銀座の新しいハーフ洋食と六本木の隠れ家イタリアン

洋食をハーフ&ハーフで

面白いなと思ったのは1月26日、銀座にオープンした「1/2(Nibun no Ichi)」です。数寄屋橋交差点にあったソニービルを建て替えた「Ginza Sony Park」の地下3階にあります。しかし、特に大きく宣伝しているわけではなく、地上からの導線もわかりにくいため、おそらくこの店を目指して来る人でないと辿り着けません。

入口はガラス張りで中央にオープンキッチン、左右に長テーブルの店内は空間に余裕があってスタイリッシュ。料理は銀座らしく「洋食」なのですが、店名通りすべて1/2のサイズ。1人前の約1/4サイズの料理を2品盛り付けたプレート料理です。「定番アップライジング」はハヤシライスとエビフライ、「カツカツ交差点」はカレーとカツサンドなど、メニューは10種あり、すべて1,650円。もちろん現代風にアレンジされていて、お皿ごとにその料理に関するエピソードが書かれた紙のマットが敷かれます。

11時からの通し営業なので、ちょっと小腹が空いたときにはいいですし、年齢的にあまり量を食べられない人にもうれしいシステム。多様な使い方ができそうです。

ゆっきょし
「カツカツ交差点」   出典:ゆっきょしさん

本当は秘密にしたい、大人のイタリアン

気になりながらもなかなかお邪魔できなかったのが、六本木のイタリアン「Brando(ブランド)」。11月5日のオープンです。山口徹シェフは1982年生まれ。麻布十番の「カーザ ヴィニタリア」を経て、広尾「ボッテガ」に。現「コジコメ」井村俊介シェフの後任として、笹川尚平シェフを支えた後の独立です。

メニューはおまかせコースかアラカルト5品で、どちらも12,000円。前菜とパスタが6品ずつ、メインが3品のメニューは精鋭揃いで、ボッテガファンならご存じの名作「トリッパ、ギアラ、小腸の煮込み」もあります。シェフの自信作「ウナギの白焼と秋トリュフ」は、ウナギとトリュフの土っぽさに共通項を見いだしたことからの発想で、香りと食感の妙に唸らされました。落ち着いた雰囲気の店内はプライベート感もたっぷり。いわゆる、“誰にも教えたくない”大人のレストランです。

「ウナギの白焼と秋トリュフ」

1人でも訪れたい名店出身のビストロと、会食で活用できるおでん店

スタンダードなメニューが高水準なビストロ

1月11日、西荻窪にフレンチ「BISTRO H(アッシュ)」がオープンしました。北銀座通り沿いの路面店でカウンターメインのワンオペ。と書くと、最近のよくあるお店のようですが、シェフの廣瀬康二さんはかの名店「北島亭」出身。さらに吉祥寺の人気店「ビストロ・ハッチ」では、今や西荻窪を代表するイタリアンとなった「オステリア トレ パッツィ」松原達志シェフの後輩で、後にシェフに就任という実力派。

アラカルト中心のメニューはスタンダードな品が並びますが、どれも高水準。豚の火入れなど素晴らしいものでした。量も柔軟に対応してくれるので、1人客でも安心して食べて飲めます。ちなみにシェフは東京農業大学ラグビー部出身で、お兄さんは元ラグビー日本代表の廣瀬俊朗さん。ラグビーファンも駆けつけてください。

「豚 マスタード」

覚えておくと重宝しそうなおでん屋

この冬は多くのおでん屋さんが誕生しましたが、12月20日、 麻布十番にオープンした「O'denbar うまみ 麻布十番」は使い勝手がよさそうです。

横浜と都内に4店を展開しているのですが、こちらは閉店した一つ星の精進料理店「いと正」を居抜きで使っているので、ニューオープンとは思えない歴史を感じる雰囲気。座敷でテーブルとイスなのでくつろげます。おでんの出汁は関西風で、この出汁を使ってのカレーやうどんも。アラカルトでいただきましたが、飲み放題付き5,000円(日~水限定)というコースもあり、会食で重宝しそうです。

おでん盛り合わせ
おでん盛り合わせ   写真:お店から

ライバルだらけの焼肉と中華で新機軸を打ち出した2店

個性を出すことにしっかり成功した焼肉店

焼肉業態は本当に激戦で、どのお店もいかに特色を出すかに苦心しています。そんな中、新たな機軸を打ち出したのが1月21日、三田にオープンした「焼肉 大砲館 三田本店」です。

お肉のお皿は赤と青の2種。赤い皿のお肉はレアに、青い皿ならしっかりと焼きましょうというサイン。確かに店員さんに言われても忘れてしまうことが多いので、意外に便利です。新鮮な刻みニンニクやレモンで酸味のアクセントをつけたタレなど、肉をおいしく食べるために、細部までこだわっています。王道の肉はもちろん、「ロイヤルお肉ティー」という、ティーポットに入ったお肉などもあり、飽きさせません。5,500円の大砲館名物セットは、相当満足度が高いです。「ラーメン凪」監修の冷麺は牛すじと煮干しのダブルスープ。締めの一押しです。

皿の色で焼き加減を教えてくれる
皿の色で焼き加減を教えてくれる   写真:お店から