〈食べログ3.5以下のうまい店〉

グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回、餃子のスペシャリスト・塚田亮一さんが教えてくれたのは、自家製皮のおいしさが際立つ佐賀発の餃子専門店。お酒が進むおつまみとともにご紹介。
溝口に根づいて19年。九州にルーツを持つ一口餃子専門店

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

東急各線とJR線が交わり、渋谷や立川、横浜方面など主要エリアへのアクセスが良い川崎市高津区・溝口エリア。駅周辺には商業施設や大小の飲食店が充実し、学生からファミリー層まで幅広い世代で活気のある街だ。
この地に店を構える「佐賀の餃子専門店 ぜん 溝の口店」は、一口餃子の専門店。佐賀出身の店主・吉田正矢さんが、兄とともに実家が営む店の味を引き継ぐ形で2007年にオープンし、今年7月で20年目を迎える。ちなみに現在の食べログ点数は3.34(2026年3月時点)。

間口が狭く、うなぎの寝床のように奥に細長い店内は、カウンター8席のみのコンパクトな造り。仕事帰りに一人で餃子とビールをさっと食べていく人から、仲間とともに焼き餃子や水餃子をじっくり味わっていく人、飲み会の〆として利用する人まで、さまざまな使い方ができる店として常連客に重宝されている。

塚田さん
10年ほど前に、溝口に住んでいる知人から教えてもらい訪問しました。小ぶりの焼き餃子は皮がサクサクッとした軽い食感が印象的で、あっという間に食べてしまったのを覚えています。カウンターのみなので、店主との距離が近いのも魅力。溝口で飲み歩きをする際の起点として立ち寄りやすく便利です。
脱サラして餃子の道へ。「親父が作る餃子がやっぱりうまい」

「『ぜん』の本店は地元佐賀にあって、今も親父が餃子を焼いています。うちは福岡・八女の流れを汲む一口餃子で、特徴は自家製の“皮”。兄と二人でこの店を出す時、いろんな粉の種類や配合を試してみたんですけど、やっぱり親父が作る餃子がうまいという結論に至り、基本的には本店と同じ配合で作っています」と語るのは、店主の吉田さん。
そんな自家製の皮は、厳選した強力粉2種類を使用。高加水で仕上げたむっちりとした生地を、機械と手作業の半々で極力薄く伸ばしていく。

中に包む餡は、国産豚肉と玉ねぎがメイン。玉ねぎは旬によって佐賀県産と北海道産を使い分け、シンプルゆえに素材そのものの味と鮮度を重視しているそう。
「佐賀の本店と違うところは、餡にニラとニンニクを使わないところですね。入れない方がお客さんから評判がよかったので、うちではそうしています」(吉田さん)


塚田さん
やっぱりまずは“皮”のおいしさを味わってほしいです。おつまみ感覚の軽い食感でいくらでも食べられてしまいそう。餡は豚肉と玉ねぎベースの甘めの味付けで、ついついお酒も進んじゃいます。
