呉名物の「がんす」をおでんにするアイデア
広島名物として徐々に全国的にも知名度を増している「がんす」。かまぼこの原料であるすり身にパン粉を付けて揚げた食品で、主に呉など広島の沿岸部で食されているソウルフードであるが、近年では飲食店でもご当地メニューとして見かけることが多くなった。
一般的にはカットしてそのまま提供するか、鉄板などで焼き目をつけて提供する店が多い中、富士さんではおでんの具材としても使用している。ポイントは「注文を受けてからおでん鍋に入れる」というところだ。
「ずっと煮込んでしまうと衣がはがれてしまうでしょう? だから5分くらいがちょうどいいのかなと思っています」と山内さん。さて、がんすを浸して待つこと5分。再び姿を現すがんすの姿はどのようになっているのか。
がんす特有のパン粉のザラつき感はそのままに、おでんの具材としてしっかり仕上がっている。これもまた、店主の試行錯誤の中でもっともよいタイミングを模索した結果、たどり着いた食べ方なのだそう。これまでに“パン粉を感じるおでん”というものには出会ったことがないように思う。
呉市の三宅水産のがんすを使用しており、少しピリ辛の味わい。そこに富士さんが作り続けるおでんダシが見事に調和している。このおでんダシにも下井ホルモン店から仕入れる様々な肉のうまみが入っているらしく、味が複雑に広がる。表面のパン粉の食感も硬すぎず、軟らかすぎず、新しいおでんの具材を知ることができる。真夏でもおでんは人気メニューだというから驚く。
終電なんて気にしない! 呉屋台の夜は更けてゆく
大和ミュージアム、海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)などを見学後、アレイからすこじまを散策して潜水艦に驚くのが昼の観光コースだとしよう。映画『孤狼の血』や『この世界の片隅に』、ゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』の聖地巡礼をするのもいいだろう。
ただし、是非とも呉には一泊していただきたい。呉には旨い地酒がある。おいしい料理がある。それらを楽しめる呉屋台が立ち並んでいる。ちょうちんの灯がともる頃に、呉の街をあとにするなんてもったいないのである!