最終回記念! まんぷく美の、ラーメンお見立て帳

本日、最終回をむかえたNHKの連続テレビ小説こと“朝ドラ”「まんぷく」。第1話から見守りすっかり情まで芽生えてしまったドラマウォッチャーのライター、まんぷく美が、ドラマの感想をまじえながら、登場人物におすすめしたいラーメンを勝手に見立てて恩着せがましくレコメンド。ガイド協力は、「食べログ ラーメン百名店」でもおなじみの小林孝充さん。“まんぷくロス”になりかけているみなさんに、ドラマの余韻とともに行くべき&食べるべきラーメンを紹介します。

福子へ

全編を通して、萬平(とその成功)を信じ抜くことを貫いた福子。当初、ドラマ制作陣の売り文句は「見どころは、福子のマネージメント力」だったけれど、そんな要素は微塵もなく(笑)、狂気さえ感じる気迫で萬平を信じ、そのまわりの人たちを鼓舞し続けました。でも、ぷく美は忘れません。英語を話し、気が利き、賢かったホテル勤務時代の福子を。もしかしたら裏でいろいろと操り、開発者の全幅の信頼を集め余計な心配をさせないというのが最強のマネージメントと達観していたのかも。福子のヒントで難所をくぐりぬけたまんぷくラーメン(&ヌードル)。あのヒントも偶然を装っていましたが、実は周到に準備されたものかもしれません!?

そんな福子におすすめしたいラーメンを、小林さんがお見立て!

出典:shirokuma_53さん

 

「まんぷくの主人公でありやさしさと力強さを併せ持つ福子さんにおすすめしたいのは大阪市東成区にある老舗『中華そば住吉』。女将がちょっと狭めのお店を見事に気を配りながら切り盛りしています。高井田系ともいわれるここのラーメンは老舗ながら、そのキリっと効いた醤油と極太の麺が懐かしさとともに新鮮さも感じさせます」(小林さん)

 

「まんぷく」をみて食指を動かされたのか、チキンラーメンが売り切れるお店があったそう。その流れで、クラシックな中華そば回帰ムーブメントがおこりそうですね。

萬平へ

良くも悪くも頑固一徹の萬平。なのに、チャレンジ精神旺盛で完璧主義。加えて、感情の起伏も激しく……。萬平いるところに台風おこるという、福子よりヒロイン感のある役柄でした。インスタント麺ができるまで様々な課題があり、不屈の精神でひとつひとつクリアしていった萬平(とまわりのひとたち)。お湯をそそぐだけとか、どんぶりの用意もいらないカップスタイルだとか、食べ方の提案が画期的でしたが、結局は「おいしくなければ売れない」。つまり、萬平の成功の秘密の最大のポイントは“神の舌”の持ち主だったことでは? と、ぷく美は思います。萬平さんに食べログレビューをぜひお願いしたいです。

そんな萬平におすすめしたいラーメンを、小林さんがお見立て!

出典:ありログさん

 

「稀代の発明家ともいえる萬平さんにおすすめしたいのは新宿にある『MENSHO SAN FRANCISCO』。ここの店主である庄野さんはラーメンクリエイターとして次々にいろんなラーメンブランドを立ち上げています。いまやその活動は日本にとどまらず世界に。そしてサンフランシスコから逆輸入したのがこのお店。多種多様なそのラーメンには萬平さんも驚くに違いありません」(小林さん)

源へ

いじめっこに立ち向かうなど、子どもの頃はたくましかった源。放送を割愛された思春期に何があったのか、大人になった源はなんとなく頼りがいのない印象。あんな両親が近くにいれば、反作用的にそうなってしまうのもうなずけます。まんぷくヌードル開発チームに選抜されてからは紆余曲折を経て、仕事に没頭。やはり、萬平がそうだったように、ある程度の裁量を与え「信頼をして任せる」ことが人の成長や、新しいことの開発につながるのだと、萬平の映し鏡のように体現してくれました。このあたり、人気連載の「出世ごはん」で取り上げて欲しい(笑)。上述の福子にも見られるように、このドラマで描きたいのは、不安定で複雑で多様化する社会において「人を信じること」という壮大なテーマだったのかも知れません。個人的にはリスクヘッジが甘いところが気になりますが、そういうこと言う時点で新しいことは発明できないかも(苦笑)。なお、源の恋愛を描かなかったのもよき配慮。

そんな源におすすめしたいラーメンを、小林さんがお見立て!

出典:たりらんさん

 

「偉大な初代を持つ二代目ながらもこの後会社を引き継ぎより大きくしていくであろう源におすすめしたいのは横浜にある『ラーメン星印』ここの店主が修行したのはラーメンの鬼といわれた佐野実さんのお店である『支那そばや』。その味を引き継ぎながらも自分の味に仕上げ、限定などにも積極的にチャレンジし人気になっています」(小林さん)

幸へ

幸の最大の役割は、その誕生。脱税疑惑で囚われた萬平が、幸の生まれたことを受け家族の大切さを優先し、訴訟を止めたこと。これがなかったら、まんぷく食品は設立せず、したとしてももっと出遅れていたはず。そんな大事な役をさっさと済ませたものだから、あとは、ドラマの“柔軟剤”としての立ち位置になりましたね。レオナルドに恋をしたり、おしゃれしたり、すずと福子の間をとりもったり。素直で可愛くて、ラーメン開発に燃える個性派集団の家庭において、ぷく美的には、このような普通の人(=世間)が入ることで、より両親の狂気?が浮き上がって凄みが“マシマシ”だったような(笑)。

そんな幸におすすめしたいラーメンを、小林さんがお見立て!

写真:お店から

 

「まんぷくの中でも若者代表ともいえる幸におすすめしたいのは、若者文化の発信地とも言える原宿に構える『Noodle Stand Tokyo』! 女性の店員も多数いるため女性の意見もしっかり取り入れた店づくりをしています。牛煮込みまぜそばはオリジナリティがありながらも、スープがないため非常にヘルシーな仕上がりです」(小林さん)

 

教えてくれた人

小林孝充さん
TVチャンピオンラーメン王選手権第8回、第10回優勝。歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝し初代ラーメン大王に。ラーメンの食べ歩きは全都道府県に及び、これまでに食べたラーメンの杯数は13,000杯を超える。ラーメンに限らず美味いもの好きで他のジャンルも積極的に食べ歩く。ラーメンWalker百麺人。TV・雑誌登場多数。