみスポットライトが当たっています。

座席はカウンター10席。コースは完全予約制で18時からの一斉スタートです。今までの常識を覆すかのような前衛的なメニューに会える注目のお店! 予約は「TERIYAKI Booking」からとなります。

 食べログレビュアーのコメント

romai343
出典:romai343さん

『頂いたもの。
鹿のコンソメ ポルチーニ茸のジェラート
スッポン つぶ貝 
スペシャリテの鰊のテリーヌ
タピオカ粉麺 ムール貝のお出汁・白玉葱・山羊と羊のチーズ
酢豚のパートフィロ カリフラワーのムース 
タヤリン スープドポワソン
フォアグラ ビーツのパウダー・ピスタチオの飴かけ・カカオニブ
ハイビスカスティーとハーブティーのグラニテ ソーテルヌのジュレ
クエ だだ茶豆のファラフェル
夏鹿 オクラ饅頭 エノキ
蕎麦茶のジェラート オリーブオイル
食後のお茶と小菓子

佐藤シェフの美しくて美味しいお料理。
最初の鹿のコンソメの滋味深さに胃を掴まれました。
そして最後の夏鹿!鹿ってさっぱりし過ぎることがあるのですが、佐藤シェフの驚きの下処理と完璧な火入れによって、素晴らしく滑らかな味わいに。
フォアグラは輸送で酸化してしまうそうで、アルカリ性水溶液を加え、pHを戻しているとのこと、
いやはや、これだけ細部までこだわったお料理を、これだけの品数出されるとは。
仕込みに一体どれくらい時間がかかっているのだろうかと…。

スペシャリテの鰊のテリーヌはさすが。
タヤリンも良かったなぁ。
余った魚介をスープドポワソンにしているそうで、鹿のコンソメといい、食材へのリスペクトを感じます』(romai343さん)

中崎 健二
タヤリン/あら汁   出典:中崎 健二さん

『タヤリン/あら汁
手打ちのタヤリンに魚のアラで作ったスープドポワソンで炊き込んであります。
イカスミのソース、ニンニクのサフランのマヨネーズ、バジルのソース、ニンニクのソース、あと何かのオイルと色とりどりです。
タヤリンなんて初めて聞きました。パスタの名称のようです_φ(・_・

麺は一度冷凍してから茹でておりました。
その方が味が染み込みやすくなるそうです。
麺はモチモチで濃ゆいスープがしっかり染み込んで最高でした!!
各種のソースを少しずつ絡めながらいただくと、色々な味が楽しめました。
お気に入りの味を探すもの楽しいです!!

どう表現すれば悩むほどジャンルに分類できない料理でした!!
どれも食べたことがない味で驚きの連続でした( ゚д゚)

発酵させたピューレや肉醤油など、
必ず熟成させた調味量が使われておりました。

佐藤シェフ曰く、
陰と陽のように、新鮮な食材っと発酵させた食材と組み合わせるそうです。
旬全盛期の食材は発酵させ、名残りの食材を調理するとのことです。

もはや呑兵衛は理解が追いついておりません…
まるで数年先の料理を食べている感覚でした』(中崎 健二さん)

※価格は税込

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額等を掲載しております。 営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文:斎藤亜希 写真:お店から