まだまだ寒い日が続きますが、こんな寒い時こそスパイス料理で身体の中から温まりたいもの。飲食業界的にも客足が落ちる時期と言われていますが、だからこそ人気店が通常よりは混んでいないということも少なからずあり、食べ歩きを趣味とする人にとってはチャンスの時期とも言えます。

そんな2月のカレーとスパイス。今月もさまざまなお店をご紹介しました。

  1. 日本で出会ったインド人デザイナーとインド人シェフによるビリヤニ専門店
  2. 寒い日には寒い地方の料理がおすすめ! 大阪発札幌スープカレーの東京初進出
  3. 日本人とインド人のタッグによる横浜野菜と魚がおいしい南インド料理店
  4. ネパール料理激戦区に続々と誕生する新店の一つはアールニムキ推し

以上4つのトピックス。

寒い時期は体温が下がる分、免疫力も下がりやすいと言われますが、スパイス料理で体温も免疫力も高めて春を待ちたいものです。

【第1週のカレーとスパイス】1人でも入りやすい! ランチもディナーも楽しめるビリヤニ専門店が面影橋に誕生「Biryani Tokyo」

2024年12月13日にオープンしたビリヤニ専門店「Biryani Tokyo」

インド亜大陸のスパイス炊き込みご飯とも称されるビリヤニ。大手コンビニなどで販売されるようにもなり市民権を得てきたと言えますが、そんなビリヤニの専門店が高田馬場駅と面影橋駅の間くらいの場所に、2024年12月13日オープンしました。その名も「Biryani Tokyo」。

赤×白が基調のおしゃれな雰囲気

テラス席もあり、看板も店内も非常におしゃれなお店。ポップさとシックさを兼ね備えた雰囲気です。それもそのはず。オーナーはデザインをはじめさまざまなビジネスを手がけるインド人。そのオーナーが、とある宅配専門店のビリヤニに惚れ込み、そのシェフと共に立ち上げたお店がこちらなのだそうです。

開放的な雰囲気の店内

ビリヤニメインですがタンドール料理も充実。初訪問は夜。「ベジタブルビリヤニ」1,550円に「ラムシークケバブ」1,750円を注文しました。

「ベジタブルビリヤニ」

ビリヤニにライタ(ヨーグルトサラダ)とサーラン(ビリヤニと合わせることが多い南インドのカレー)も付き、シンプルで上品なベジタブルビリヤニの味変アイテムとして機能。

サーラン(写真手前)とライタ(写真奥)

ライタをかければさっぱりとし、サーランをかけるとインパクトある味わいとなります。どちらも一緒にかけてもまた違う味わいとなり、一度で何度もおいしいビリヤニ。

「ラムシークケバブ」

ラムのシークケバブも軟らかく焼き上がってジューシー。ここ10年くらいで日本も羊肉のレベルが相当高まったと感じていますが、この肉も妙な臭みはなく、それでいてラム特有のおいしさはしっかりと感じるものでした。

「ランチセット」

すっかり気に入って後日ランチタイムに訪問。「ランチセット」2,000円は2種類選べるビリヤニにサラダとドリンクと焼き物も付く豪華版。ランチとしては安くない金額ですが、お値段以上の満足感があるので本当の意味でのコスパの良さを感じます。

ひよこ豆とチキンティッカのサラダ

まずサラダ。この日はひよこ豆とチキンティッカのサラダ。チャットマサラの爽やかな味わいで食欲に火がつきます。

ラムビリヤニ
海老ビリヤニ

メインのビリヤニはラムビリヤニと海老ビリヤニを選択したのですが、どちらも素材のうまみがビリヤニと調和していておいしく、ラムとはライタ、海老とはサーランの相性が良いと感じました。ミニサイズのラムシークケバブとチキンティッカもクオリティ高く安定感があります。

