【噂の新店】2-10

新旧ごった返す東横線屈指の食エリア、中目黒と学芸大学に挟まれた祐天寺は知る人ぞ知る名店があり、実は食の達人が足繁く通う街なのです。その祐天寺に1月30日にオープンした「2-10」が何やらいいらしいと、食の達人がざわついています。

店名から興味津々! 早くも名店の仲間入り確定の「2-10」

祐天寺駅から徒歩5分の場所にあります

凌ぎを削るように飲食店が立ち並ぶ中目黒と学芸大学に挟まれ、注目店は少ないと思われがちな祐天寺ですが、中国料理、ビストロ、ジビエ料理、もつ焼きなど長年愛され続ける名店があることで、実はフーディーから一目置かれている街なのです。その祐天寺に今年1月30日にオープンしたのが「2-10」です。

センス抜群のロゴ

店名をどう発音するのかわからず訊くと、「ニカラジュウです。私が考える飲食店にあるべき姿を店名にしました。ビジネスでは0から10にするという表現を使いますが、飲食で0から1にするのは生産者さんや食器を作る人、1から2にするのはそれらを店に届けてくれる人だと思うのです。私はそこからバトンを受け継ぎ調理して形にする。つまり2から10が料理人の役割だと考えて店名にしました」と答えるのはオーナーシェフの遠藤 勲さん。

席数も広さもちょうどいい!

地下一階ですが大きな窓から自然光が入り開放感があります。一人でもデートでもグループでも利用しやすいと評判の店内は、カウンター5席とMAX6名の円卓というレイアウト。特に円卓の相席は予期せぬ出会いがあると、あえて希望する人もいるそうです。座ってみるとわかるのはテーブルと椅子と足置きの高さがちょうどいいこと。絶妙な座面のカーブ、木のやわらかさや色調、照明の色や明るさもちょうどいい。座り疲れ知らずとはこのことです。

遠藤 勲オーナーシェフ

オーナーシェフの遠藤さんは高校卒業後、中国料理、フランス料理、日本料理、アジア料理、イタリア料理、カリフォルニア料理、海の家といった職場で研鑽を積み、その後、飲食コンサルタント業に携わります。「株式会社ゼットン」では統括料理長兼エリアマネージャーとして20年に渡ってメニュー開発に尽力、最後はGM職につき経営面でも手腕を発揮しました。飲食にまつわるさまざまなジャンルと業種を経験し、満を持して独立。2026年1月30日、「2-10」をオープンしました。

「自分らしい中国料理を提供したい」

こちらで振る舞うのは中国料理をベースに遠藤さんの豊富な経験とアイデアを生かした料理。合わせるドリンクは粕どりやどぶろくを使った割り物や、レアな日本酒、「ハウス日本酒」や「ハウス焼酎」など、独特なラインナップでゲストを喜ばせます。

ほぼ全員が言う、「とりあえず、ひと揃えお願いします!」

本日の「2-10ひと揃え」(3,800円)

こちらでは「とりあえずビール!」ではなく、「とりあえず、ひと揃え!」という声があちこちから聞こえてきます。看板メニューである「2-10 ひと揃え」はおまかせで小皿7品をセットにしたもの。日によって内容は変わりますが、温菜と冷菜をバランスよく組み合わせた、酒のアテとしても食事としても大満足するセットです。

上から時計回りに「半熟うずらの卵 しじみ醤油漬け」「大山鶏 よだれ鶏」「セロリとピーナッツの山椒和え」

はじめに供されるのがつまみ3品です。うずらの卵は食べた瞬間に衝撃が走りました。しじみ醤油の香りと繊細な味わい、半熟のトロトロ加減がこの小さな卵に完璧に表現された生涯記憶に残る一皿です。火入れが完璧な大山鶏はしっとりとして噛むごとにうまみが広がります。タレが注目される「よだれ鶏」ですが、鶏肉のおいしさによだれが出るという本来の意味を思い出させてくれる仕上がり。花椒オイルと青山椒オイルの爽やかな辛さが心地よいセロリは永遠に食べ続けたくなります。

写真上から「まっちゃん農園の春菊のサラダ」「梅津の笊(ザル)ソーダ」(800円)「酔っ払い海老」

続いてこちらの2皿が登場。おいしい春菊を探してたどり着いたと話す愛媛県「まっちゃん農園」の春菊は香りと食感が抜群なので、シンプルにごま油と酢と醤油ときび砂糖で作るドレッシングでサッと和えるだけに。削りたての花椒で味を引き締めます。「酔っ払い海老」のトロトロで濃厚な味わいにしばし陶酔。たっぷり入った海老味噌には、どぶろくのソーダ割りを。乳酸発酵の酸味が海老味噌の甘みを一層引き立てます。

「元宝 水餃子」

ここで少しお腹に溜まるものを。岩手県が誇る銘柄豚、「岩中豚」の甘みとコクをトゥルンとした舌触りの皮で閉じ込めました。もっちりの皮からたっぷりの豚のうまみが顔を出す、そのままでも十分ですが黒酢で味変も楽しい。

「真鯛の蒸し物」

こちらは広東料理の定番「清蒸鮮魚」。本来は尾頭付きの一本丸ごとの魚を蒸して熱々の葱油醤油をかけるメイン料理ですが、遠藤さんは肉料理や〆ものに繋がる一皿と考え、切り身にして油と塩を控えた優しい味わいに仕上げています。蒸した真鯛はふっくらホロホロ、添えたつぼみ菜と菜の花で春を感じさせます。まあまあお腹が膨れたところで、また「始」のつまみに戻るのもよし、「広東焼売 4P」(1,200円)や「野菜のせいろ蒸し」(1,400円)など一品料理を楽しむのもよし、はたまたメインやごはんものや麺もので〆るのもよし、この7品のセットは次の展開を考えるのにちょうどいい!

「選」ぶ、〆ものも充実! 迷ったら“飲める麻婆豆腐”で呑みながら考える!

「四川 麻婆豆腐」(1,800円)

「選」にはメインと〆ものがラインナップ。人気メニューを集めているので、どうにも迷ってしまうのですが、そんな時は「四川 麻婆豆腐」をオーダーしてみて。店の数だけ味があると言っても過言ではない「麻婆豆腐」、遠藤さんは豆豉を強調し、辛みの奥からくる甘みとコクを余韻にしています。しっかりと辛さはありますが舌に残らず痺れて次の料理の味がわからなくなるようなことはありません。出色は食べたことを忘れるほどエアリーな豆腐。この麻婆豆腐、呑めます!

「極みえのきの香港焼きそば」(1,600円)※写真は2つに分けた分量

テーブルに置かれた途端、その香りの高さに驚いた「極みえのきの香港焼きそば」。海洋深層水で育ったえのきは比べ物にならないほどうまみが強く、シャキッとした食感がたまりません。極みえのきと特製オイスターソースが屋台料理を高級料理に変えました。

「酒は料理のおとも!」と遠藤さんが厳選

この店にはたくさんの“ちょうどいい”があります。駅から歩く時間、席数、空間、テーブルや椅子の高さ、設え、調度品、接客の距離感、料理とドリンクの品数、一皿の量、味…、このちょうどよさはさまざまな店でさまざまな料理を作ってきた遠藤さんだからできること。店名には一人のお客さまと店主とで“2”から始まるという意味もありますと教えてくれた遠藤さん。“2”から始まったこの店が“10”になる日はすぐそこにきています。

※価格は税込

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https://www.instagram.com/tabelog/

文:高橋綾子 写真:八木竜馬