〈ニュースなランチ〉
毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、食べログマガジン編集部メンバーによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!
焼き魚のようなラーメンとは何か?
2020年12月のオープン以来、「焼き魚そのもの」「度肝を抜かれた」「唯一無二の香り」などと、多くのラーメン好きが噂している新橋「炭火焼濃厚中華そば 倫道」。絶賛を集める味のベースはそのままに、個性の異なる“義兄弟店”がランチ激戦区である神田に誕生すると聞き、さっそく真偽のほどを探りにおもむいた。
「炭火焼濃厚中華そば 海富道」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、買い手が見つからない“もったいない魚たち”を活用するのがコンセプト。海の富を活かす道と書き、その名もズバリ「しーふーどう」と読む。
まず驚かされたのは、店内に立ち込める芳しい焼き魚の香り。それもそのはず、実際に厨房では炭火で魚が焼かれていたのである!
お品書きも一風変わっており「鯖 さば」850円、「海老 あまえび」850円、「鰯 いわし」850円、「鮭 さけ」950円、「烏賊 するめいか」950円と、ラーメン店らしからぬ名前が並ぶ。各150円プラスで定食メニューがあるのも面白い。
いまだかつてない焼き魚定食
スタンダード的な味わいという「鯖 定食」1,000円をオーダー。ほどなくしてカウンターから手渡された盆には、なんと魚の姿がまったく見当たらない。
さっそくスープからいただくと……口いっぱいに広がる、まさに焼き魚の風味! 正真正銘、子どもの頃から慣れ親しんだ焼きたての鯖である。その素材を贅沢に使用していることがよく分かる、濃厚な香りと旨み。それでいて魚特有の雑味は感じないため、心地よい炭火焼きの香りばかりが後をひく。
骨までペースト状にした焼きたての鯖と、アゴだしの魚介スープを合わせたもので、ほかに特別な調味料などは一切使用していないそうだ。鯖の魅力を引き出しているのは、純粋に炭火焼きの力。表面が丸焦げになるほど、しっかりと火を入れることで雑味を飛ばしているという。
6時間ほど低温調理したという豚バラチャーシューは、あっさりとした味わい。主役である魚介の風味を動物系の旨みで見事に引き立てる。炭焼ネギ、刻み玉葱、板海苔なども濃厚魚介に緩急を加える程よいアクセント。爽やかな風味が欲しくなったら、山椒を振りかけるのもおすすめだ。