ミニサイズのラムシークケバブとチキンティッカ

選べるドリンクはマサラコーラにしたのですが、こちらがまた面白い。インドでは有名なスパイスドリンク「ジャルジーラ」のようなテイストがマニアにはたまらない味で、ビリヤニのおいしさを一段階上げるペアリングとなっていました。ちなみにジャルジーラ並にクセのある飲み物なので、飲んでみて苦手と感じたら普通のコーラと換えてくれるそうです。個人的には一口で苦手と思ってもビリヤニと共に最後まで味わってほしい飲み物。だんだんとその味が理解できると思います。

高級路線のビリヤニ専門店なのですが、今後はビリヤニブリトーなどもう少し廉価な新メニューのアイディアもある様子。まだマニアにもあまり気づかれていないお店ということもあり、客層もカレーマニアではなさそうな男女がいてビリヤニの可能性と認知度の高まりを感じます。今後にも期待大のお店。要チェックです!

【第2週のカレーとスパイス】せせりカレーがうまい! 大阪発、札幌スープカレーの人気店が東京に初出店「札幌スープカレー JACK 市ヶ谷店」

満を持して東京にも店舗をオープン!

大阪発の札幌スープカレー専門店として人気を博し「食べログ カレー WEST 百名店」に2年連続で輝いた「札幌スープカレーJACK」。大阪でも店舗数を続々と増やしているのですが、2025年1月14日、いよいよ東京にも登場。市ケ谷駅からも麴町駅からもアクセスの良い場所に「札幌スープカレー JACK 市ヶ谷店」をオープンしました。

大阪と北海道の要素を感じるメニュー内容にワクワク

黄色と黒の縦縞の、どこか虎を思わせる外観が印象的であり、虎といえばタイガースですから、やはり関西発のお店というイメージとも合います。

店内の様子

僕は大阪のお店にも行ったことがあり、その時においしいと感じた「せせりベジカレー」1,540円をオーダー。スープと辛さとライスの量を選べるのですが、オリジナルスープの大辛、ライスはSSの100gで注文しました。

「せせりベジカレー」

せせりとは鶏肉の首回りの部位を示す名称ですが「せせる」という関西弁から名付けられたという説もあり、今は全国的に知られた部位ではありますが、特に関西地方に縁が深いとも言えます。

そんなせせりはプリッとコリッとした食感が印象的で、淡泊なテイストでだし感の強いスープと相性が良いです。スープは豚骨や鶏ガラのスープに昆布と鰹のだしのダブルスープ。トマトベースでスパイシーな香りがそれぞれの味をまとめ、おいしさを一段階引き上げています。

プリコリ食感のせせりと、シャバッとしたスープカレーの相性は抜群

野菜も人参、じゃがいも、ブロッコリーなど、スープカレーでは定番の野菜に加えてレッドキャベツスプラウトも加わるのが個性的。大阪で食べたものと変わらない、高いクオリティだと感じました。

大阪のお店にうかがった際に、シェフは北海道の名店複数で修業したと聞きましたが、そのうちの1軒も和風だしが印象的なおいしさのお店であり、その流れを感じさせつつもオリジナルの仕上がりになっているのが素晴らしいです。

トッピングを追加すればさらに豪華に!

カレーにトッピング、そして一品メニューも注文できます。お酒を飲みながらつまみの一品を食べつつ、〆にスープカレーという楽しみ方もできるということ。

「角煮」

今回は一品メニューから「角煮」640円をいただきました。脂身がトロットロになるまで煮込まれた角煮はシンプルな味付けでそのまま食べておいしく、ご飯のおかずともなり、もちろんカレーに入れても良いトッピングとなります。

角煮+カレーでボリューム満点

大阪はスパイスカレーが強い土地柄なので、スープカレーに関しては東京と比べると人気店が少ない印象があるのですが、逆に言えばスパイスカレーの強い土地で人気が出たスープカレーだということ。

レベルが高いからこそ東京進出を果たすことができたと言えるでしょう。