お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。第15回は、夜景を見ながら楽しみたい丸の内周辺のスイーツスポットを紹介します。

【猫井登のスイーツ探訪15・前編】〜仕事帰りにも楽しめる。丸の内で夜景&スイーツ散策〜

 

食べログマガジン編集部

今回は夜の東京駅からスタートということで、ライトアップされてキレイですね!

 

猫井先生

たまには、夜の街歩きもいいでしょ? このあたりは、クリスマスの時期が一番キレイなんですが、人も多くてお店も混み合いますからね。ぶらぶらするには、今の時季がいいですよ。

 

食べログマガジン編集部

この辺りのスイーツスポットってどんな特徴があるんですか?

 

猫井先生

なんといっても日本一のビジネス街ですからね。ビジネスパーソンが立ち寄るオシャレでハイセンスなお店が密集しています。早速、おすすめの「タルトタタン」がありまして。例年は11月初旬から出始めるんですが、今年はもう始まったというので行ってみませんか?

 

食べログマガジン編集部

タルトタタンと言えば秋に旬を迎えるスイーツですもんね! それは是非チェックしておきたいです。

【1軒め】「ブラッスリー・ヴィロン 丸の内店」

 

猫井先生

こちらはパンが有名ですが、スイーツもとても充実しています。特に「ミルフィーユ」「モンブラン」、タルト類がおすすめです。フランスで実際見られる伝統的なケーキやタルト類しか出さないという方針なので、本格的な味わいを楽しむことができますよ。

YamaNe79
出典:YamaNe79さん
 

食べログマガジン編集部

スイーツもパンもおいしそう! そしてお目当てのタルトタタンは……。

 

猫井先生

ちょうどブラッスリーの夜の部の開店前なので、ホールがそのままありますよ!

 

食べログマガジン編集部

うわ〜、いい焼き色ですね。しかも、大きくて立派です‼︎

 

猫井先生

直径30㎝くらいですかね。こちらではホールひとつに紅玉りんごを10個使っているといわれているので、半割が20個並んでいる計算になります。

 

食べログマガジン編集部

テイクアウトもできるんですか?

 

猫井先生

残念ながら、こちらのタルトタタンはイートインのみで、お持ち帰りはできません。さぁ、早速ブラッスリーでいただきましょう!

 

食べログマガジン編集部

1ピースでも結構ボリュームがありますね。

 

猫井先生

元のホールが大きいですからね。お好みでクリームなどを添えてもらうこともできますよ。

 

食べログマガジン編集部

たしかに、見た目よりしつこくないので、クリームをプラスしてもよさそうですね。

 

猫井先生

酸味のある紅玉の味わいが活きていますよね! しっかりと色をつけると、砂糖が焦げて苦くなりがちなんですが、しっかりと中までアメ色に火が通されているにもかかわらず、苦みはなくりんごの食感も残っている。素晴らしい出来栄えです! 例年は11月頃から紅玉がおいしい間だけの、季節限定商品です。

 

食べログマガジン編集部

それにしても東京駅周辺って洋館風の建物が多いですね。

 

猫井先生

このレンガ造りの建物は三菱一号館美術館ですね。元々は三菱の本社が入っていた建物で、1894年にイギリスの建築家ジョサイア・コンドルにより設計されたものです。老朽化のため一度解体されましたが、その後復元され、2010年に美術館としてオープンしました。実はこの建物の一角に、ご紹介したいカフェがあるんです。中に入ってみましょう!

【2軒め】「Cafe 1894」

写真:お店から
 

食べログマガジン編集部

なんともクラシカルな内装ですね!

 

猫井先生

こちらは、1894年(明治27年)当時、銀行の営業室として使われていた空間を復元してカフェバーにしたものなんです。店内の仕切りがUの字になっているのは、銀行の窓口だったからでしょうね。実はこちら、ドラマ「半沢直樹」「相棒」などのロケも行われた場所なんですよ。

 

食べログマガジン編集部

へぇ〜! こちらではどんなスイーツが楽しめるんですか?

「Cafe 1894自家製クラシックアップルパイ」
「Cafe 1894自家製クラシックアップルパイ」   写真:お店から
 

猫井先生

レギュラーメニューの「Cafe 1894 自家製クラシックアップルパイ」は、サクッとしたクランブルの食感とりんごの酸味が見事にマッチした逸品です。ほかにもスイーツ盛り合わせのプレートや、美術館で行われる展覧会とのタイアップメニューもあったり、時期によって異なるスイーツを楽しめますよ。

 

食べログマガジン編集部

次はどんなお店へ向かうんですか?

 

猫井先生

ステキな手土産を買えるお店があるので行ってみましょう!

【3軒め】「東京會舘 スイーツ&ギフト」

 

食べログマガジン編集部

これまた立派な建物ですね。

 

猫井先生

「世界に誇れる、人々が集う社交場」として設立された東京會舘の初代の本館は、1922年竣工ですが、現在の建物は今年1月にリニューアルオープンしたばかりでピカピカです。レストラン・バンケット・ウエディングを有する複合施設ですが、今日ご紹介するのは1階の「スイーツ&ギフト」です。

 

食べログマガジン編集部

こんなところにスイーツのお店があるなんて、なかなか気づきませんね!

 

猫井先生

店内は左側が生ケーキ類、右側がクッキーなどのお土産類の売場となっていますが、さすがに夜はケーキ類は売れてしまっていることが多いので、ケーキ目的の場合は明るいうちがおすすめです。実はこちらのプティガトーやプティフール類は大手企業御用達のお土産品で、私も銀行員時代、何度もお世話になりました(笑)。特にプティガトーはひとつずつ個包装されているので、企業に持っていった場合、職場で配りやすいので喜ばれましたね。

「プティガトー」
 

食べログマガジン編集部

なるほど、そういうところまで気を遣うのですね。

バームクーヘンちゃん
出典:バームクーヘンちゃんさん
 

猫井先生

銀行員は細かいですから(笑)。ちなみにプティフールの方は個包装ではありませんが、いろいろな種類の可愛らしいスイーツが詰め合わせになっているので、一箱買って、あとはスコーンでも用意すれば、ご自宅で簡単にアフタヌーンティーができますよ!

「シーズナブルプティフール」
 

食べログマガジン編集部

それはナイスアイディアですね。しかもいくつも入っているから何度もアフタヌーンティーが楽しめそう! 後編はどんなお店を教えてもらえるんですか?

 

猫井先生

ふふふ。とっておきの夜パフェが味わえるお店へご案内しますよ。

次回、後編に続く

後編では、夜パフェスポットやイタリアの伝統菓子が食べられるお店を紹介します。お楽しみに!

 

写真・文:猫井登