〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、食べログマガジン編集部メンバーによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!

甘い? 辛い? 大阪名物カレーの謎

創業1988年、カレー激戦区の大阪・日本橋で30年以上も人気を集める「カレー マドラス」。その大ファンという大阪出身の俳優、北村一輝さんがオーナーになり、2019年には待望の東京進出を果たした。

4種の果物と30種のスパイスを1週間かけ煮込んだルゥが評判

赤坂TBSのお膝元に誕生した「大阪マドラスカレー」には、多くのカレー好きが訪れ大きな話題となったが……その感想は実にさまざま。「クセが少ない」「毎日でも食べられる」「懐かしい味」など、昔ながらのカレーという評価もあれば「甘さと辛さの落差がすごい」「複雑なスパイスを感じる」などの個性派という見解も。ここまで意見が割れる理由は何なのだろう?

赤坂店を皮切りに2021年には下北沢と吉祥寺に新店が登場

そこで訪れたのは、下北沢一番街にオープンしたばかりの「大阪マドラス22号店」。インド風の衣装に身を包んだキャラクターが目印だ。キリリとした眉毛が北村さんに似ているようにも感じる。

22号店とあるが、そこまでは多店舗展開していないのも謎の一つ

店内は広いわけではないが、ゆったりとテーブル席が並ぶ開放的な雰囲気。女性一人でも入店しやすそうだ。

大阪マドラスカレー880円。銀色に光る皿が郷愁を誘う

カレーの付け合せは定番のキャロットラペと、謎の汁物「イナムルチ」。こちらは沖縄出身という北村さんのお母様の得意料理だとか。一風変わった名前だが、白味噌の利いた親しみやすい味わい。キクラゲや油揚げなど具材たっぷりなのもうれしい。

卓上に辛味スパイスあり。初来訪でも好みの辛さに調整できる

カレーを一口食べて、特に印象的だったのがフルーティーな甘さ。これは、お子様向けの甘口以上ではないか!? そこから、じわじわと込み上げるスパイスの辛さ。1週間も煮込んでいるだけあり、複雑な香りと味が渾然一体となっている!

食べ進めるほど辛さは増す。黄身を崩してマイルドにする王道の味変が良い

甘さと辛さの落差が心地よく、それでいてシンプルにも感じるのは、完成度の高さ故だろう。30年以上も幅広い世代に愛され続けるだけあり、クラシックながら深みのある味わい。懐かしくもあり、新しくもある。まさに前評判どおりのおいしさだ。