食べ歩きのプロ、マッキーさんが全国からセレクト

緊張する店の代表格が、回転寿司ではない寿司店。とはいえ、なかにはフレンドリーな価格設定と雰囲気でエントリーに最適なお店もあります。そこで、あらゆる食に精通する“タベアルキスト”のマッキー牧元さんに「食べログ 寿司 百名店 2021」から各地のおすすめを8軒を教えてもらいました。

教えてくれる人

マッキー牧元
株式会社味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック、スイーツに居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ・テレビ出演。とんかつブームの火付役とも言える「東京とんかつ会議」のメンバー。テレビ、雑誌などでもとんかつ関連の企画に多数出演。

緊張をほぐすには“武装”して行こう

今回紹介するのは、金額的にも雰囲気的にも緊張しにくい寿司店。とはいえ、マナーやある程度の心構えは必要だとマッキーさんは言います。

「大前提として、握ってもらった寿司はすぐ食べること。出された瞬間が一番おいしいからであり、職人さんに対する礼儀とも言えるでしょう。また職人用語はあまり使わないほうがいいと思います。『シャリ』『アガリ』 『ムラサキ』といった言葉ですね。僕はガリがほしい時には『生姜ください』って言いますし、お茶は「お茶をください」と伝えます。また、寿司職人の専用用語ではないですが『おあいそ』はお店側の言葉ですから、客が使うのはおかしいと思います」(マッキーさん/以下同)

今回ご紹介するのは比較的気軽に行ける寿司店とはいえ、やはり初訪問の際は緊張しがち。マッキーさんは「寿司に限らず、ハードルが高いと感じる店に行く際には自分を“武装”するといいですよ」とアドバイス。

新潟「兄弟寿し」の店内
新潟「兄弟寿し」の店内   写真:お店から

「今は食べログを見れば、ある程度の予算がわかるからいいですよね。クレジットカードを必携のうえ、現金も予算以上に用意しておけば、金銭的な不安はなく、緊張もほぐれると思います。あとはドレスコードの有無にかかわらず、いい服を着て心に余裕を持たせること。ただ、特に寿司や和食店での香水は禁物ですのでご注意を」

いざ入店して、戸惑いがちなのは注文ではないでしょうか。マッキーさんのおすすめは、おまかせ。特に昼のおまかせはリーズナブルで入門に最適とか。

「おまかせは、いわばその店のベスト盤。最近の店ではやっていない傾向にありますが、お値打ち価格でその店の代表的な握りを、おいしく味わえる順に握ってくれます。いろいろな寿司店を食べ歩くのもいいですけど、気に入った同じ店に何度か行くと、より個々の特徴の違いや寿司の醍醐味がわかるはず。今回挙げたリストを手始めに、ぜひ寿司の奥深さを知ってください」

マッキーさん厳選。回らない寿司店デビューにおすすめの8軒

いよいよ、マッキーさんがおすすめする8軒が登場。北は新潟県、南は佐賀県までとなります。まずは東京都内の3店から順に紹介していきましょう。

1. 江戸前の神髄を楽しめる「新ばし しみづ」(新橋)

トップバッターは「新ばし しみづ」。浅草の老舗、1866年創業の「弁天山美家古寿司」の流れを汲む神保町「鶴八」の系譜にある実力派です。なお、貸切以外での写真撮影はNGなので、ご注意を。

代々木乃助ククル
出典:代々木乃助ククルさん

「伝統的な江戸前寿司の神髄を楽しめる、新橋屈指の人気店。その仕事ぶりは時間を問わず、お値打ちな昼でも、最高レベルのおいしい寿司が味わえます。清水さんはベテランの域の職人ですが、気さくな人柄でリラックスさせてくれるのもいいですね。今は、当日か前日しか予約できないシステムになっているので、スケジュールが立てやすいのも魅力。まずは昼から行ってみてください」

2. 5,500円からおまかせを楽しめる老舗「㐂寿司」(人形町)

次は1923年創業の老舗、人形町の「㐂寿司」です。こちらも昼が狙い目だとマッキーさん。

辣油は飲み物
出典:辣油は飲み物さん

「こちらも、昔ながらの仕事が残っている寿司店。それでいて昼は税込5,500円からと、きわめて良心的な価格で楽しめます。老舗ですが店主が現在四代目で、若いお客さんでもそこまで歳が離れていないという点でも緊張感がやわらぐはず。江戸前寿司の老舗の味を気軽に楽しむなら、おすすめの一軒です」