ワインが止まらない! 豚肉のうまみたっぷりの「ブーダンノワール」
こちらもワインが止まらなくなる一品。豚の血と脂でつくる黒いソーセージ「ブーダンノワール」は、フランス料理通が好んで注文する料理のひとつである。
基本的には血を煮詰めたものがメインとなるが、ある村では肉をさばいた後の骨をコンフィにして、骨に残った肉をかき集めてブーダンノワールのなかに入れると聞き、池尻さんのレシピではリエットを加えている。
独特な香りと心地よい苦味に、豚肉のうまみもプラスされた美味は必食だ。
村々で受け継がれてきた、フランス人の知恵「プティ サレ」
本日のメインには金時豚を用いた「バラ肉のプティ サレ レンズ豆の煮込み」をチョイスした。プティ サレとは、もともとは冷蔵庫のない時代に生まれた保存食。豚肉を塩漬けにして保存しておき、寒い冬に野菜やレンズ豆と共に煮込んで食べるのが定番だ。
池尻さんが気を配るのは、煮込むときの温度。熱湯では肉のなかに閉じ込めておきたい水分やゼラチン質まで溶け出してしまうため、90度から95度を維持しながら1日半ほどかけてゆっくり煮込むのだ。
フォークを入れると豚肉がとろりとほどけ、口に運べば豚肉の上品な風味とピュアな脂分がいっぱいに広がっていく。味つけは塩のみというシンプルな品だからこそ、料理人がどれだけ真摯に食材と向き合ったかが仕上がりに表れている。