握り以外にも山本さんイチオシの逸品たち

食感も楽しい「サバの棒寿司」

田村さんは和食店での修業を生かし、焼き物、揚げ物、煮物など多彩な料理も巧みにコースに組み込んでいる。

ことに鯖の棒寿司はオリジナリティ豊か。ごま、しそ、塩昆布、ガリ、フライドオニオンなどを巻き込んだ、お酒がクイクイすすむ逸品だ。

海苔を内側に巻き込んだ裏巻きの鯖の棒寿司。コースより
 

山本さん

食べ応えがあって印象に残っています。

ツウな客が頼むという「シメの太巻き」

常連客に人気の太巻きは、コースのあとに追加でオーダーできる。卵、かんぴょう、たくあん、きゅうりに車えび、中落ち、筋子まで入った豪華な内容だ。口の中でさまざまな具が一体となり、濃厚な旨味が酒を呼び、シメのつもりがまた飲みたくなってしまう。

中落ちや筋子が入って、バクダンのような旨みがさく裂する
 

山本さん

シメなのに食欲があおられます。

地元で愛される店は、遠くからでも通いたくなる

駅から少し遠い住宅街にあるからこそリーブナブルな価格が可能という「すし太一」。ハイコストパフォーマンスというだけでなく、大将田村さんの手間を惜しまぬ丁寧な仕事が評判を呼んでいる。決してアクセスはよくないが、近隣住民だけにとどまらず、遠くから足を運ぶ人が多いというのもうなずける、わざわざ出かけてみたい個性あふれる寿司店だ。

※価格は税込です。

撮影:八木竜馬
文:岡本ジュン