【第3週のカレーとスパイス】主役は横浜野菜と魚。日印のおいしさが融合した南インド料理店がオープン「マサラモア」

横浜・大倉山の交差点近くに面白いお店ができました。2024年11月16日にオープンした「マサラモア」です。

2024年11月16日にオープン

オーナーはカレー教室なども手がけながら横浜野菜を広める活動をされている日本人。シェフは「食べログ アジア・エスニック TOKYO 百名店」にも選出された南インド料理の名店で腕を振るったインド人。そのタッグならではのおいしさと面白さがあるお店なのです。

取材日の店内黒板

コンセプトは「横浜野菜と魚がおいしい南インド料理」ということで、まずは「地ダコのスパイスおつまみ」660円を。

「地ダコのスパイスおつまみ」

インド料理でタコを使うことはほとんどありませんが、そのあたりは日本人オーナーだからこそ。マスタードシードやクミンが香り、アーリーレッドの食感も良いドライなカレーとも言える仕上がりで、単体でおいしく、お酒のおつまみにも追加のおかずにもなりそうな万能タイプ。

「ビリヤニ&カレー」

メインは「ビリヤニ&カレー」2,200円のセット。これに追加で「ノンベジカレー」275円もお願いしました。日替わりのビリヤニはチキン。これに豆カレーとライタ、そして横浜野菜のサラダがたっぷりとのるのがとても良いです。オーセンティックなインド料理店だとここまでこだわったサラダがのることはなかなかありません。

色鮮やかな横浜野菜のサラダ

ビリヤニは骨付きチキンのうまみがスパイスで引き立てられ、その香りがバスマティライスにも染み込んだ上品なテイスト。バスマティのイエローライスとの合い盛りですがビリヤニの方が多めの割合。イエローライスには豆カレーをかけていただくとこちらは豆のこっくりとした優しい味わいが印象的。

スプーンでライスをすくうと骨付きチキンがお目見え
太刀魚のカレー

追加のノンベジカレーは太刀魚。こちらも珍しいですが太刀魚の淡白な味を活かした優しいスパイス使いのカレーで、シェフの腕の良さを改めて感じました。

太刀魚の淡白なうまみとスパイスがマッチ

セットには食後にアーユルヴェーダティーもつくのですが、こちらはケララ名物のピンクウォーターのお茶バージョンとも言えるもので、パディムガム(日本語で蘇芳という木)とカルダモンを使用したスパイスティー。ピンクウォーターは血の巡りや消化を良くし、糖尿病予防や肌質の改善にも期待できると言われているのですが、通常のピンクウォーターよりも色も味も濃い分、効果が得られそうな気持ちになりました。

食後のアーユルヴェーダティー

基本的にはオーセンティックな南インド料理なのですが、そこに日本的な感覚が上手に織り交ぜられている印象。シェフが元々いらしたお店よりも優しく上品なテイストに感じたので、南インド料理初心者にもおすすめであり、南インド料理好きならわざわざ行く価値のある新店です。

【第4週のカレーとスパイス】出店が止まらない! ネパール料理の大激戦区・大久保にまたもや注目店が登場「東京セクワバー」

2025年1月9日にオープン

昨年後半から年始にかけて続々と注目の新店舗が増えているネパール料理の聖地・大久保。2025年1月9日、駅前と言える場所の地下に「東京セクワバー」がオープンしました。

店内の様子

セクワとはネパール料理の肉のグリルのこと。スパイスで味付けしたさまざまな肉を直火で焼いて仕上げる香ばしい料理です。

「マトンセクワ」

店名からしてセクワ推しなのでまずは「マトンセクワ」800円と「チキンセクワ」700円を。マトンは羊肉の持つ風味とうまみが凝縮し、噛めば噛むほどその味わいが口内に広がります。噛みごたえのある仕上がりだからこそのおいしさであり、軟らかいのが最も良いと考えがちですが、そうではないことを教えてくれます。

「チキンセクワ」

一方チキンは軟らかくジューシーな仕上がり。それぞれの肉をおいしく食べるベストの状態を考えているからこそでしょう。

日本では見慣れない料理名が並ぶメニュー表は見ているだけでも楽しい

「アールニムキ」600円という珍しい料理もあり、こちらもお店のおすすめ商品。アールとはアル、アルーと表記されることもありますがじゃがいものこと。ニムキとはナムキンとも呼ばれるインド地方のスナックのこと。

「アールニムキ」

わかりやすく言えばじゃがいもとミックススナックをスパイスソースで和えたものなのですが、これがまたおいしい。レモンの酸味で爽やかに仕上がっており、サクサクした食感がやみつきになります。スナックを使ったネパール料理と言えば、ネパールのインスタントラーメンで作る「ワイワイサデコ」などがポピュラーですが、個人的にはこちらのアールニムキの方が好みだと感じました。

「マトン」の「ネパールカナセット」

メインは「ネパールカナセット」を「マトン」1,200円で(チキンの場合は1,000円)。いわゆるダルバートなのですが、骨付きかつ皮付きのオーセンティックなカシコマス(ネパールのマトンカレー)をメインに、ダルはジンブー(ヒマラヤの葉ニンニク)が程よく香り、ギーの風味が良いサグにねっとりとしたテクスチャのタルカリ。それぞれ塩味が控えめなのが素晴らしいです。

ゴロッとした存在感の骨付きマトン

ダルバートはある程度塩味を利かせた方が味の輪郭が際立つので強い味のお店も少なくない中、この引き算の塩気でちゃんとおいしいと感じさせるのはシェフの腕の良さあってこそ。燻し銀的な渋さを感じるおいしさと言えるでしょう。

セクワやアールニムキをつまみにお酒を飲み、〆にダルバート。幸せなディナータイムを楽しめる新店と言って差し支えないでしょう。

こちらのお店のみならず、まだまだ続々と新店舗が誕生しているネパール料理激戦区・大久保エリア。要注目です。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部