TOKYO HIP BAR vol.46
カクテルの名前にその名を刻む、Mr.ネグローニとは?
世に名を残す方法はいろいろとあるもの。小惑星の第一発見者にはその名前が冠されたり、大統領になれば空港の名前になったりと、偉業を成し遂げることが通例ですが、よいドリンカーであることで名前が残せるとしたら、それはなんとも夢のある話です。
それを成し得た人物は、20世紀のイタリアにいた伯爵カミーロ・ネグローニ。フィレンツェの老舗リストランテ「カソーニ」の常連客で、美食家としても知られた彼は、日々40杯ものカクテルを飲んでいたという伝説が残るほどのカクテルドリンカーでもありました。お気に入りのヴェルモットとソーダで作るカクテル、アメリカーノを“ちょっと強くしてほしい”というリクエストに「カソーニ」の名バーテンダー、フォスコ・スカルセーリが応え、ソーダをジンに代えて提供したといわれています。以来、このアペリティフは人々に愛飲されるようになり、きっかけを作ったネグローニ氏の名前がこのカクテルに冠されたそうです。
多彩なアレンジのネグローニは
未来へつながる次世代のカクテル
ネグローニのレシピは、1919年に誕生したといわれていますが、いまも世界中で愛され続け、バー業界の権威あるランキングのひとつ「Drinks International 2019」でも最も売れているカクテルNo.2にランクインするなど、クラシックカクテルのひとつとなっています。
「ネグローニの魅力は、長く愛されているカクテルであるということ。100年も前に誕生したカクテルを、現代風にアレンジしてこの時代の人にも届けられるというところにおもしろさを感じます」と語るのは、ANAインターコンチネンタルホテル東京 MIXX バー&ラウンジの廣田祥子さん。
写真:お店から
海外ゲストが多く、インターナショナルなカクテルラウンジであるMIXX バー&ラウンジは、海外のトレンドを反映したカクテルメニューを揃えており、その流れから3月末まで展開しているのが、ネグローニコレクションです。
「MIXX ネグローニ コレクション」としてラインアップされているのは、8種類。和素材や、野菜、お茶などでアレンジしたコレクションの中で人気なのは、エスプレッソを使用した「カフェネグローニ」や、柚子を漬け込んだジンと柚子ピールで仕上げる「柚子ネグローニ」、そしてキュウリやストロベリー、レモンなど果実や野菜を入れ込んだ「ネグローニレモネード」です。
原型がベルモット、ジン、カンパリ系リキュールというシンプルなレシピだけに、そのアレンジは自由自在。コーヒーにも、果実にも味がよく馴染みます。「カフェネグローニ」はコーヒーの時間とディナーの間をつなぐようなカクテル、「ネグローニレモネード」は女性同士の集まりに、「柚子ネグローニ」は食事とも相性がよさそうです。
自分のお気に入りのネグローニを飲み続けることで、Mr.ネグローニのように、そのネグローニが自身の名前で呼ばれるようになるかも? 次世代につながるクラシックカクテルをMIXX バー&ラウンジに見つけにきてはいかがでしょう?