【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#71】「インド宮廷料理 Mashal」

日本のインド料理界に多大なる影響を与えたレジェンドシェフ、モハメド・フセイン氏によるインド宮廷料理のお店が7月1日、大森駅近くのLuz大森3階にオープンしました。その名も「インド宮廷料理 Mashal」。

フセイン氏の経歴を簡単にまとめると、インド・デリーの老舗レストラン「カリームホテル」「タージ」、来日後は「アジャンタ」「シターラ」といった名店で腕をふるい、日本のインド料理の人気有名シェフ達にも大きな影響を与えた、まさにリビングレジェンド。一時池上で間借り営業と料理教室をしていましたが、遂に大森で実店舗の開店となった次第。文字通り待望の開店です。

複合施設の中のレストラン街的な場所なのですが、店内に入ればそこはこだわりの調度と内装でインド気分。落ち着いていてくつろげる雰囲気と丁寧な接客で居心地が良いです。

料理はインド宮廷料理からフセインシェフのオリジナル、そして得意のタンドール料理、南インド料理まで多種多様。まずはフセインシェフの得意とするタンドール料理から「タンドリーチキン」(1P)660円を。

「タンドリーチキン」

火入れの絶妙さはもちろん、下味がしっかりとスパイシーでありながら鶏肉自体の味が活きているということに驚きました。肉は骨に隣接した部分が一番おいしいとよく言われますが、その言葉の意味がしっかりと理解できるような逸品。素材を活かしたスパイスマジック。これは他とは一味も二味も違うタンドリーチキンです。

南インド料理から「マサーラードーサ」1,320円も。

「マサーラードーサ」

ドーサとは南インドのクレープのような料理なのですが、豆の粉でできた生地は「サクッ」と「フワッ」が共存。添えられたサンバルもチャトニもドーサの中に入ったポテトもすべてがおいしく、南インド料理専門店の名店にまるで引けを取らないクオリティの高さ。フセインシェフは南北インド料理どちらにも造詣の深い方だということを再確認しました。

写真左から「ルーマーリーローティー」と「マトンジャハーンギリーコールマー」

メインは「マトンジャハーンギリーコールマー」2,200円に「ルーマーリーローティー」550円を合わせて。余談ですがメニューのカタカナ表記にもこだわりを感じます。例えばマサラですが、正式にはマサーラー。インドの方は早口な方が多く、マサーラーもマサラに聞こえるということでマサラが一般的に使われていますが、あくまで正式にマサーラーと表記されているというあたりも流石だなと。マサーラーに限らず、すべてのメニューでそれを感じます。

閑話休題。ルーマーリーローティーはインドの言葉でハンカチが語源となっているロティーで、ハンカチのように薄いです。日本ではあまり見かけませんがインドではポピュラーで、僕自身もインド現地のお店でよく見かけ、食べた経験があります。

マトンジャハーンギリーコールマーはまさしく宮廷料理。クリーミーなグレイビーには骨付きマトンの持つうま味が隅々まで行き渡り、いわゆるクセの部分を見事においしさに変えています。クセを消しすぎるとおいしさも減ると思っているのですが、こちらは初心者でも大丈夫なくらいにやわらげつつも、マトン好きも納得するくらいに残しているという見事な着地点。具材にはピスタチオやマカナまで。マカナとはインドのスーパーフードで、ポップコーンのような食感のドライフルーツ的なものなのですが、これにクリーミーなグレイビーが半分染み込みつつも完全に染み込まないというバランスで実においしいのです。

濃厚で芳醇なカレーに対してロティーは粉の風味を感じさせるシンプルなものであり、だからこその相性の良さ。本当の意味での「ごちそう」だなと感じ、気分はもうマハラジャ。満足度が高すぎます。

他にも食べたい料理がいっぱい。これはまた行かねば。お値段は平均的なインド料理と比べると少し高めに感じるかもしれませんが、満足度がとにかく高いのでむしろ本当の意味でのコスパの良さを感じました。

インド料理マニアはもちろん、インド料理ってどこで食べてもあまり変わらないと感じている方にこそ食べてほしい絶品料理の数々。是非食べに行って、レジェンドシェフの凄まじさを体感してください!

※価格はすべて税込

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/