〈これが推し麺! 〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回訪れたのは、食べロググルメ著名人・山本憲資さんがおすすめする外苑前の「中華風家庭料理 とも」。安定した人気を誇る「ネギそば」の魅力に迫ります。

教えてくれる人

山本 憲資

Sumally Founder&CEO。1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、自ら起業、現在に至る。スマホ収納サービス『サマリーポケット』が好評。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。

名店の始まりには、物語があった

「中華風家庭料理 とも」は、華やかなキラー通りから1本それた細い道沿いにある。この通りは「An Di」「焼鳥今井」「ブラマソーレ」などの人気店をはじめ、飲食店がびっしりと軒を連ねる外苑前きってのグルメストリート。都会の真ん中とは思えないどこかのんびりした空気が漂う、知る人ぞ知る隠れ家的なエリアでもある。

中華らしくない白い外観と店名の大きな文字が道行く人の目を引く

「洋風の店?」と錯覚してしまうような入口を入るとすぐに階段があり、地下に思いのほか広々としたフロアが現れる。カラフルなタイルがキュートなカウンターやウッディなテーブルなど、カジュアルでアットホームな雰囲気だ。ここは麺が人気のランチ、おつまみ豊富なディナーのどちらも使い勝手よく、近隣のアパレルショップで働く人たちが日常的に訪れる店としても重宝されている。

カウンター7席、テーブル24席と居心地が良い、ほどよいサイズ感

オープンは3年前。店主の林寅泰さんは、惜しまれつつ閉店した「山之内 神宮前店」で腕を振るった料理人だ。店の閉店を機にこの場所で独立を果たしたという。

中国出身という林寅泰(ともやす)さん

林さんが「山之内 神宮前店」から受け継いだ料理のルーツは、なんと50年以上も前に遡る。かつて外苑前には台湾出身の店主が営んでいた店があり、そこで働いていた料理人が「山之内 神宮前店」をオープンさせたという。さらにその料理を受け継いだのが林さんというわけだ。

 

山本さん

山之内時代から好きでした。安定感のあるジャンクテイストが好きです。

至ってシンプル。春夏秋冬、いつでも人気の冷やし麺

製麺所に特注するという中華麺は、中太でもちもちしてのびにくいのが特徴。茹でた後に素早く水でしめ、水気をギュッとしっかり絞って盛り付ける。

茹で時間は2~3分。箸を入れながらまんべんなく茹でる
サッと流水で一気に締める

丁寧に細かく刻んだネギをどっさりとのせた後、仕上げに熱した油を回しかける。ネギの香りがふわっと立ちのぼり、その香りで食欲がそそられる。

 

山本さん

使用するのは至ってシンプルな中華麺。これがおいしいんです。