【森脇慶子のココに注目 特別編】「虎ノ門 肉と日本酒」

  • 前菜~キムチ・サンチュ~
  • 特選レバー
  • 30日熟成の厚切りタン
  • 大山鶏の塩焼き(鳥取)
  • ホルモンMlX・塩
  • 国産牛のハラミとサガリのたれ焼肉盛り合わせ
  • 黒毛和牛のたれ焼肉盛り合わせ
  • 夢の大地・豚ロース&豚ハラミのたれ焼き(北海道)
  • ホルモンMIX・たれ
  • ご飯、亀戸復刻カレー(タンを煮込んだカレー)

ご覧の内容で5,000円(税込)! しかも、タン、ハラミ、サガリ以外はおかわり自由の大盤振る舞い。それだけでも充分なほどのコストパフォーマンスながら、なんと飲み放題も付いてこのお値段という気前の良さだ。

緊急事態宣言を受けて始めた破格の“食べ飲み放題企画”で、現在、じわじわと人気を集めているのが「虎ノ門 肉と日本酒」。あの「肉山」の光山英明さんがプロデュースする焼肉店だ。

「オープンは去年の8月ですが、食べ飲み放題を始めたのは今年の1月中旬から。本来は、緊急事態宣言中の特別企画として始めたのですが、あまりに好評なので、宣言解除後も続行することに決めました」と、店長の高山佳也さん。

その言葉を裏付けるように、明るいうちから客が続々と訪れ、18時を回る頃には、地下も1階も満席に。もちろん、全員予約客。人気の理由は、安さだけではない。肉のクオリティと日本酒のラインアップが侮れないからだ。

ちなみに、地下と1階でサービスと価格に違いがある。地下の場合お酒はセルフサービス制のためビールは瓶、40銘柄以上の日本酒をすべて冷酒で提供。1階はスタッフによるサーブかつ20銘柄ほどの冷酒と30銘柄以上の燗酒、さらに生ビールも加わるため500円プラスの5,500円(税込)となる。

「特選レバー」

まず、目の前に運ばれてきたのは「特選レバー」。つい、刺身で食べたくなる鮮度の良さだが、ここはきちんと火を通して食べるのが鉄則。

そして一口頬張れば、何もつけずともレバー本来の甘みが舌にじんわりと広がっていく。

「30日熟成の厚切りタン」

また、ひと目見て思わず目を見張るのは、大胆にカットされた「30日熟成の厚切りタン」。これが一人当たり2枚付いてくるのもうれしい限り。

焦げ色も香ばしく焼き上がったタンにかぶりつけば、サクリと歯が入る噛み応えが実に軽快。と同時に口中に流れ出る肉汁には、知らず頬が緩む。USとはいえその小気味良い食感に遜色はない。このタンとレバーで、既に心はしっかりと掴まれてしまうに違いない。

「大山鶏の塩焼き」

次の塩だれで食す大山鶏はもも肉。弾力がありつつもソフトな食感の鶏肉は、味わいも優しく、牛タンと牛ハラミの間にワンクッションを置く、ある意味口直し的スタンスとでもいったところだろうか。

「ホルモンMlX・塩」

「ホルモンMIX・塩」は、コプチャン、シマチョウ、マルチョウにハツ、センマイ、レバーなど5種類ほどの盛り合わせ(内容は日替わり)。ちなみにコプチャンとマルチョウはどちらも小腸。マルチョウは、脂を内側にし、丸く筒状になっているところからのネーミング。シマチョウは大腸のことで、それぞれ微妙に異なる脂の甘みや口溶けを楽しむのも一興だ。

高山店長によれば、「うちでは、牛の内臓を丸ごと一頭買いしているので、他店よりも新鮮かつ値段もお安く提供できる」のだとか。それができるのも、母体である焼肉店「醍醐」が、長年に亘り和牛の一頭買いをしていればこそ。業者との信頼関係の賜物だろう。

「国産牛のハラミとサガリのたれ焼肉盛り合わせ」

続くハラミとサガリは、そのホルモン一頭買いの恩恵とも言える一品。ご存じの通り、ハラミとサガリは内臓の一部。一頭買いのホルモンには、もれなく付いてくるわけで、高山店長曰く「パーツで買うよりはるかにお得」なのだとか。

赤身の味が濃いサガリ、ほどよくサシの入ったハラミと微妙な旨味の違いを食べ比べられるのも同店ならでは。やや甘辛のたれが肉の旨味と相まってご飯を誘うこと請けあいだ。

「黒毛和牛のたれ焼肉盛り合わせ」

さらに「黒毛和牛のたれ焼肉盛り合わせ」が怒涛の如く登場。タレにまみれたそれは、リブロースやリブロースのかぶり、そしてマキなどリブロース周辺の霜降り肉が中心。ちなみにマキとは、リブロース芯に巻き付くように付いている肉で、牛一頭で1.5kgほどしか取れない稀少部位だ。これらも、もちろんおかわり自由。

ここで白飯をもらって焼肉丼で食べるもよし、〆のカレーまで我慢するもよし。胃袋に自信があるなら、両方平らげるのもあり。悩ましいところだ。

「夢の大地・豚ロース&豚ハラミのたれ焼き」

最後に控えるホルモンMIXの味噌ダレバージョンもまた、ご飯を誘う一皿。甘辛味に味噌の旨味が加わることで、コプチャンやマルチョウの脂によりマッチ。濃密な味わいで舌をノックアウトする。

「ホルモンMIX・たれ」

このホルモンに合いますよ、と高山店長が薦めてくれたのが、京都・向井酒造の「伊根町 夏の想い出」。どこかナチュラル系の白ワインを思わせる甘酸っぱさが、なるほどコッテリしたホルモンの脂をスッキリと流してくれる。

「伊根町 夏の想い出」

そう、この飲み放題、日本酒のラインアップがまた壮観なのだ。1階を利用した取材当日、メニューに並ぶは、「黒龍」「神亀」「田酒」といったお馴染みラインをはじめ、「作」「風の森」「綿屋」「飛露喜」「秋鹿」「長珍」等々日本酒通垂涎の銘酒がズラリ。

「小笹屋 竹鶴」

それとは別に、「小笹屋 竹鶴」や「諏訪泉」など燗酒向きの日本酒も12種ほど用意され、いずれも飲み放題。純米酒の品揃えが多いのも、たくさん飲みたい呑兵衛には願ったり叶ったりでは?

一階はカウンター席もあり、このご時世、一人焼肉もOK。また、数名で利用したいときは、地下に個室も用意されている。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年3月10日)時点の情報をもとに作成しています。

文:森脇慶子

撮影:食べログマガジン編集部